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第三章 世界に降りかかる受難

第616話

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 昨日は大混乱を起こしたので、今日は大人しくしてようね。って朝アー君に言われた樹です。
 思えばあれはフラグだったのだろう。

 目の前では「神子様どうかこの国をお救いください」というテンプレなあれが行われている。でも神子様と呼ばれているのが別の人な件。
 そして僕の横にもう一人、サラリーマンっぽいスーツ姿の人がいるんです、これはあれです「おまけと思って追放された方が本当は神子だった」というあれ。
 まだ追放されてないけど。

 謁見の間っぽい所に召喚された二人に僕が巻き込まれました。
 えっちゃんがそういうの好きみたいで……。

「しかし神子様が二人……いや三人?」
「ゲフッ」

 きゃぴきゃぴと「僕が神子です!」と主張する男子中学生、状況に戸惑いながらも僕を庇う姿勢を見せるサラリーマン、国を救って演説をしていたキラキラ王子、人数が多い事に困惑する宰相っぽい人、チラッとサラリーマンの後ろから顔を出した僕を見て吐血する王様。
 カオスです。

「僕が神子? やったぁぁ!!」
「どうかこの国のためにお力をお貸しください」
「はい!」
「王子、ま、まて」
「僕頑張りますね王子様!」

 王子よ少年と二人の世界に入る前にパパのお話聞いてあげて、何かブルブル震えてるし顔色が大変な事になっているよ。
 王様の顔色に気付いて駆け寄るお偉いさまたち、ビビり散らしてまともに喋れない王様、その間に頭がお花畑になってしまった王子が、城を案内すると少年を連れて謁見の間から出て行っちゃったけど誰も気付いてないです。

「大丈夫だ。俺が守ってやるからな」

 ほえーとカオスな状況を見ていたら、サラリーマンが僕の頭を優しく撫でてくれた。
 お仕事大変なんだろうなぁ、目の下の隈がすごい。

「父上を寝台へ」
「だ、だめだ、それよりも、腕を貸してくれ」
「父上?」

 遠目でも分かるぐらいガクガクブルブル震えている王様が、もう一人の王子の手を借りて王座から立ち上がり、よろよろしながらも僕の方へと歩いてきた。
 おじいちゃん大丈夫?
 召喚された時から数分しか経ってないのに十数年分ぐらい年取った?

「このたびは、大変、申し訳っぐっ」

 王子その2の手を借りて僕の前まで来た王様、フラフラしながらも土下座をしながら謝ったと思ったらまた吐血しました。
 これ、胃に穴が開いたんじゃ。胃薬持ってたかなぁ?

「父上!?」
「ポーションのむ?」
「いえ、お心だけでっ!」

 王様、顔色が土気色だよ。
 大丈夫、僕に危害加えてないから突然国を滅ぼしたりなんてしないよ、事情聞くからちょっと落ち着こう。

 あっまた吐血した。
 口の周りがモザイクでなんかおめめが疲れてきました。えっちゃん、クリーンかけてあげてください。
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