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第三章 世界に降りかかる受難

第595話

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 五人組が選んだのはドブ掃除だった。
 薬草採取とかじゃないのか、そうか。

 森に出ないならトラブルと遭遇もないなぁ。

「ドブ掃除ってどんなお仕事?」

 僕、漫画で主人公が初期の頃にやってるのぐらいしか見たことない。
 ドブに膝まで入ってスコップでゴミ掃除するイメージ。

「クリーンを片っ端からかける」
「思ったのと違った」

 実践前の魔力操作訓練にも良いので初心者向きではあるらしい、ただクリーンを使えないと依頼を受けられないみたいよ。
 子供のお小遣い稼ぎにも使われる安全なお仕事その1だって、ほほぅ。

「薬草採取は?」
「あるけど街の外に出る必要があるし、魔物の危険もあるから難易度は少し高い」
「一応あるんだね」
「早朝しかないけどな」
「んむむ?」
「出発が遅いとゴブリンに薬草を採取されて取り分が無くなる」
「ゴブリンが薬草何に使うの?」
「ポーションに加工して商業ギルドに卸してるよ」
「僕の知ってる基本的なゴブリンと違う」
「うちの国から流れてきた旅ゴブリンが教えたらしい」
「なるほど」

 何か納得した。
 今は人間と様子を見つつ共存している形なんだって。
 個体の増やし方は定番の人間を襲ってあれこれだったのだけど、今は無差別にではなく、ゴブリンの作ったポーションを奪おうと襲ってきた人間を捕らえて苗床にしているとか。
 一般人が襲われる事がなくなり、品質のいいポーションが手に入るようになったので、その辺を抗議する人間はあまりいないようです。盗賊まがいの事をする人が淘汰されてるだけだもんね。

 あと孤児がゴブリンに弟子入りして薬草採取を手伝わせてもらったり、ポーションの作り方を習ったりする事もあるそう。
 その辺は刀国と逆なんだね。

「それでママ、どうする。あいつらのクエストについて行く? それとも何かクエスト受けてみる?」
「受けていいの!? やるーー!」

 僕も一応ギルドに登録しているのです。
 全く依頼受けたことないけど!
 何かね、AとかSとかから外れた特殊ランクだけど、忘れちゃった!

 そしてアー君とパーティーを組んで出発、街から離れた場所にある森に来ましたー!
 せっかくだからと転移は使わず、アー君に抱っこされた状態でえっちゃんの影の上をシャーッて滑るように移動したの。楽しかった!!

「兎さんいる?」
「いても俺の気配で寄って来ないだろうな」
「なんだって」

 魔物だろうと野生の兎だろうと僕にかかればモフモフし放題だったはずなのに、ここに来てまさかアー君に騎士様のようなマイナス属性があったとは!
 強者って大変ね。

「むー、じゃあまた今度にする。クエスト内容はなぁに?」
「この近辺でオーガを最近見かけるらしくて、調査してギルドに報告するまでがお仕事です」
「分かった!」
「うん、じゃあまず目撃付近の探索を――」
「オーガ君を呼んで直接お話聞けばいいんだね! オーガーくーん!!」
「ママァ!?」

 人外なら魔物から悪魔、亜種までなんでもお友達なのです。
 オーガ君への聞き取りを終えてまたもう一個ぐらいクエスト受けたい、そう思って呼んだらアー君が悲鳴上げました。ダメだった?
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