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第三章 世界に降りかかる受難

第571話

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 農民と農作業特化の魔物の連携が凄かった。
 稲刈り大会やったら帝国の現皇帝に勝てるんじゃないかなぁ?

 まず人間の大人サイズのカマキリの魔物が魔法を駆使して走りながら麦を刈り取り、農民の皆さんが片っ端からマジックバッグに麦を放り込んでいる見慣れた風景。
 でも何かおかしい。

 よく見たら麦の根元が縛ってある畑とない畑に分かれてる。
 えっちゃん曰く、熟練度の差。らしいです。
 束になっているから回収もしやすく追いかける人数も少なく済む。
 ただしスピードはその分上がるので、回収する人もマジックバッグ二刀流のプロがつく事が多いとか。

 プロってなんだろう?
 農家の仕組みは異世界も難しかった。

 なお、カンガルーは俵になった麦の回収班だった。
 どうやらお腹の袋がマジックバッグになっていて、アー君にスカウトされて気付いたら農民やってたらしい。
 あるある。よくある。

 ……あのカンガルー、地球のカンガルーじゃないし、なんなら一回り大きい気がする。
 僕は僕で小さくなってるし……入れないかなぁ?

「きゃーー! 虹色が出たぞー!」
「イネス様どこだよ! 止めろ、止めろ!」

 カンガルーの袋に入る自分を想像していたら、おっちゃん達の悲鳴が響きました。
 虹色の作物は一房ぐらいなら神々しいし、何かこう、ありがたい感じがするけれど、広範囲で虹になるとただ単に農作業の邪魔になるだけなんだって。
 黄金シリーズと違い、虹系は全体的に質がおかしく、普通の鎌が通らず、特殊な方法での採取が必要な農民泣かせの作物なのだとか。

「あっイネス様発見!! こっちに来るぞ!」
「みゃぁぁん!!」
「発光してる、発光してる!」
「ワハハハハハ!!」
「ぎゃー! 涼玉様が超ご機嫌っ!」

 元軍人の人、まだ涼玉を担いでいたらしい。
 すげぇー。

 どうやら農地を一周してきたらしく、恭しく涼玉を地面に置いたかと思うとその前に跪いた。
 ほぁぁ、絵になるなー。

「ちょう楽しかった!! またやってくれるなら俺が故郷救っちゃる!」
「ありがとうございます!!」

 試練を与えたのは僕のはずなんだけどなー、まぁいいか。

「涼ちゃんを右肩に抱えていたから、私は頭、シャムスは左肩に乗ったんです! 高い所は楽しいです!」
『イネスずっとぺかぺかしてたのよ』
「ついでだから農地練り歩きながら農地も回復させてきました! ママの代わりに社会奉仕しました!」
『興奮しすぎて一部が神の作物になっちゃったの』

 虹色の麦はシャムスのスライムが収穫してくれました。
 一番シンプルな特殊な収穫方法その1でござる。
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