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第三章 世界に降りかかる受難
第548話
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昨日白い子、今日は白い鬼。
「鬼さんこちら」
「いい度胸だなガキ」
人間が白いと弱弱しいのに、鬼が白いと強さが桁違い感があるのはなぜだろう。
筋肉?
頭を掴まれ、体が浮いているけどノーダメです。
これには鬼さんもびっくり。
筋肉モリモリ。
腕が僕の胴体ぐらいあるんじゃない?
さすが異世界、鬼は初めて会う……いや前にエンラに求婚してた鬼がいたな、あの子誰だっけ?
うんうんと頭を悩ませていたら、体がボトッと下に落ちた。
いきなり手を離されて驚いて鬼さんを見たら、天を衝く紅い角ごとえっちゃんの巨大な手に握りこまれていた。
騎士様にプロレス技かけるレイアさんぐらいの容赦のなさで、ギリギリ音がするぐらい握ってます。
プチっといかない辺り、この鬼さんはなかなか防御力が高いと見た。
でもえっちゃんには敵わないみたいで悲鳴も闇に飲み込まれてる感じ。
今日は召喚ではなく、お困りの村人が神様にお願いしてそれに呼ばれちゃったのです。
これが代理の弊害……。
村の近くにある山に恐ろしい魔物が住み着いて困っているから助けて。という願いだったので、見に来たらこの白い鬼さんが小屋を作ってる最中でした。
住み着いていると言うより、これから住み着こうと準備してた?
筋肉モリモリだし、角は真っ赤に燃えるような紅、半裸で腰蓑一丁、黄金の金棒、顔は般若みたいに怖いけど、マールスで慣れているからそれほど怖くは感じないかも。
マールスどんだけ顔怖いんだろう。
あと鬼さんの名前判明しました。
真相はこちら!
「うちのバカがご迷惑をおかけしました」
「いーのよ」
えっちゃんに掴まれていた頭を奪い取り、地面にめり込ませて無理やり謝罪させているこちらのシュッとしたお兄さん、このおっかない顔の鬼さんの知り合いなんですって。
調教師じゃなくて?
「酒呑童子(しゅてんどうじ)は声がでかくて乱暴な馬鹿ですが、美形が弱点で案外ちょろいんです」
ここに住み着こうとしている理由もお兄さんのそばにいたいから。だった。
うーんこれは無罪。
「お兄さんはあの村の人?」
「いいえ」
「あれ?」
「人が多い所で暮らすと王侯貴族が愛人になれと煩くて、静かに暮らせる土地を探して旅をしています。これはただのストーカーを兼ねた番犬ですね」
伴侶ではないらしい。
「だーから、俺が守ってやるから一緒に暮らせばいいだろ!」
「私は山暮らしは嫌です、自然が豊かで食事が美味しく、それなりに人とも関わっていたいですから」
鬼さんこと酒呑が大型犬に見えてきた。
飼い主大好き、独り占めしたい的な?
対するお兄さんは衣食住の水準をなるべく高く保ちたい派。
僕は村人のお願い聞いても聞かなくてもどっちでもいい、鬼退治したいならえっちゃんに一言お願いすればいいだけだけど、今回の場合はお兄さんにリード持ってもらっていれば無害かな。
つまりお兄さんの希望を叶え、その場所で酒呑と暮らせれば大団円。
「物件たくさん、カタログどうぞ」
「おやいいのかい? では遠慮なく」
一件目はネリちゃんのいる国。
レモンの収穫から加工、研究、などなど人手は幾らあっても足らない、レモン溢れるレモン国。
二件目はマシュー君が治める領地。
稲刈りから始まり、米を使った酒や料理の研究が盛んです。
三件目はゴブリン菜園。
子供の食わず嫌いをなくそうをモットーに、様々な野菜を育てています。
最近は弱い魔物が逃げ込み、雑用と引き換えに平穏な暮らしを手に入れているとか。むしろ僕が住みたい。
四件目は刀国。
就職先はお城から城下まで、何でもあるよ。
衣食住用意するからお城で働こうキャンペーンやってます。
五件目はアー君の領地。
世界一の農村地帯を誇るけど、収穫する人手が足りないから滅びた国から積極的に人材引き抜いてます。
死は救済ではない、魔物に変えてでも労働力として働かせたい。たまに豊穣ドラゴンがロデオするからその収穫もお願いね。
どこも涼玉が遊びに行くから満遍なく豊穣でね、人手が足りてないんです。
僕としては魔王城がお勧め、定時帰宅のホワイトな職場だよ。ここに載ってないけど。
「鬼さんこちら」
「いい度胸だなガキ」
人間が白いと弱弱しいのに、鬼が白いと強さが桁違い感があるのはなぜだろう。
筋肉?
頭を掴まれ、体が浮いているけどノーダメです。
これには鬼さんもびっくり。
筋肉モリモリ。
腕が僕の胴体ぐらいあるんじゃない?
さすが異世界、鬼は初めて会う……いや前にエンラに求婚してた鬼がいたな、あの子誰だっけ?
うんうんと頭を悩ませていたら、体がボトッと下に落ちた。
いきなり手を離されて驚いて鬼さんを見たら、天を衝く紅い角ごとえっちゃんの巨大な手に握りこまれていた。
騎士様にプロレス技かけるレイアさんぐらいの容赦のなさで、ギリギリ音がするぐらい握ってます。
プチっといかない辺り、この鬼さんはなかなか防御力が高いと見た。
でもえっちゃんには敵わないみたいで悲鳴も闇に飲み込まれてる感じ。
今日は召喚ではなく、お困りの村人が神様にお願いしてそれに呼ばれちゃったのです。
これが代理の弊害……。
村の近くにある山に恐ろしい魔物が住み着いて困っているから助けて。という願いだったので、見に来たらこの白い鬼さんが小屋を作ってる最中でした。
住み着いていると言うより、これから住み着こうと準備してた?
筋肉モリモリだし、角は真っ赤に燃えるような紅、半裸で腰蓑一丁、黄金の金棒、顔は般若みたいに怖いけど、マールスで慣れているからそれほど怖くは感じないかも。
マールスどんだけ顔怖いんだろう。
あと鬼さんの名前判明しました。
真相はこちら!
「うちのバカがご迷惑をおかけしました」
「いーのよ」
えっちゃんに掴まれていた頭を奪い取り、地面にめり込ませて無理やり謝罪させているこちらのシュッとしたお兄さん、このおっかない顔の鬼さんの知り合いなんですって。
調教師じゃなくて?
「酒呑童子(しゅてんどうじ)は声がでかくて乱暴な馬鹿ですが、美形が弱点で案外ちょろいんです」
ここに住み着こうとしている理由もお兄さんのそばにいたいから。だった。
うーんこれは無罪。
「お兄さんはあの村の人?」
「いいえ」
「あれ?」
「人が多い所で暮らすと王侯貴族が愛人になれと煩くて、静かに暮らせる土地を探して旅をしています。これはただのストーカーを兼ねた番犬ですね」
伴侶ではないらしい。
「だーから、俺が守ってやるから一緒に暮らせばいいだろ!」
「私は山暮らしは嫌です、自然が豊かで食事が美味しく、それなりに人とも関わっていたいですから」
鬼さんこと酒呑が大型犬に見えてきた。
飼い主大好き、独り占めしたい的な?
対するお兄さんは衣食住の水準をなるべく高く保ちたい派。
僕は村人のお願い聞いても聞かなくてもどっちでもいい、鬼退治したいならえっちゃんに一言お願いすればいいだけだけど、今回の場合はお兄さんにリード持ってもらっていれば無害かな。
つまりお兄さんの希望を叶え、その場所で酒呑と暮らせれば大団円。
「物件たくさん、カタログどうぞ」
「おやいいのかい? では遠慮なく」
一件目はネリちゃんのいる国。
レモンの収穫から加工、研究、などなど人手は幾らあっても足らない、レモン溢れるレモン国。
二件目はマシュー君が治める領地。
稲刈りから始まり、米を使った酒や料理の研究が盛んです。
三件目はゴブリン菜園。
子供の食わず嫌いをなくそうをモットーに、様々な野菜を育てています。
最近は弱い魔物が逃げ込み、雑用と引き換えに平穏な暮らしを手に入れているとか。むしろ僕が住みたい。
四件目は刀国。
就職先はお城から城下まで、何でもあるよ。
衣食住用意するからお城で働こうキャンペーンやってます。
五件目はアー君の領地。
世界一の農村地帯を誇るけど、収穫する人手が足りないから滅びた国から積極的に人材引き抜いてます。
死は救済ではない、魔物に変えてでも労働力として働かせたい。たまに豊穣ドラゴンがロデオするからその収穫もお願いね。
どこも涼玉が遊びに行くから満遍なく豊穣でね、人手が足りてないんです。
僕としては魔王城がお勧め、定時帰宅のホワイトな職場だよ。ここに載ってないけど。
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