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第三章 世界に降りかかる受難

第534話

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 長く雨が降らず、強すぎる太陽に草木も枯れた。
 朝に生まれた子供は育たず、昼の太陽に老人が倒れ、夜は空腹を抱えて眠る日々。

 そこに現れたのは旅の司祭。
 彼は村の状況を見て、一つ一つ村人に確認した。

 罪は犯してないか、神々を冒涜していないか、祖先に罪人はいないかなど。
 そんな事を聞いてどうする。罪が一つでもあれば助けてくれないのか! と怒鳴れば、当たり前だと、すでに怒りを買っていたら助けを乞うこと自体が不興を買うと静かに言われた。

 それでもまぁ、最終的に決めるのは神ですからね、と一言添えて、村人に廃材を集めさせて簡単な祭壇を作り、自分は森に入って枯れ地のどこからか葉を数枚と、それに包まれた豆が数十粒を持ち帰った。
 森から持ち帰ったものを静かに祭壇に置き、丈夫そうな木で出来た杖を取り出して祝詞を唱えだした。

 だがいつまで経っても何の変化も訪れはしなかった。

「あっ、やべ、今おやつの時間だった」

 祝詞を途切れさせ、司祭が悪態を付いたのを何人が気付いただろうか。




 涼玉と二人、祭壇の上にじゃじゃーん。
 お、おお、この祭壇間に合わせな感じ? 崩れる。崩れる。

 慌てる僕をえっちゃんがそっと祭壇の下に降ろしてくれた。
 もちろん涼玉もひょいって感じで。

 地面に降り立った涼玉が、今回の召喚者だろう司祭の前に立つ。
 司祭でいいんだよね?
 司祭ってなんだっけ?
 まぁいいか。

「かしこみしたか?」
「はい」

 え、今ので何か通じたの?

「うーんこの土地、俺じゃ無理だぞ」
「あーやっぱりっすか」
「司祭、口調」
「はい」

 一応注意したらキリッと表情を引き締めた。
 大丈夫だろうかこの司祭。

「枯れ方がねー、不自然なんスよ。人間の手の届く所はご覧のように荒れ果てて草の一本も生えていないのに、目には見えるのに手が届かない遥か頭上や、流れが急で人間が入れない川の中は資源が豊富なんス」
「分かってて涼玉呼んだの?」
「神々の分野っすからねー」

 あーかったりぃと言いながら、不良司祭が大きな薬草の葉で作った包みを開いた。
 中身はどうやら炒ったひよこ豆のようだ。ポリポリ食感が美味しいよね。

「炒り時間が絶妙、やるなー」
「ありがとうございます」

 分けてもらったひよこ豆を涼玉が食べ、にこにこと食べている。可愛い。

「あれは多分、神罰系だろうなぁ。自然災害なら何とかなるけど、俺の得意分野は豊穣や舞踏だから神罰となるとどうにもなんないや」

 涼玉が神様っぽいこと言ってる!
 神罰って誰が下した神罰だろう、ちょっとポチポチ。

 ……カイちゃんだった。

 撤収!!
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