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第三章 世界に降りかかる受難

第511話

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 起きたら魔法の授業が始まっていた。
 いかん、いかん、アー君の雄姿を見逃すところだった。

「あっ、神子様おはようございます」
「良いタイミングで起きたな、もうじきアルジュナ様の番ですよ」
「くあぁぁぁ」
「うわっ。欠伸すら可愛い」
「欠伸の仕方が涼玉っちそっくりだなぁ」

 眠気を覚まそうと顔をペチペチしたら、スライムが顔に張り付いて簡単にマッサージをしてくれた。
 もちろん息は苦しくない、だってそういうスライムだから。

「目、覚めた」
「あー、おやつ持ってくれば良かったなぁ」
「何か飲み物あればいいけど、授業中だからなー」

 ちやほやお世話をされるのも悪くないね。
 僕もシャムスについつい甘くしちゃうから分かる。

 あれ、でも今はどちらかと言うとシャムスに甘やかされている?
 これはいけない、退行を楽しんでいる場合じゃない!
 元に戻って僕が子供たちを甘やかさないと――

「おっ、アル様の番だ」
「どこ!」

 アー君を見ようと思いっきり動いたら亀さんからころりと落ちそうになったけど、スライムたちが支えてくれていたので大丈夫だった。
 はぁーびっくりした。

「アルジュナ君、あっちは大丈夫みたいだから続けるぞー」
「あっ!」

 先生の声に意識を戻したら、アー君が両手をこちらに伸ばそうとした体勢で止まっていました。
 僕が落ちそうになったから思わず駆け寄りそうになったんだろうなぁ、でも動くより先にスライムに気付いた。そんなところだろう。ふふん僕の推理が冴えわたっている。

「先生胸毛ぼーん」
「げっふ」

 魔法の授業の先生は担任の先生ではなく、こう、体毛が全体的に濃い感じの人だった。
 思わず呟いたらアー君が噴き出してコントロール失敗、的に当たらなかった。ごめん。

「っふ、これだから下等な生き物は困るんだ」
「むっ」
「下がっていろ、私が本当の魔法というものを見せてやろう!!」

 笑いをこらえようとフルフルしているアー君を乱暴に突き飛ばし、前に進み出たのは食堂で騒いでいた集団の一人、金髪だから若干記憶に残っている。
 王道だろうがテンプレだろうが、アー君を馬鹿にしたな。許さない。

 大きな音がして的が爆発、取り巻きの称賛を浴びながら「これが魔法というものだ」とアー君を馬鹿にしたように見下している。
 もう一度いう、許さない。

「全身つるつるになっちゃえばいいのに……えっちゃんやっちゃえ!」
「キッ!」

 次の瞬間、アー君だけじゃなく授業に参加していた生徒から教師、全ての人が再起不能になった。

「ひっ、ひぅ、笑いすぎて、ふ、腹筋、いたぃ」
「体毛だけじゃなく、ふ、ふふ、服までぇ」
「容赦ない、ねぇ、ふは」
「ちん○んになんで、葉っぱっ! しかも、あれ、動いても絶妙に隠して、る!」
「死ぬ、笑い死ぬ!!」

 えっちゃんも怒っていたようで、金髪だけでなく取り巻き全員素っ裸&全身つるつるになったらしい。
 頭の先から足の先まで、ムダ毛の一本残さず、それこそ眉毛からまつ毛、鼻の中まで一本も残さぬ徹底脱毛だったようです。
 そのせいだったのか、彼らが急にモザイクになったのは。

 やり過ぎたかな?
 でもアー君を突き飛ばしたり馬鹿にしたから仕方ないよね!
 本人は腹筋を鍛えるのに必死で気付いてなかったっぽいけど。

 あと股間の葉っぱはえっちゃんの慈悲である。
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