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第二章 聖杯にまつわるお話

第499話

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 最初はギルド本部にいた冒険者と、魔王城の独身魔物だけで行うつもりだったお見合いパーティー。
 今や各地の魔物から参加申請が届いたり、遠くにいる冒険者から参加したいと苦情が出たりと大変なことになっております。

「アー君頑張って」
「おふぅ」
「にいちゃ、奴隷商に命の選択迫って奴隷を解放、にいちゃの領地に届けてきたぞ」
「さんきゅぅ」
『闇落ちしてた人はイネスの聖地に届けたの』
「ぺかぁと綺麗な状態になったのでお手伝いに使えますよ」
「騎士様、換金間に合いそうですか?」
「ねぇなんでお見合いパーティーにバザー混ぜようと思ったの? 別々にしよう??」
「商品リスト完成しました。母様料理の確認をお願い」
「はぁい」
「樹ちゃーーーん!!」

 我が家で処理出来る事は我が家で、指示して進められる事はお城の文官やギルドで臨時雇いした人達で。
 どちらにしろアー君と騎士様が屍になりかけている。
 刀雲曰く、お城にも溢れているそうです、そっと差し入れを渡しておいたので将軍から受け取ってください。

 他にもパーティー用の食事を用意するため、連日涼玉がロデオしているのでびっくりするぐらい人手が足らないという。
 おかしいな、そこまで大規模じゃないはずだったのにね?

「おにぎりとサンドイッチどっちがいいかな?」
『サンドイッチ!』
「手のひらサイズと一口サイズではどっち?」
『一口サイズ!!』

 料理選びではシャムスが大活躍中です、単にシャムスの好みに偏ったとしても、そこはほら、シャムスが選んだ時点でそれなりに価値があるから。
 飲み物は甘さ控えめのジュースや炭酸、お酒はなし。

 なおバザーを同時開催するのには理由が一応あるといえばあるらしい、アー君が目を逸らしながらごにょごにょ言ってた。

「こうして僕らは大量の屍の山を築きながらパーティーの準備をするのだった」
「ママ、現実逃避してないで手を動かして」
「はぁい」

 でも普段、気楽に暮らしているからね、集中力が続かないんですよ。
 メニュー画面を開いてシャムスに選んでもらうだけとはいえ、結構飽きる。

「エビフライはどうですかー?」
『イネスが食べちゃう』
「食べ尽くします」
「あ、このパングラタンはどうかな」
『おっけぇ』
「えびグラタンはありますか?」
「思いついた。かあちゃこの小さいパングラタン全種出せるか?」
「いいよー」

 涼玉のリクエストに応え、メニュー画面に表示されているパングラタンを全種取り出した。
 それを全部平らげて再びお出かけした涼玉が戻ったのは一時間後、マールスのアイテムボックスには様々なパングラタンが詰め込まれていた。
 えっ、涼玉ってパーティーメニューの救世主だったの?

 なお集めたのは七体のマールスとえっちゃんだったようで、疲労からかちょっと萎びてました。
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