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第二章 聖杯にまつわるお話

第473話

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 謎の宗教団体が綺麗な団体になったり、イネスと騎士様の発光が収まらずに帰宅できなくなるなどのトラブルはあったものの、概ね無事にイベントは終了した。
 今回の炊き出しで綺麗になっちゃった人間はどれだけいるのだろうか。

 そんな事を思いつつ、慰労を兼ねて聖地にいるイネスと騎士様の昼食にヘラ母さんからの差し入れを置いて来ました。
 渡しに来た。ではない。
 二人して七色に光っていたので眩しくて直視できず、死角に野菜たっぷりの鍋だけ置いて帰ってきました。

 騎士様の効果が特にえげつなくて、あの地に移住したトレントが片っ端から魅了されてたし、すでにイネスに魅了されているはずのおじ様達がイネスへの愛と騎士様への愛で揺れ動いていた。
 筋肉ムキムキのおじ様集団に愛されるのが誰得かと言えば女神様だろうか。

「びっくりするぐらい光ってた。ミラーボールもびっくり」
『大みそかに間に合うかなぁ』
「パパが歩く浄化装置みたいになってるんだよなぁ、イネスは奉納された魔石に魔力込めて暇つぶししてる」
「イネスって小遣い何に使うんだ?」
「聖地の建設費用がほとんどなんよ」
「ネヴォラいらっしゃい」
「ちわ!」

 いつ来たのか、鍋にご飯を入れておじやにして食べている。
 ネヴォラの食べ方が日本寄りなのは、育てのゴブリンの影響なんだろうなぁ。

「なんでとーうんは庭で食べてるん?」
「あっネヴォラ!!」
「へぷしっ!」

 好奇心旺盛なネヴォラが、庭で一人ゆったり鍋を突いている刀雲に気付いて近づいて行った。
 シャムスすら近寄らないのには理由があるんだよー! と止めようとしたけどネヴォラの動きが速すぎて出遅れました。

「なにあれ、へぷしっ!」

 ネヴォラのくしゃみ可愛いですね。

「火鍋っていうお鍋だよ、打ち上げに何食べたいかって聞いたら激辛の火鍋って言われて……」
「匂いがすでに辛いんよ」
『縁側に結界張って、中に匂いが入って来ないようにしてるの』
「俺の炎でぐつぐつしてるから焦げない、煮込み過ぎないから最高だって」

 涙目で生還したネヴォラが近くにいたルドに抱き着いて深呼吸をしている。
 もしや刀雲が一人キャンプとかたまに行くのって、思う存分辛い物を食べるためだったりするのだろうか。
 一度騎士様が同行して泣きながら帰宅したことあるし……。

「僕が用意したのはそこまで辛くないはずなんだけどな?」
「おう、出来上がったの俺も確認したけど、あんなに赤くなかった」
『オリジナル具材が凶悪なの』
「刀雲オリジナル、売り出したら売れる?」
「どうかなぁ?」

 刀国内だけならいけるかな?
 同士何気に多いみたいだし。

「今日は邪神一家いないのか?」
「手伝ってもらったお礼に強いお酒を樽で渡したから、邪神の山で宴会してるよ」
「近付くなよ、ジュッてなるぞ、あれは」
『凶悪な魔物生まれるから、明日ママと遊びに行くの』

 ちなみに邪神一家に渡したのは魔女の鍋。
 お鍋の材料いらないのか聞いたら、なんか闇鍋やるらしいです。

 邪神がやる闇鍋……変なもの生まれそうだな、大丈夫だろうか。
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