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第二章 聖杯にまつわるお話

第417話

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 そもそもダンジョンを改変させた意味ってあるのかな?
 普通にその辺のダンジョン乗っ取るだけじゃダメだったの?

 気になって翌日、朝のルーティンを終わらせてからイネスに聞いてみた。

「ダンジョンを一から作ったり場所を探すのが面倒だったんです」
「うん、だからダンジョン怖い怖い言って、作らせたらいっかなーって」
「目論見成功です」
「まぁ中身は望みのタイプじゃなかったから変更するよう一芝居打ったけど」
『欲しかったのは筋肉のあるタイプなのよ』

 なー。と言い合ってイネスと涼玉がハイタッチ。なんだこれ可愛い。

『でもこれでお外で活動している時の一部がみられている事が確定したの』
「みゃぁん」
「がおー」

 それでね。とイネスが尻尾を揺らしながら僕にすり寄ってきた。

「昨日ね、乗っ取った国の将軍さん見つかったんです」
「へぇ意外と早かったね」
『ううーん』
「いやそれがなぁ」

 シャムス、イネス、涼玉が顔を見合わせて苦笑い。

「ちょっと前に戦場で僕が輝いたこと覚えてますか?」
「うん、イネスが誰よりも光り輝いていたね」

 物理的に。

「あの日にね、魅了した兵士の中に将軍さん含まれてたんです」
『今は北部の領主と力を合わせて神殿作ってるの』
「どうなってるの?」

 あの時の戦場は帝国北部に隣接している場所で、昨日行ったハロウィンダンジョンは帝国から遠いとアー君が呟いていた気がします。

「遠征先で罠にはまって奴隷にされて、そのまま帝国に侵攻する兵士として使われてたんです」
『部下に裏切られちゃったのね』
「なお国はそんな事は知らず、新しく出来たダンジョンを異世界の人間に攻略させようとしたんだなぁ」
「すでに国として終わってたんだね」

 将軍と彼が率いていた兵団が捕まるという一大事に、それを知ろうともせず異世界から子供を召喚してダンジョン攻略を強制させていた亡国。
 滅びは必然だったのかもしれない。

「奴隷兵として戦場に立たされた所に、私がぺかーっとして魅了しちゃったみたいです」
『けっかおーらい』
「国に返して国王やらせようとしたけど、今はイネスの神殿作るのが最優先だって断られた」

 奴隷から解放してくれたというだけで心酔する理由には十分なりえる、そこに威力制限なしの魅了を受けてあっさりと陥落したみたいです。
 いや、そもそもイネスの魅了に抵抗できた人って今のところいないね。

 将軍を捕らえて奴隷兵にした国の処遇は帝国に丸投げ、一応ハロウィンダンジョン付きの国をいるかとアー君が聞いたみたいだけど、いらないと言われたそうです。
 でもダンジョンには行きたいので、友好を築ける相手を国王に据えてほしいと要望があったとか。
 なので当初の予定通り、ハロウィンダンジョンのあるあの国はアー君のペンフレンドに押し付ける事が決定したそうです。

 国名はハロウィン国とかになるんだろうか。
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