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第二章 聖杯にまつわるお話

第406話

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 自宅ダンジョンに強制転移させられてから数日、今度はお城に召喚されました。
 召喚と言っても魔法陣を使ってではなく、招待状を使っての召喚、まぁ普通にパーティーへの招待だね。

 いつもこうならいいのに……と言うとでも思ったか!
 なにパーティーへの招待って。
 この招待状の送り主は誰、僕が知ってる人!?

 刀雲助けてと帰宅した刀雲に泣きついたら、不愉快そうに眉をひそめられた。
 もちろん僕に対してではなく、送り主への不快感だったようで危うく招待状を破られそうになりました。

「あー、その名前、聞いたことあると思ったら思い出した。俺の隣クラスに転校してきたどこぞの王女だわ」

 アー君の同級生だったようです。
 意外とあの学園って転校生多いよね、ヒロインから王道転校生まで、何割が生きて学園を出ているかちょっとだけ気になる。

「でもどうして刀雲がこんなに不機嫌になってるの?」
「刀国の中央に入り込みたいんだよ、俺にすりようろうとしたけどクラスメイトに妨害されているから、親を懐柔しようとしてるんだろうな」
「騎士団の訓練所に現れて甲高い声を上げたり、妙なものを差し入れしようとしたり迷惑している」

 うわぁ刀雲が久々に怒っている。
 なんだろうなぁ、行動からしてもしやヒロイン系とかの王女?
 僕の家族に迷惑かけるの止めてほしい。

 なお騎士様は王女様と鉢合わせしないよう徹底され、刀雲にも近付けず、お昼に食堂にも行けずにめそめそしているらしいです。
 今現在、真横で「刀雲とお昼食べれない」とめそめそしていますが……。

「パーティーってどこで開くつもりなんだろう」
「城だと思うぞ、王女だから自分が言えば喜んで会場を提供するし、手配もしてくれると思っているんだろう」
「会場貸さないようにじいちゃんに告げ口済ませてある」

 なお国王様はアー君の告げ口を受けてすぐ、王女から何かを言われるより先に別のパーティー開催を決めたようです。
 その名も「ハロウィンパーティー」。
 女神様の神託の気配がしますね。

 ハロウィンパーティーは上は神様から下は一般市民まで、誰でも参加可能。
 ただし仮装必須。

「私のお店でもイベントやります」
「えっ、イネスの店でもやるのか? 強力なライバルだなー」
「えっへん」

 夕食の席になぜか当たり前のような顔をして春日さんがいたのを不思議に思っていたけど、どうやらイベント関連のメニューのご相談だったようだ。
 国を挙げて王女様のパーティー潰しにかかってますね。

「俺のこと獣人だってバカにしておいて、身分を知ったらすりようろうとしてクラスの女子に口先でボコボコにされたり、王女より綺麗な男子に肌や髪の手入れレベルを嘲笑われたりしてた」
「クラスメイトさん強いね」
『身分など筋肉の前には無意味に等しいのだー』
『脳筋ですねぇ』
「でもにいちゃ、招待状に日時とか書いてあるのに会場押さえてなければ申請もしてないってどうなの?」
「そういった手配は周囲がやって当然だと思ってるんだろうなぁ、国が違えばやり方違うし、今はイベント前で忙しいから正式に手配しても後回しは確実」

 なお、身分は王女様でも扱いはただの留学生、住んでいる場所もお城ではなく学生寮。
 国王様に会える伝手を持っている訳でも、親しい訳でもなく、会うためはキチンと手続きが必要らしい。

「うぅアー君のダンジョン戦利品鑑定やらなくていいと言われて喜んでたら、国王の執務室で一緒にお仕事とか納得できない」

 一番被害を受けているのってもしかして騎士様なんだろうか。
 お気の毒に。夕食のデザートアイス大盛りにするので元気出してください。
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