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第二章 聖杯にまつわるお話

第404話

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 どうしてこうなったかを誰か説明してほしい。
 特に女神様、テンプレ実験まだ続行中なのでしょうか、早く飽きて。
 あぁでも、あの人のテンプレ好きって元からだった気がする。実験関係ない?


 アー君の領地にあるレッサーデーモンの守る辺境の地。
 遊びに来たら開拓真っ最中で観光する場所がありませんでした。

 そもそもこの世界、女神様に都合が良いように文明が低めな設定なので娯楽が少ない。
 刀国を基準にしてはいけないのをたまに忘れちゃう、あそこは神々が地球から持ち込んだ娯楽がゴロゴロしているからね、文明のレベルが他国より数段高い。

 商人が刀国の何かを自国に持ち帰るとする。するとあら不思議、一度は流行るのに不思議な力でいつの間にか消えてしまうらしい。
 帝国の料理革命を真に成功させるには、まず女神様の意識改革が必要だと前にアー君が言ってた。

 ただ例外というか裏技はある。
 アー君の領地のように神様が改革に関わってるとその地に定着しやすいんだって、ただ内政に興味持つ神様がそもそもいないから現在のあり様のようです。
 もしやアー君を筆頭としたうちの子の内政干渉は、この箱庭世界の文明レベルを一ミリぐらい上げる手助けにはなっているんだろうか?

 なお、僕のポジションは微妙なんだとか。

「えー」
「いや、だって神子様、神様の暴走止めてくれる時あるけど、暴走を手助けする確率の方が高いですし。しかも最近は元凶な時もありますよね」

 僕が暴走するのはもふもふが関わっている時だけです!
 ……それが原因ですね、もふー!

 ギルドに案内された僕は食事スペースになっている場所に案内され、テーブルの周囲を獣人で固めて接待されております。
 アー君が冒険者にどんな教育しているかちょっと気になりますね。

「あっ、このジュース美味しい」
「リンゴと人参のミックスジュースです、昨日大量に収穫して消費に協力しろってこっちにも押し付けられたようで今日は半額でした」
「あぁ」

 涼玉がロデオした影響かぁ。

「統括の午前の授業が終わるまではここで大人しくしててください、隣の連中もふっていいですから」
「えー、帰っても皆寝てるから暇で遊びに来たのに」
「俺の毛皮、ブラッシングしてもいいですよ」
「え?」
「そいつの種族、ホワイトウルフ、僕は白熊と兎獣人のミックス、ふわさらともこもこ、どっちの手触りがお好みですか?」
「はわわ」

 どっちも好きぃ。
 そうやってベタベタの接待を受けつつもふもふに囲まれて至福の時を過ごしていたら、知らない間に机の前に怪しげな女性が立っていたんだ。
 もふもふだけを見ていて気付かなかった可能性は否定出来ない。

 それでなんだっけ、なんかごちゃごちゃ言ってたけど、きっと憎悪の言葉だったんだろう、聞き取れなかった。
 シリアス台無しだよこのスキル。

 足元に魔法陣が展開、女性が周囲の冒険者に取り押さえられる中、僕と接待役の獣人数人が強制転移させられました。
 いつもの召喚と逆、これはこれで新しい。のか?

 転移した先は見渡す限りどこまでも続く木々。でもなんだろう、見覚えがあるような?

「神子様お怪我は」
「ないよ」
「あの者が最も危険なダンジョンで果てろと叫んでおりました。幸い我らは装備一式持っております」
「必ず無事にこの森を抜けましょう、それまでどうかご辛抱を」

 獣人さんたちの言葉が心強い、きゅんとする。
 でもね、命を懸ける必要はないんだ。えっちゃんがいるから。

 その時、木がぐにゃりと動いて、獣人たちが一斉に警戒態勢に入った。

「おはようございます」
「……」

 トレントが枝をわさっとさせて挨拶してきた。

「朝食のフルーツですか?」
「今日はブドウお勧め」

 トレントが我先にとフルーツを勧めてくる。

 笑っちゃだめだ。
 僕よ腹筋に力を込めろ。

「イツキ様おはようございます」

 現れたドリアードがとどめのように僕の名を呼んだ。

 飛ばされた先は自宅の果樹園でした。
 えっと、その、獣人の皆さん朝食食べていきますか?
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