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第二章 聖杯にまつわるお話

第366話

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 帰還したら領主の座るはずの席に雷ちゃんがいました。
 牛さんと仲良く甘いものを食べながらあれこれ意見を言い合っている。
 甘味友達になったのだろうか。

「雷ちゃん、プリン出来たぞ」
「!!」

 甘味にキャッキャウフフと意見交換をしてた二人が、聞こえた声にカッと目を見開いて姿勢を正した。
 登場したるは愛用エプロンを着た刀雲。
 手には普段の二倍の大きさのプリンアラモード。

 普段はそこまで介入しない雷ちゃんが、過剰なまでに介入して巻きで解決をした原因はこれか!!
 雷ちゃん、刀雲の作る手作りプリンが一番好きだもんね。

 …………いや、それで真っ黒こげにされただけじゃなく、一国を滅ぼしていいものか。
 手遅れだけど。

「ご希望通り、ここの領地で取れた物だけを使って作ったからな」
「うむ!」
「!!」

 目の前に置かれた特製プリンアラモードに大胆にスプーンを突き刺し、大きく口を開けてパクッと一口。
 うっとりと目を細めて至福の瞬間を噛みしめる雷ちゃん、隣では牛さんが黙々と食べている。

「イツキお帰り」
「刀雲来たの?」
「騎士団の演習の一環だ」

 そう言えば騎士団に依頼すれば我が家のためなら動いてくれるんだっけ、クリスタル林檎騒動でうっかり忘れていました。
 なるほど、演習として後から来たら僕が召喚されていたってわけか。
 もしや雷ちゃんを動かしたのは刀雲だったりする?

「おかわり!」
「ハイハイ」
「我も」
「たくさん作ってあるから」

 刀雲が合図すると、牛さんの伴侶さん達が追加のプリンアラモードを運んできた。
 それにしてもエプロン姿の刀雲はやっぱりいいなぁ、んふふ。

「イツキのも作ってあるから、子供達が戻ってきたら一緒に食べよう」
「うん」

 給仕は伴侶さんたちに任せ、僕と刀雲は牛の群れがいる場所に移動、スラちゃんが分裂してせっせと牛たちのお世話をしていました。
 そしてスラちゃんの指示を受けて働いているの、騎士団の人だっ!!
 いいのだろうか。

「搾乳は全てスライムに任せれば人間が行うより量もとれるし、安全だな。これからも頑張れよ」
「ぷきゅ!」

 家長の激励に触手を伸ばして敬礼をするスラちゃん。
 相手は元魔物の牛だけど、スラちゃんはシャムスのスライムなので力関係において何の心配もないのが安心。

 涼玉達がたまに遊びに来ているから牧草の心配もないし、ここって結構いい環境だよね。
 あっ、子牛発見。
 こちらに走ってきたと思ったら、途中で牛の着ぐるみを着た幼児に変化した。

 どこぞのショタ守護神が喜びそうな元気のいいショタが刀雲に抱っこをせがんでいる。
 着ぐるみいいよね、今度シャムス達に着てもらおうかなぁ。
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