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第二章 聖杯にまつわるお話

第350話

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 ホットドッグのお店を後にして、散策を続けることにしました。
 レストランの内装を見たくて近付いたら、内装空っぽなびっくり事実。

 どうやらそこまで手が回っていないようです、通りすがりの冒険者の人に聞いたら、神殿を中心に整えている最中なので、娯楽系まで手が回りきらないみたい。
 ちなみに建てたのは女神様なので、費用は掛かっていないそうです。
 本来なら勝手に利用して商売を始めても不思議はないけれど、神々が関わっているから不法占拠するような無謀な人は今のところいないとのこと、多分いいことなんだよね?

 迷子になるなよ神子様と飴を貰ったのですが……異国の地に来ても僕のことが知られている。
 ポンチョのせいにしてもいいですか。

 適当にチラホラあるお店を覗きながら歩いていたら、街中の薄暗い場所に辿り着きました。
 とても不穏ですね。
 いや、でもここセティのお膝元だし、そこまで不穏なことは起こらない、よね?

 なんて思った数分後。

「へへへ、こんな上玉が手に入るとはな!」
「ラッキーでしたね親分!」

 見るからにならず者な二人にさらわれ、現在裏路地を運ばれております。
 お約束って怖いですねー。

 二人は僕を殴って気絶させたと思っているけど、ポンチョの防御力がカンストしているのでダメージ受けてませんよ、普通に起きている事に気付いてほしい。
 もしや間抜けな二人組なのだろうか、お馬鹿で憎めない設定あるとやりにくいかもしれない。

「これを売ったら俺ら大儲け!」
「でもどこで売りますか?」

 薄暗い路地を奥へ奥へと走り抜け、ぼろ小屋のような家に到着。
 手足を縛られ小屋の隅に転がされる体験は初めてかもしれない、こんな状況なのに怖くないのは陰に常にえっちゃんがいるのを知っているからです。
 いざとなったら闇に沈めばいいしねー。

「へへ、バカだな裏には裏の道があるんだ、そこに奴隷として売り払う」
「伝手があるんすね、親分カッコイイ!」

 そして再びえっちらおっちらと運ばれ、闇ギルドに到着。
 値段交渉をしていたはずの二人がボコボコにされ、僕はお茶とお菓子を出されて歓待されています。

 闇ギルドの統括、イグちゃんだもの。

「神殿で大人しくしておこうぜ」
「行こうと思ったんだよ? 行く方向間違えたみたいで、気付いたら街に出てたの」

 お菓子を食べながらイグちゃんが呆れた顔でこちらを見ている。
 壁際にはおっかない顔したいかつい人達、腕っぷしと顔の怖さを基準に雇ったんだって。

「ここにもあったんだね、闇ギルド」
「俺だけじゃ中々大きく出来なくてさー、邪神を信仰する一族に手伝ってもらったら一瞬で安定した!」

 この世界には現在4つのギルドが存在する。
 冒険者、商業、海神、闇、全ての統括が僕の身内という事実。
 そのうちの一つ、闇ギルドの統括がこちらのイグちゃんです。

 うちのヨムちゃんがアー君とアカーシャを真似て海神ギルドを創立、統括はヨムちゃんだけど運営責任者はギレンだけど拒否権はなかったらしい。
 闇ギルドってあれと同じノリで設立されたんだよね。

 暗殺依頼とかもあるらしいけどね、こなすのは人間の暗殺者じゃなく夜食狙いの邪神というだけで。
 だから雇われている人が一番求められるのは、暗殺技術ではなく正確な情報収集能力だったりするらしい。

 あと僕みたいに誘拐された人を売りに来る場合もあるらしく、元凶を始末すると同時に奴隷落ちしそうになった人間を保護出来て一石二鳥だとかなんとか。
 平和だと納得していいのかちょっと悩むけど、悪人は減るし、邪神はおやつを食べれるしで八方好、なんだろうか?
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