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第二章 聖杯にまつわるお話
第343話
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オアシスが幻獣の楽園になりました。
ミーアキャットもいるので警備もバッチリ、下手に人間が侵入しようとしたらちょっと危ない。
ふわっとした芝生の道を五分ほど歩くとプール付き豪邸、砂漠でも瑞々しさを保つ芝生とは……砂の熱さに辟易せずに済むから助かるけどね。
こちらの豪邸、朝からマンドラゴラの指示に従い、サボテンや吸血鬼の皆さんがこき使われております。
どうやら僕が寝ている間に休憩時間終わったみたいです、容赦ない。
「それにしてもオアシスが昨日の二倍の広さになっていた気がする」
「なってたねぇ」
のんびり答える騎士様の横には木の槍を構えたミーアキャット、護衛のつもりなんだろうなぁ、可愛い。
「放す魚をあれこれ選んでいたら広さが足りなくなって、ヨムが広げたんだ」
「なるほど」
幼児姿に戻ったシャムスを抱っこする刀雲の後ろにはコヨーテの群れ。
これはあれかな、刀雲を群れのボスだと思っている?
ちなみに霧ちゃんは僕らの周囲に霧を発生させ、温度調整をしてくれているのでとても助かります。
ちょっとむすっとしているのは、シャムスが刀雲に抱っこされたがったのを嫉妬でもしているんだろう、でも仕方ないと思うんだ。シャムスはまだまだ赤ちゃんだから。
「ママお帰り、じゃあ行こうか」
「え?」
僕はてっきりお昼を食べるために戻ってきたと思ったら違ったようだ。
そもそもまだ十時のおやつの時間にもなってないらしい。
連れていかれた先は一面真っ白な雪の中。
吹雪いていて何も見えません。
あれ?
でも体には雪がつかないね?
騎士様を見たらにっこり微笑まれた。
なるほど、騎士様が風を操作してくれているのか、ありがとうございます。
アー君の先導で向かった先は雪に埋もれた廃墟だった。
「……」
一番大きな建物の前には呆然と立つ集団と、体を小さく丸めるホワイトドラゴン、プラスうちのイネスとネヴォラがいた。
あっ、何が起こったかだいたい分かった。
「イネス?」
「アー君ごめんなさい、僕らちょっとヒャッハーしすぎたです」
「なるべく離れた所で滑ったんよ? でも何度もやったらポイントがずれちった」
どうやらここ、アー君が開拓日誌を記録するために活用するはずだった吸血鬼一族の住処だったもよう。
けどドラゴンボードで遊んでいたら当然のように雪崩が起き、何度目かの雪崩がこの集落を直撃してほとんどの家が埋まってしまったらしいです。
もう住めないねぇこれは。
「んもー! 俺が雪山に緑を芽吹かせることが出来るか挑戦する予定だったのに!」
「涼ちゃんごめんね、わざとじゃないの」
なんという事でしょう、いないと思ったら先に来ていたらしい涼玉が雪の中から出てきた。
マールスはどこに? と思ったら、涼玉が下半身に履いている卵の殻から小さな蛇がにょろっと出てきた。
顔が七つ、マールスですね。
「涼ちゃんどこにいましたか?」
「そこの一番でっかい家の壁んとこ、じいちゃんに頼んで風で保護してもらって、卵になってやり過ごした!」
「私は涼玉様の殻の中に避難しておりました」
そう言いながらもちょっと嬉しそうなマールス、殻の中に入るって確かに中々ない体験だろうけど、それで喜ぶのはちょっと変態っぽいですよ。
ミーアキャットもいるので警備もバッチリ、下手に人間が侵入しようとしたらちょっと危ない。
ふわっとした芝生の道を五分ほど歩くとプール付き豪邸、砂漠でも瑞々しさを保つ芝生とは……砂の熱さに辟易せずに済むから助かるけどね。
こちらの豪邸、朝からマンドラゴラの指示に従い、サボテンや吸血鬼の皆さんがこき使われております。
どうやら僕が寝ている間に休憩時間終わったみたいです、容赦ない。
「それにしてもオアシスが昨日の二倍の広さになっていた気がする」
「なってたねぇ」
のんびり答える騎士様の横には木の槍を構えたミーアキャット、護衛のつもりなんだろうなぁ、可愛い。
「放す魚をあれこれ選んでいたら広さが足りなくなって、ヨムが広げたんだ」
「なるほど」
幼児姿に戻ったシャムスを抱っこする刀雲の後ろにはコヨーテの群れ。
これはあれかな、刀雲を群れのボスだと思っている?
ちなみに霧ちゃんは僕らの周囲に霧を発生させ、温度調整をしてくれているのでとても助かります。
ちょっとむすっとしているのは、シャムスが刀雲に抱っこされたがったのを嫉妬でもしているんだろう、でも仕方ないと思うんだ。シャムスはまだまだ赤ちゃんだから。
「ママお帰り、じゃあ行こうか」
「え?」
僕はてっきりお昼を食べるために戻ってきたと思ったら違ったようだ。
そもそもまだ十時のおやつの時間にもなってないらしい。
連れていかれた先は一面真っ白な雪の中。
吹雪いていて何も見えません。
あれ?
でも体には雪がつかないね?
騎士様を見たらにっこり微笑まれた。
なるほど、騎士様が風を操作してくれているのか、ありがとうございます。
アー君の先導で向かった先は雪に埋もれた廃墟だった。
「……」
一番大きな建物の前には呆然と立つ集団と、体を小さく丸めるホワイトドラゴン、プラスうちのイネスとネヴォラがいた。
あっ、何が起こったかだいたい分かった。
「イネス?」
「アー君ごめんなさい、僕らちょっとヒャッハーしすぎたです」
「なるべく離れた所で滑ったんよ? でも何度もやったらポイントがずれちった」
どうやらここ、アー君が開拓日誌を記録するために活用するはずだった吸血鬼一族の住処だったもよう。
けどドラゴンボードで遊んでいたら当然のように雪崩が起き、何度目かの雪崩がこの集落を直撃してほとんどの家が埋まってしまったらしいです。
もう住めないねぇこれは。
「んもー! 俺が雪山に緑を芽吹かせることが出来るか挑戦する予定だったのに!」
「涼ちゃんごめんね、わざとじゃないの」
なんという事でしょう、いないと思ったら先に来ていたらしい涼玉が雪の中から出てきた。
マールスはどこに? と思ったら、涼玉が下半身に履いている卵の殻から小さな蛇がにょろっと出てきた。
顔が七つ、マールスですね。
「涼ちゃんどこにいましたか?」
「そこの一番でっかい家の壁んとこ、じいちゃんに頼んで風で保護してもらって、卵になってやり過ごした!」
「私は涼玉様の殻の中に避難しておりました」
そう言いながらもちょっと嬉しそうなマールス、殻の中に入るって確かに中々ない体験だろうけど、それで喜ぶのはちょっと変態っぽいですよ。
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