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第二章 聖杯にまつわるお話

第260話

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 皇帝って暇なのだろうか、朝からずっと稲刈りして、お昼食べてまた稲刈りして、姿が見えないから帰ったのかと思ったら、離宮でピザを作っているらしい。
 ダンジョンに行ったり、子供達と遊んだり、結構充実した生活送ってますね。

「将軍、本日の収穫はいかがいたしましょうか」
「欲しい奴がいるなら持ち帰ってもいいぞ、不要分はその辺のスケルトンに預ければ片付けてくれる」
「カタタ」
「……フラフラしているのですが」
「俺たちよりも疲労してます!」
「イネスのせいだな、悪いがスケルトンの代わりにギルドに納品してやってくれ」
「承知!」
「昼飯食べ終わった奴から刈り再開な」
「「えええええ」」

 刀雲の言葉に一斉に悲鳴が上がったけど、涼しい顔でスルーする刀雲に暑苦しい男たちが涙ぐみながらすがりついております。
 わぁ我が家の家長がモテモテだ。

「ママー」
「イツキ!」

 散々走りまわり、お昼を食べて満足したらしいイネスとネヴォラがキラキラした表情で駆け寄ってきた。

「良い事しました! ちょっといいおやつ食べたいです!」
「何をしたの?」
「人命救助! イネスが女神にお願いされたから、二人で行ってきたんよ! イネスががーーって穴を掘って、わたしが転移で穴から人間出してやった!」
「それは立派な人命救助だね」
「だからね、だからね、ご褒美ください」

 おねだりしながら僕の胸に頭を擦り付けて甘えるイネス、あざとい! だが可愛い!
 何がいいかな!

 メニュー画面を開いておやつコーナーを開きます。
 クッキーシューの真ん中を割り、たっぷりの生クリームと大粒の苺。
 イネスもネヴォラも苺好きだからこれいいかもしれない、よぉしポチ。

『ママー』
「食べたいな」

 横にいるシャムスと涼玉もそれを見ているわけで、当然欲しがるよね。
 でもこれは二人がいい事したご褒美であり……うぅ。

「俺とシャムス兄、午前中悪戯もせずとてもいい子にしてたと思う」
『いい子だったの』
「確かに」

 はしゃぐと大変なことになるからね、ふわふわのケーキを食べながらシャムスや僕とのんびり過ごしていた。
 おかげで作物がはしゃぐ事もなく、主にトレントがふわふわした感じで周囲の空気が柔らかかった気がする。

『ママお願い』
「午後もいい子にする」
「イネスいいかな?」
「いいですよ! 皆で食べると美味しい!」
「ついでにもう一個おかわり!」

 子供達が笑顔でおやつを食べる優しい光景。
 それを遠目に怨嗟の篭った瞳で見つめる大人達。

 すみませんねぇ、うちの子たちばかりいい思いしてしまって。
 でもあまり恨みを向けていると、うちの家長の怒りを買っちゃいますよー。
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