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第二章 聖杯にまつわるお話

第240話

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 スタンピードによる食糧難解決のため、涼玉が兄弟とロデオしながら農村地帯を爆走した。
 回収は大変だったようだけど、アー君が想定した量は一日で回収できたらしい。

「学業が終わって駆け付けたら死屍累々」

 移動は牛さんに乗ったので省けたけれど、回収だけは自分達でしなければならなかったため、アー君が学園から駆け付ける頃には動ける人が一人もいなかった。
 ひよこ豆のスープでドーピングするのは可哀想なのでやっていません、ああでも、疲労回復の為には配ってあげた方がいいのだろうか。

「アー君お帰り」
「ただいま」

 黄金の牛があっちでもぐもぐ、こっちでもぐもぐと、行く先々で食事を楽しんだので、結局子供たちと合流出来たのは夕方になっちゃいました。
 お昼のお弁当はえっちゃんが届けてくれたけど、僕も一緒に食べたかったなぁ。

 村の視察を一旦切り上げ、シャムスらに合流したらあちこちに農民が倒れているのを見た時は驚いた。
 全員ただの疲労だったけど。

「この米で作った焼き団子とパンケーキも我が領地で食べたい」
「契約さえすれば商業ギルドを通してここから米を買えるぞ、レシピもその時に申請すれば手に入るから」
「分かった」

 温かいご飯を潰して作った米団子が気に入ったようです。
 タレは砂糖醤油より甘めの味噌ダレが好みのようで、今は五平餅をもぐもぐ中。

 凄い食べるな、黄金の牛。

『楽しかったー!』
「満足した!」
「亀はちょっと酔いますね」
「あれに乗る先生ちょう凄い」

 一日遊び倒した子供たちも満足げに笑っています、涼玉が楽しそうに笑うから背後で稲やら麦やらわさわさ再生してるけど……収穫は明日以降でも大丈夫だろう。

「指一本すら動かせないと収穫物回収できないな、えっちゃんアイツらの口にひよこ豆突っ込んでくれるか?」
「キ!」

 ゾンビのような声があちこちで聞こえる中、影がざーーっと動いて農民の口をこじ開け、ひよこ豆を強引に食べさせた。
 辛うじて動けるようになるとアー君の指示に従って鞄を影に置き、フラフラしながら近くにいた牛の背に乗って村へと帰っていった。
 一日お疲れ様でした。

 明日も頑張ってください。

「今日回収したのはどうやって配るの?」
「加盟国には最低一店舗、商業ギルドがあるからそこに納品して、後はギルドが適切に配ってくれる」
『おおー』
「今日の分で足りるか?」
「最低限は回収できたかな」
「じゃあ明日もやりましょう!」
「やろー! でも亀は先生に返す」

 ネヴォラの一言に亀が絶望の表情を浮かべた気がするけど、亀だから表情良く分からない。
 とりあえず明日は君の出番ないって。

「ならば明日はヨモギ餅というのを食べるか」
「……明日も来るの?」

 黄金の牛は明日も食べるようです。
 目的が村の視察ではなく、食べ物の視察になってますよ。
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