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第二章 聖杯にまつわるお話

第202話

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 ドリちゃんが僕よりメニュー画面を使いこなしている件。

 僕しか使えないはずなのに、たまにパッと開く時がある。
 そういう時はドリちゃんが主張したいことや欲しいものがあって、正確に伝える手段としてメニュー画面を使っているようです。
 方法は簡単、女神様と同じように商品をぺかぺかさせるだけ。
 ドリちゃんの場合はレシピ画面を開き、リストに表示された食材の中で欲しいものをぺかぺかさせてます。

 以前はドリちゃんの近くにいないと使えなかった連携機能、今じゃいつでも使えるようになったらしい。
 魔力無限という騎士様から与えられたチートを使いコツコツ研究した結果、魔力を繋げばいい、つまり夢の世界に自分の分身置けばいいのでは?という推測にたどり着いたドリちゃん。
 この間、寝たら夢の世界にドリちゃんの分身が派遣されてて驚いたなー。

 世界樹に作り、子供たちに乗っ取られた元僕の隠れ家、あそこを拠点にしてました。
 乗っ取り一号の花ちゃんは帝国の教会に引っ越したからね、ドリちゃんがまさかの乗っ取り第二号です。

 子供たちが好きなものを詰め込んだ場所だから、他のどの場所より僕らと繋がりが強いとかなんとか。
 夢の世界を通して繋がりを持てば、そりゃ距離とか関係なくなるよねー。

 僕より異世界チートを使いこなしている。
 うーん、僕もどうにかチートを使いこなしたい、謎能力はチートを超えた何かだけど、使いこなせてないし、何なら子供たちの方が付き合い方がうまい。

「うーん無双してみたい」
『いつもしてるの』
「日常が無双状態だぜ」

 納得がいかない。

『Sランク越えの魔物に囲まれて暮らしているのがすでにチートなの』
『凶悪な魔物がふわっとした感じに大人しいのはどう見てもかあちゃの影響……』

 戦いはなぁ、女神様の愛しい子なせいもあり全く才能がない。
 もし戦う力があったとしても、相手が負傷した時点で視界がモザイク。

 守りだけは完璧なんだけどなぁ。
 
『そもそも邪神が増殖しても世界の平穏が保たれてるのはママの力』
『増えすぎたのもかあちゃの力だけどな!!』

 せめて異世界の料理で無双も考えたけど、僕ただの高校受験を控えた中学生だったしなぁ。
 何よりメニュー画面を味方にしたドリちゃんの料理に勝てるわけがない。

「財力ではアー君に勝てないでしょ」
「むりぃ」
「無理だな!」
「どちらかと言うと奢ってもらってる気がする」
「あい」
「かあちゃがおねだりすれば国の一つぐらい買ってもらえると思うぞ!」
「いらないかな」

 統治とか才能あるとは思えないし、途中でアー君に頼り切りになると思います。途中というか最初から?

「使える魔法がクリーンだけ、でもこのクリーン自体がもはやチートな魔法だよね」
『なんでもピカピカ』
「刀国民なら未成年以外はレベルカンストしてるもんな」

 異世界ファンタジーではアイテムボックスはチートな能力なんだけど……刀国民ならほぼ全員持っている。
 持っていないのは他国からの移住者とか理由があるんだっけ、もはや刀国民がチートなんだよね、僕が霞むこと霞むこと。

「そう言っている間にドリちゃんが桜の蒸しパンを作ってくれたよ」
『きゃー!』
「ココアもピンク色だ」

 お取り寄せ機能があっても使わない、だって最近のドリちゃん、見ただけで再現できるから。
 材料がないだろう?
 我が家には豊穣ドラゴンの涼玉がいるから問題ないんです、しかも涼玉を通すことで品質がワンランク上がる奇跡仕様。

「ん~、ふわふわが美味しいっ」
『イネスの肉球と同じ色ね』
「帰ってきたら比べて見ような!」

 まぁいいか、美味しいもの食べれるし。

『騎士様にお願いすれば世界をママにくれると思うの』
『嫁だしな』

 おっと女神様から春のおやつ作りのお誘いだ。
 何々、皇子達が面白半分にヨモギを植えたら増えすぎた。消費に付き合えってことか。

 明日の予定が決まりまったようです。
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