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第二章 聖杯にまつわるお話

第128話

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 男児だけを保護し、世の中を男児一色にしたいシヴァさん。
 男女関係なく庇護するのが習性のヘラ母さん。
 男同士の恋愛至上主義で、男女の恋愛にはほぼ興味がないくせに女性をこの世界に存在させるのは、より幅広い恋愛模様を眺めるためな女神様。

 三者三様の思惑が渦巻く帝国、何ならそこにさらに上位の存在もいるけど好き嫌いは特にないからスルーしていいと思う。

「ふはははは!! 二度と絶望できない体にしてやります!!」
『ぺかぁ! ぺかぁぁぁ!!』
「きゃー! 親分が綺麗な親分になったー!」
「借金取りが懺悔しながら借金チャラにしてくれたぞー!」
「高利貸しが全財産教会に寄付したぁぁ!!」

 ほら貴賤なく助けてくれるからいい神様だと思いますよー。

「坊やを連れて行かないで!」
「子供(ショタ)は宝ですが大人はいりません」

 あ、ダメな神様代表が外道なことしてる、止めに行かなきゃ!

「シヴァさん!」
「大丈夫です、子供は全て私が責任をもって保護します」
「子供を全てって言うなら女の子も保護してください! 前にアー君と約束したでしょう!」
「正直、女児なんてどうでも良くないですか? ショタさえいれば」

 僕らがショタ守護神と呼んでいるせいだろうか、ショタコン化が前よりも悪化している気がします。
 レイアさん、貴方の息子たち何とかしてください。

「ふー休憩です」
「あい!」

 一時間ほど大暴れしたシャムとイネスが戻ってくるとアー君親衛隊が集まり、ミルクを飲ませたりブラッシングをしたりとあれこれと二人の世話を焼き始めた。
 アー君の兄弟を大事にするのは点数稼ぎになるし、神様に奉仕する栄誉にもあやかれるとかなんとか。

「次は僕の新技試しちゃいますか!」
「新ぺかぁね!」
「イネス、それはどんな影響があるの?」

 力加減間違えて廃人増やさないでね?
 ほら話を聞いた教会関係者がこちらをビクビクしながら見ているよ。

「えっとですね、このポーズで――ぺーかぁ!」
「「ぐはぁぁぁ」」
「え?」

 尻尾でハートマークを作ったイネスが女豹のポーズでウィンクをした瞬間、ちょうど連行されていたらしい通りがかりの犯罪者っぽい人たちが心臓を抑えてバタバタと倒れた。
 え?
 そんなに危険な新技なの!?
 大丈夫じゃないっぽいよ!?

「おい、立て!」
「はわわぁ」
「イネス様ぁぁ」
「我らが命ぃぃ」

 なんか変な感じに変質したっぽいんだけど、これが新技の効力?
 え、気持ち悪い感じの変質者が増殖する技なの!?

「聖属性と魅了の複合技です」

 何でも人が抱える闇を聖属性で焼き払うと同時に魅了で塗り替える技だとか、つまり闇の世界に深入りしている人ほど反動でイネスに心酔しちゃう恐ろしい技。

「止めよう、封印しようね、いい子だから」

 闇落ちした人が心酔なんてしたらヤンデレ一直線だよ。怖い怖い。
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