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第一章 紡がれる日常

第49話

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 解決した。

 今は自宅で唐揚げ定食食べています。
 神薙さんの食欲がとても良くてですね、僕らの分も美味しく食べてくれたそうです。

 こちらは卵を取り返したお礼にとドラゴンの伴侶がくれた鶏肉です、何の魔物だっけかなぁ?
 鳥の形はしていた気がする。
 スーパースラちゃんが一瞬で捌いて唐揚げにして、残った骨やら羽根などはいつも通りアー君経由でギルドに売り飛ばして子供達やもふもふズのお小遣いになります。

「唐揚げの魅力に勝てない!! こいつのせいで俺は肥満を発症したんだ!」
「もしかして俗世を捨てる宣言したのそのせい?」
『太りやすいのは体質よ』
「マールス、レモン絞って」
「っは!」

 もちろん涼玉もキチンと回収して一緒に帰宅しましたとも、涼玉と離れることがトラウマになっているマールスが盗賊を瞬殺してラセンと魔物の出番なかったそうです。
 愛の力って偉大。

 ドラゴンは謎能力が止めた。
 僕はドラゴンが通るかもしれない場所に花畑を見つけ、来るまで暇だからとシャムスと追いかけっこして遊んでいただけです。
 途中で周囲に暮らす魔物も参加し、結構な人数になったけど楽しかった。またやりたいなぁ。

 アー君は花を見ながら「これ咲いちゃダメなやつ」と呟いて頭を抱えていた。
 多分また仕事が増えたんだろう、若いのにやること多くて大変ですね。

「唐揚げは魔物なんだ……付けるタレやソースによってその味を七変化させる恐ろしい魔物なんだ!!」
「それ、ただ単にお前が食いしん坊なだけだからな?」
『僕そのままが一番好きー』
「俺はレモンかなぁ」

 僕はケチャップにタバスコ少々混ぜてつけて食べるのが好きです、恐らくこの手の話をお城に持っていったら役人さんの間で派閥争いが起こると思う。
 サンマが出回った直後はポン酢か醤油かレモンかと闘争が起こったらしい、刀雲が大根おろしを添えて食べているのを見てさらに悪化したって言ってたけど、あれは鎮火したのだろうか。

 まぁお城で起こる派閥争いの火種はほとんど我が家が原因なんだけどね、次はパンケーキに何が合うかという議題とかどうだろう。
 ソースから添え物まで無限大ですよ。パフェもいいかもしれない。

「そう言えばアー君、あの花畑の花ってそんなにダメなやつだったの?」
「あれなぁ、本来ならうちの国にあるはずがないものなんだよ。あれだ、えーっと麻薬に近いかな?」
『犯罪組織が暗躍している気配!』
「俺らの冒険がまた始まっちまうな!!」
「イグが領地で麻薬代わりに栽培している薬草の変異種だったかな、効能は邪神が摂取すると酔っぱらう。またたび的なあれ」
「そういえば神薙さんがイグちゃんから貰った新酒を盃で美味しそうに飲んで珍しく酔ってたね、あれか!」

 人間が摂取しても体に害はないけど渋柿を食べた時みたいな惨状になるらしいです。それは地味に嫌だなぁ。
 何か悪いものを作っている雰囲気を出したいだけのイグちゃん用に作り出された花なので、取引相手は邪神一家と邪教の皆さん、あと邪神にお礼を納めたい人達など、お金に糸目を付けない人が相手なので領地の良い収入にはなっているそうです。
 神薙さんもお気に入りなので我が家でも定期購入してます。

「あれ、イグを介してしか手に入らない酒を作る花なんだ。あと基本趣味でやってることだから、あの花はイグの領地にしかない、あるはずがないんだ」
「邪神の花を盗んだ?」
「そうなる」

 呪いどころの話じゃない。報復が恐ろしいことになりそう。

 たくさんの魔物と追いかけっこ出来るぐらい広い花畑だったし、栽培自体は成功しているよね。
 そりゃぁ刀国の国土は把握できないほど広いし、ほとんどが森に覆われているから森の中で悪事を働かれると発覚しにくい。

「ドラゴンの卵窃盗の件といい、イグちゃん花を盗んでこっそり栽培していたことといい、規模が大きい?」
「すっごい今更なんだけど俺は気付いてしまった」

 デザートの今川焼を片手にアー君がキリッと表情を引き締めた。
 格好つけたいなら食後のデザート下に置こう?

「パパ達が帰ってこないの犯罪組織の尻尾掴んだからかも!」
『お腹いっぱい、ねむねむ』
「俺も眠い、マールス抱っこ」
「はい!」
「俺はどうしよう、ここに居ると太るしなぁ、増量したくないから山に戻ろうかな」
「泊っていけば? 久しぶりに一緒にお風呂に入ろうよ」
「うん!!」

 素直でよろしい。

 その後、みんなでお風呂に入って仲良く雑魚寝しました。
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