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第一章 紡がれる日常

第34話

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 とりあず、いつまでも空に大穴が開いているのは人間の精神上よろしくないのは確かなので、早急にどうにかする必要がある。

「前提としてまず神薙様一家に退いてもらう必要があるな、シャムスどうしようか」
「ごはんいっぱい」
「焼き料理なら俺が手伝える」

 提示された解決策はとてもシンプル、食べ放題。

「それは……きっついね」

 神薙さん一人だけでも辛かったのに相手は邪神一家かぁ、全員がブラックホールという訳じゃないけど、料理地獄なのは目に見えている。
 食材用意するだけで地獄を見るやつだ。

「料理は邪教の皆さんにお願いするからママは安心してほしい」
「そうなの? 良かったぁ」

 邪教と言っても中身は神薙さんを信奉する一族、自分達の行動全ては神薙さんに捧げるための行動と言って憚らない邪神狂いな一族なんだよねぇ。
 あの人達の重い愛がこもった料理か、うん、邪神一家も納得してくれるだろう。

「樹は家で待っててくれればいいから」
「はい」

 ありがとう騎士様、楽していいんですね!

「だめだめ、ママにはやってもらいたい事があるんだから」
『計画の要なのよ』
「かあちゃにしか出来ないことがある」

 騎士様に優しく待機を指示されたと思ったら、即アー君に却下された。
 僕に何をさせようというのだろうか、僕というより謎能力だろうけど。

「僕は何をするの?」
「とても簡単、邪神一家が引いたらゲートに向かって呼びかけてくれればそれで、多分なんらかの反応があるはず」
『飴と鞭よ』
「危ないことは一つもないぜ」
「嘘ぉ、それで解決出来る事案!?」
「パパは分かってないなぁ、ママの謎能力はこの世界のご都合主義を詰め合わせた最強のチートだぞ」

 それが通じない相手ならそれこそ邪神一家の餌になるだけ、そう言ってアー君達はにっこにこ。
 恐らく本来は騎士様ぐらい深刻になるべきなんだろうな、けど女神様の妄想一つで人間の生態が変わる世界だからアー君達ぐらい心を広く持ったほうが楽かもしれない。
 
 その後、アー君のポケットマネーで大量の人間が雇われ、ダンジョンだけでなくマシュー君やラミアちゃんの領地などで食材集めが一斉に行われた。
 僕はその間どうしていたかって?
 出番まではいつも通りにしてていいよと言われたので、シャムスと遊んだりシャムスと城下に遊びに行ったりダンジョンで魔物に遊んでもらったりしてました。

 えっちゃんと出会ってから行動範囲広がったなぁ。

 そして昨日の夕方かな、邪神一家のための宴の用意ができたと連絡が入った。
 いよいよ僕の出番かと張り切ったらアー君に熊さんの茶屋に連れてこられました。

「ママはここでシャムスとリラックスしてて、準備が整ったら迎えに来るから」
「はぁい」
「シャムス、ママをよろしく」
『あい!』

 セリフを向ける相手が逆じゃないですかねアー君や。

「じゃあまずはお風呂かな?」
「おふろ上がりはみるく!」

 茶屋の前にはマンドラゴラやらミニトレントがずらり、これ、熊さんと奥さんの子供も混ざってるんだろうか、ちょっと興味ある。
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