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第四章 黒い鴉に尽くしていた白い鳥
第7話
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「………どうしたら接触できるかな……?」
居酒屋を出て、アパートに戻ってきた基頼がビール缶を片手にそう小さく呟く。
基頼はどうすれば奏と接触できるかを考えていた。しかし、これといっていい案が思い浮かばない。
「死体と一緒っていうのは気味悪いな……」
基頼が夏江の死体が入っている寝袋を見ながらそう言葉を綴る。そして、死体の腐敗を遅らせるため、大量にあるものをネットで注文する。
「……これで良し……」
注文を完了して、缶に残ったビールを一気に飲み干した。
「もしもし、広斗さん?お迎えのことだけど……」
ある人物に電話をした後で奏が広斗に電話をして迎えはしばらく要らないことを伝える。
『……そう?大丈夫?』
電話越しに広斗が心配そうに声を掛ける。
「うん。ちょっと忙しくなりそうだから……」
奏の言葉に広斗は何も言わない。
「広斗さん、ありがとう。基頼さんの事を心配して迎えに来るって言ったのは絵美ちゃんに聞いたよ」
奏の言葉に広斗が驚いたような顔をする。
『そっか……。聞いたんだね……。でも、無謀な事はしないでよ?奏は大切な彼女なんだからさ……』
広斗が優しい声でそう言葉を綴る。
「ありがとう。広斗さんのその気持ちは嬉しいよ。……うん、無茶な事はしないように気を付けるね」
奏がそう言葉を綴る。
電話が終わり、奏は明日からの行動に備えて早めに寝る準備をした。
「……お疲れさまでした~」
次の日、奏がそう言って捜査室を出ると急いで絵美と合流した。
昨日、由紀子との電話が終わった後で電話を掛けた相手は絵美だった。夏江の事が心配になり、絵美に再度電話して基頼のアパート近くに様子を見に行くことになったのだ。基頼の性格は熟知しているので、夏江をそんな目に遭わせている可能性があるのも否定はできない。
「絵美ちゃん!お待たせ!!」
待ち合わせ場所で絵美を見つけて奏が声を上げる。
「大丈夫だよ。私も今来たとこだから」
絵美と合流して基頼のアパートの近くに行く。そして、アパートの近くで様子を伺うためにそっと張り込む。
「何か動きがあれば良いんだけど……」
アパート近くで張りながら奏がそう言葉を綴る。
「まぁ、部屋を訪ねたら逆に不審に思われるしね……」
絵美がそう言葉を綴る。
「でも……、泣き声が聞こえるっていう事はそういう事だよね?」
「……多分ね」
夏江を何とか救いたい一心で奏が何か動きが無いことを祈る。
そこへ、一台の配達の車が奏の傍を通っていき、アパートの前に止まった。そして、二人掛かりでその配達の荷物を持つと基頼の部屋のインターフォンを鳴らしている。
「……何の荷物だろ?」
奏がそう言葉を発する。
「また、基頼さんが何か注文したんじゃない?気になるものがあるとすぐに買う癖がある人だから……」
絵美が呆れたようにそう言葉を綴る。
確かに基頼は我慢が出来なくてネットで欲しいものを見つけるとすぐに注文して買うところがある。奏と一緒に暮らしていた時も沢山の物を買ってお金がピンチになると「奏のせいだ!」と言ってよく罵っていた。欲しいものは手に入れないと気が済まない性格でコレクションと称して奏には理解できないものがよくアパートを埋め尽くしていたのを思い出す。
「……今でも収集癖はあるんだね」
奏がそう言葉を漏らす。
なら尚のこと、夏江の事が心配になってくる。もしかして、自分と同じように罵られているのかもしれない。そう考えると不安になってくる。
二人でそう言いながら様子を伺っていると、基頼が玄関に現れて、配達員を中に招き入れる。しばらくすると、その配達員が出てくる。
「なんかあの部屋、やたら寒かったな」
「あぁ。かなりガンガンに冷房を聞かせているよな」
「凍えるかと思ったぜ」
「ホントにな。今の時期に普通冷房は使わないよな」
「ちょっと、その自販機で何か温かいもの買てくるよ」
「あぁ、そうだな。俺も買うよ」
二人の配達員がそんなことを話しながら奏たちに近付いてくる。奏たちがその会話を聞いて頭に「どういうことだろう?」と、はてなマークを浮かべる。そして、何かが起こっているのではと思い、その配達員に声を掛けた。
「すみません、ちょっといいですか?」
奏が配達員に声を掛けると、配達員が奏たちに振り向く。
「あの部屋の人の知り合いのものですが、また何か注文していました?」
奏が知り合いだと言ってそう声を掛ける。
「えっと……」
配達員が奏の言葉に戸惑う。
「急にすみません……。もし、また何か余計なものを注文していたら注意しなきゃいけないので……」
奏の言葉で基頼と近い間柄だと感じたのか、配達員が顔を見合わせて言葉を綴る。
「何に使うかは知りませんが、配達したのは大量のドライアイスですよ」
「「ドライアイス?」」
配達員の言葉に奏と絵美の声が重なる。
「えぇ。この部屋に運んでくださいって言われて運んだんですけど、その部屋がやたら寒かったんですよね……。風邪引くかと思いましたよ……」
配達員の言葉に奏が何かを考える。
冷えた部屋……。
大量のドライアイス……。
(まさかとは思うけど……)
奏の中で一つの仮説が浮かぶ。でも、出来ればその仮説は外れて欲しい……。もしかしたら、別の理由で大量のドライアイスを使うだけかもしれない……。
そして、配達員にお礼を言うと、配達員はその場を去って行く。
「部屋を冷やして大量のドライアイスなんて……何か氷の彫刻でも作るのかな?」
絵美がそう言葉を綴るが、奏の耳にはその言葉が入っていない。
嫌な予感が頭を駆け巡る。
その時だった。隣の部屋に住んでいる今野が出てきて、アパートを出ようとしたところで奏たちに気付いた。
「あれ?君、確か……」
今野が奏を見てそう声を上げる。
「お久しぶりです」
奏が深々とお辞儀をする。
「やっぱり隣に住んでいた元彼女さんだよね?なんだかあの頃と違って綺麗になってたから一瞬見間違いかなとは思ったけど、そうなんだ!元気してる?」
今野が奏を見て嬉しそうに言葉を綴る。
「えぇ。今野さんはまだあの部屋にいたんですね」
「うん。もうかなり長いんだけどさ、逆に愛着があって部屋を変える気になれないんだよね。まぁ、それなりに古いアパートだからボロは出てきているんだけど……」
今野がどこか困ったような笑みを浮かべながらそう言葉を綴る。
「そういえば、なんで元彼女さんがここに?」
今野は奏がここにいることが不思議な感じがしてそう言葉を発する。
「ちょっと、気になる事がありまして……。それで、今野さんに聞きたいことがあるんですけど……」
奏がそう言って絵美が今野から聞いた話を詳しく話してくれないかを振る。
「……あぁ、確かに泣き声は良く聞こえていたよ」
「聞こえていた……?」
今野の言葉に奏が聞き返す。「聞こえている」ではなく「聞こえていた」と言うという事は過去形だ。
「あの……、今はその泣き声は……?」
奏が今野に恐る恐る聞く。
「んー……、なんか数日前ぐらいかな?急にピタリと止んだんだよね……」
「え……?」
今野の言葉に奏が声を発する。
「まぁ、今は部屋をかなり冷やしているのか、こっちの部屋にまでその冷気が入り込んでしまって寝る時に寒いくらいだよ」
今野がそう言葉を綴るが奏には半分聞き取れていない。
「お話、ありがとうございます……」
奏の中で悪い予感がしてその言葉を言うことが精いっぱいになる。今野は「じゃあ」と言ってその場を去って行く。
「奏?大丈夫?」
奏の顔が真っ青になっているので絵美が心配して声を掛ける。
(冴子さんにこの事を話してみよう……)
奏はそう決めて、今日の張り込みを終了することにした。
「……事件の可能性がある?」
次の日、奏は出勤すると、冴子にそう話を切り出した。
「はい……。実は……」
そう言って奏が昨日絵美と一緒に聞いた話をする。
「……うーん。それだけで事件かどうかは判断できないけど、でも、確かに気になる話ね。その夏江って子が虐待されている可能性はあるわ……。それに奏ちゃんの推測も完全に否定できないわね……」
冴子が神妙な顔をしながらそう言葉を綴る。
「捜査をする必要はあるかもな……」
その場にいる透が奏の話を聞いてそう言葉を発する。
「あぁ……、確かにその必要はあるかもしれないな」
槙が言う。
「ならいっその事、その件を捜査しようぜ!もしかしたら、本当に事件かも知れないしな!」
紅蓮がそう力強く言葉を綴る。
「そうね……。よし!今回は私たちでその件を捜査するわよ!」
「「「はい!!!」」」
こうして、奏たちは今回の出来事を捜査することになった。
「何か……奏に連絡か会える方法がないか……?」
基頼が部屋でビール缶を片手にそう呟く。
「そうだ……」
基頼がこの前奏を見た時のことを思い出し、一つの方法を導き出す。
「……これなら可能かもしれないな……」
そう呟きながら不気味に笑う。
「あいつが叩き潰されるのが楽しみだな……」
不気味な笑みを湛えながら小さくそう言葉を吐き出す。缶に残ったビール缶を飲みながら、そうなった時の事を考える。
「ククッ……。奏のやつ、どんな顔するかな……」
飲み干したビール缶を手で握り潰しながら愉快そうにそう言葉を綴った。
「……問題はどうその基頼って人と接触するかよね……」
冴子が思案しながらそう言葉を綴る。
その件を調べるにしても、事件になっているかどうかは明確に分からないので基頼からも話を聞く必要がある。しかし、問題はどうやって基頼と接触をして、その事をどう聞き出すかが焦点だった。
「奏と直接対面させるのは顔見知りな分、危険だしな……」
透がそう言葉を綴る。
「基頼って人と何か接触できる出来事が起きればいいんだが……」
紅蓮が言う。
奏たちが基頼とどう接触していくかを考える。
その時だった。
――――トゥルル……トゥルル……。
奏のスマートフォンが鳴り響いた。
「……ふぅ、買い出しはこれでいっかな……」
買い出しに行っていた絵美が荷物を持ってアパートまでの道を歩く。
その時だった。
「絵美ちゃん、久しぶりだね!」
名前を呼ぶ声が聞こえて、絵美が声のした方向に顔を向ける。
その声を掛けた人物に絵美は大きく目を見開いた。
居酒屋を出て、アパートに戻ってきた基頼がビール缶を片手にそう小さく呟く。
基頼はどうすれば奏と接触できるかを考えていた。しかし、これといっていい案が思い浮かばない。
「死体と一緒っていうのは気味悪いな……」
基頼が夏江の死体が入っている寝袋を見ながらそう言葉を綴る。そして、死体の腐敗を遅らせるため、大量にあるものをネットで注文する。
「……これで良し……」
注文を完了して、缶に残ったビールを一気に飲み干した。
「もしもし、広斗さん?お迎えのことだけど……」
ある人物に電話をした後で奏が広斗に電話をして迎えはしばらく要らないことを伝える。
『……そう?大丈夫?』
電話越しに広斗が心配そうに声を掛ける。
「うん。ちょっと忙しくなりそうだから……」
奏の言葉に広斗は何も言わない。
「広斗さん、ありがとう。基頼さんの事を心配して迎えに来るって言ったのは絵美ちゃんに聞いたよ」
奏の言葉に広斗が驚いたような顔をする。
『そっか……。聞いたんだね……。でも、無謀な事はしないでよ?奏は大切な彼女なんだからさ……』
広斗が優しい声でそう言葉を綴る。
「ありがとう。広斗さんのその気持ちは嬉しいよ。……うん、無茶な事はしないように気を付けるね」
奏がそう言葉を綴る。
電話が終わり、奏は明日からの行動に備えて早めに寝る準備をした。
「……お疲れさまでした~」
次の日、奏がそう言って捜査室を出ると急いで絵美と合流した。
昨日、由紀子との電話が終わった後で電話を掛けた相手は絵美だった。夏江の事が心配になり、絵美に再度電話して基頼のアパート近くに様子を見に行くことになったのだ。基頼の性格は熟知しているので、夏江をそんな目に遭わせている可能性があるのも否定はできない。
「絵美ちゃん!お待たせ!!」
待ち合わせ場所で絵美を見つけて奏が声を上げる。
「大丈夫だよ。私も今来たとこだから」
絵美と合流して基頼のアパートの近くに行く。そして、アパートの近くで様子を伺うためにそっと張り込む。
「何か動きがあれば良いんだけど……」
アパート近くで張りながら奏がそう言葉を綴る。
「まぁ、部屋を訪ねたら逆に不審に思われるしね……」
絵美がそう言葉を綴る。
「でも……、泣き声が聞こえるっていう事はそういう事だよね?」
「……多分ね」
夏江を何とか救いたい一心で奏が何か動きが無いことを祈る。
そこへ、一台の配達の車が奏の傍を通っていき、アパートの前に止まった。そして、二人掛かりでその配達の荷物を持つと基頼の部屋のインターフォンを鳴らしている。
「……何の荷物だろ?」
奏がそう言葉を発する。
「また、基頼さんが何か注文したんじゃない?気になるものがあるとすぐに買う癖がある人だから……」
絵美が呆れたようにそう言葉を綴る。
確かに基頼は我慢が出来なくてネットで欲しいものを見つけるとすぐに注文して買うところがある。奏と一緒に暮らしていた時も沢山の物を買ってお金がピンチになると「奏のせいだ!」と言ってよく罵っていた。欲しいものは手に入れないと気が済まない性格でコレクションと称して奏には理解できないものがよくアパートを埋め尽くしていたのを思い出す。
「……今でも収集癖はあるんだね」
奏がそう言葉を漏らす。
なら尚のこと、夏江の事が心配になってくる。もしかして、自分と同じように罵られているのかもしれない。そう考えると不安になってくる。
二人でそう言いながら様子を伺っていると、基頼が玄関に現れて、配達員を中に招き入れる。しばらくすると、その配達員が出てくる。
「なんかあの部屋、やたら寒かったな」
「あぁ。かなりガンガンに冷房を聞かせているよな」
「凍えるかと思ったぜ」
「ホントにな。今の時期に普通冷房は使わないよな」
「ちょっと、その自販機で何か温かいもの買てくるよ」
「あぁ、そうだな。俺も買うよ」
二人の配達員がそんなことを話しながら奏たちに近付いてくる。奏たちがその会話を聞いて頭に「どういうことだろう?」と、はてなマークを浮かべる。そして、何かが起こっているのではと思い、その配達員に声を掛けた。
「すみません、ちょっといいですか?」
奏が配達員に声を掛けると、配達員が奏たちに振り向く。
「あの部屋の人の知り合いのものですが、また何か注文していました?」
奏が知り合いだと言ってそう声を掛ける。
「えっと……」
配達員が奏の言葉に戸惑う。
「急にすみません……。もし、また何か余計なものを注文していたら注意しなきゃいけないので……」
奏の言葉で基頼と近い間柄だと感じたのか、配達員が顔を見合わせて言葉を綴る。
「何に使うかは知りませんが、配達したのは大量のドライアイスですよ」
「「ドライアイス?」」
配達員の言葉に奏と絵美の声が重なる。
「えぇ。この部屋に運んでくださいって言われて運んだんですけど、その部屋がやたら寒かったんですよね……。風邪引くかと思いましたよ……」
配達員の言葉に奏が何かを考える。
冷えた部屋……。
大量のドライアイス……。
(まさかとは思うけど……)
奏の中で一つの仮説が浮かぶ。でも、出来ればその仮説は外れて欲しい……。もしかしたら、別の理由で大量のドライアイスを使うだけかもしれない……。
そして、配達員にお礼を言うと、配達員はその場を去って行く。
「部屋を冷やして大量のドライアイスなんて……何か氷の彫刻でも作るのかな?」
絵美がそう言葉を綴るが、奏の耳にはその言葉が入っていない。
嫌な予感が頭を駆け巡る。
その時だった。隣の部屋に住んでいる今野が出てきて、アパートを出ようとしたところで奏たちに気付いた。
「あれ?君、確か……」
今野が奏を見てそう声を上げる。
「お久しぶりです」
奏が深々とお辞儀をする。
「やっぱり隣に住んでいた元彼女さんだよね?なんだかあの頃と違って綺麗になってたから一瞬見間違いかなとは思ったけど、そうなんだ!元気してる?」
今野が奏を見て嬉しそうに言葉を綴る。
「えぇ。今野さんはまだあの部屋にいたんですね」
「うん。もうかなり長いんだけどさ、逆に愛着があって部屋を変える気になれないんだよね。まぁ、それなりに古いアパートだからボロは出てきているんだけど……」
今野がどこか困ったような笑みを浮かべながらそう言葉を綴る。
「そういえば、なんで元彼女さんがここに?」
今野は奏がここにいることが不思議な感じがしてそう言葉を発する。
「ちょっと、気になる事がありまして……。それで、今野さんに聞きたいことがあるんですけど……」
奏がそう言って絵美が今野から聞いた話を詳しく話してくれないかを振る。
「……あぁ、確かに泣き声は良く聞こえていたよ」
「聞こえていた……?」
今野の言葉に奏が聞き返す。「聞こえている」ではなく「聞こえていた」と言うという事は過去形だ。
「あの……、今はその泣き声は……?」
奏が今野に恐る恐る聞く。
「んー……、なんか数日前ぐらいかな?急にピタリと止んだんだよね……」
「え……?」
今野の言葉に奏が声を発する。
「まぁ、今は部屋をかなり冷やしているのか、こっちの部屋にまでその冷気が入り込んでしまって寝る時に寒いくらいだよ」
今野がそう言葉を綴るが奏には半分聞き取れていない。
「お話、ありがとうございます……」
奏の中で悪い予感がしてその言葉を言うことが精いっぱいになる。今野は「じゃあ」と言ってその場を去って行く。
「奏?大丈夫?」
奏の顔が真っ青になっているので絵美が心配して声を掛ける。
(冴子さんにこの事を話してみよう……)
奏はそう決めて、今日の張り込みを終了することにした。
「……事件の可能性がある?」
次の日、奏は出勤すると、冴子にそう話を切り出した。
「はい……。実は……」
そう言って奏が昨日絵美と一緒に聞いた話をする。
「……うーん。それだけで事件かどうかは判断できないけど、でも、確かに気になる話ね。その夏江って子が虐待されている可能性はあるわ……。それに奏ちゃんの推測も完全に否定できないわね……」
冴子が神妙な顔をしながらそう言葉を綴る。
「捜査をする必要はあるかもな……」
その場にいる透が奏の話を聞いてそう言葉を発する。
「あぁ……、確かにその必要はあるかもしれないな」
槙が言う。
「ならいっその事、その件を捜査しようぜ!もしかしたら、本当に事件かも知れないしな!」
紅蓮がそう力強く言葉を綴る。
「そうね……。よし!今回は私たちでその件を捜査するわよ!」
「「「はい!!!」」」
こうして、奏たちは今回の出来事を捜査することになった。
「何か……奏に連絡か会える方法がないか……?」
基頼が部屋でビール缶を片手にそう呟く。
「そうだ……」
基頼がこの前奏を見た時のことを思い出し、一つの方法を導き出す。
「……これなら可能かもしれないな……」
そう呟きながら不気味に笑う。
「あいつが叩き潰されるのが楽しみだな……」
不気味な笑みを湛えながら小さくそう言葉を吐き出す。缶に残ったビール缶を飲みながら、そうなった時の事を考える。
「ククッ……。奏のやつ、どんな顔するかな……」
飲み干したビール缶を手で握り潰しながら愉快そうにそう言葉を綴った。
「……問題はどうその基頼って人と接触するかよね……」
冴子が思案しながらそう言葉を綴る。
その件を調べるにしても、事件になっているかどうかは明確に分からないので基頼からも話を聞く必要がある。しかし、問題はどうやって基頼と接触をして、その事をどう聞き出すかが焦点だった。
「奏と直接対面させるのは顔見知りな分、危険だしな……」
透がそう言葉を綴る。
「基頼って人と何か接触できる出来事が起きればいいんだが……」
紅蓮が言う。
奏たちが基頼とどう接触していくかを考える。
その時だった。
――――トゥルル……トゥルル……。
奏のスマートフォンが鳴り響いた。
「……ふぅ、買い出しはこれでいっかな……」
買い出しに行っていた絵美が荷物を持ってアパートまでの道を歩く。
その時だった。
「絵美ちゃん、久しぶりだね!」
名前を呼ぶ声が聞こえて、絵美が声のした方向に顔を向ける。
その声を掛けた人物に絵美は大きく目を見開いた。
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