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3章 黒い千人の女の女王
3-8.
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生き残ったマガーダ軍の兵士二千弱は領主ウルゥカの死を知るや、潰走した。
グプタ軍は追撃しなかった。その余力がなかったというより、その必要がなかったからだ。
マガーダ領は現領主と時期領主を一度に失った。これから、領主の後釜を巡るお家騒動が始まるだろう。
逃げ帰った兵力はその内輪揉めで費やされ、グプタ領に向けられることは当分の間あるまい。だから、敢えて追撃する必要はない――とアルジュは判断したのだった。
● ● ●
残存兵力をまとめて帰還の準備をしていたグプタ軍の中で、兵士たちを困惑させるちょっとした出来事が起きていた。
ワイルドハント猟兵団の女団長ハッケンベルクが、
「あちきが出てくるまで、どうか中を覗かないでおくんなまし」
と言い残して、狼馬車の車内に籠もってしまったのだった。
それ自体は別に何の問題もなかったし、兵士たちは負傷した同胞を手当てしたり、死んでしまった者の亡骸を集めるのに忙しくしていたから、最初から離れたところに集まっていた邪妖精たちに特別な注意を払う者はいなかった。
ちなみに、レリクスは自分が死体を起き上がらせることを提案したが、アルジュはそれを却下していた。
「いいか、レリクス。敵兵なり過去の戦死者なりを手駒にするのは構わない。だが、味方の死体を動かすことは絶対に駄目だ。禁止だ。いいな」
「……分かった」
レリクスは返事までに微妙な間を置きつつも、反論せずに頷いた。
そんな一幕があって、グプタ軍は味方の遺体を自分たちの手で集めたのだが、もとの数が千人に満たないこともあって、その作業もそう長くはかからなかった。人間の死体の回収が終わると、兵士たちの目は自然、ワイルドハントが戦っていた辺りへと向けられた。
猟兵団を名乗る邪妖精たちの中で、生き残っているのは百に満たない数だけだ。邪妖精は色とりどりのドレスを身につけていたが、いまはそのどれもが返り血の真っ赤な染みだらけになっていた。目元口元に墨を刷いて黒く縁取りしたような化粧顔や、思い思いの髪型に整えられている黒髪にも、血糊が点々と飛び散っている。どの女もさすがに踊ってはいなかったが、ときどき思い出したように高笑いしたり、その場でくるりと身を翻したり、何かを語らうように顔を突き合わせたりしていた。
彼女たちの弓から生まれていた狼の姿はどこにもない。乱戦で死んだ狼も生き残った狼も、最初からいなかったかのように消え失せていた。狼がいたことを唯一示す痕跡は、森を累々と埋め尽くすマガーダ兵たちに刻まれている噛み痕と引っ掻き痕のみだった。
噛み千切られた喉や四肢からの失血が元で死んだ兵士の顔は、どれもこれもが血の気を無くして真っ白な顔色をして、両目をかっと見開かせた苦悶の表情で固まっている。だが、顔が分かる死体はまだ幸運だったと言えよう。ハッケンベルクが走らせていた狼馬車に轢かれた兵士は、顔がぐちゃぐちゃになるどころか、人間の形を残している者のほうが少ない有様だった。
グプタ兵がワイルドハントを遠巻きにしているのは、彼女たちの周りが飛び散った死体と血溜まりに囲まれていたからでもあった。
つまり、グプタ兵はワイルドハントが屯していたところからかなり離れたところにいたわけだが、それでも気がついてしまうほど奇妙な光景が、彼女たちのいる場所で始まっていた。
ハッケンベルクが籠もった狼馬車が、ぐらんぐらんと規則的に揺れ始めたのだ。
あれは一体何なのだろうか――と、訝しげに見ていた兵士たちの耳に、血生臭い風が鼻歌のようなものを運んできた。
兵士たちは思わず耳を欹てる。そうしているうちに、その鼻歌の出所はぐらんぐらん揺れては揺り返す馬車らしい、と気がついてきた。それと同時にもうひとつ、彼らが気がついたことがある。
風に乗って聞こえてくる鼻歌は、鼻歌ではなく、鼻から抜けるような女の甘い声だった。要するに嬌声、喘ぎ声だった。
そこまで気がつけば、どうして馬車が揺れているのかも容易に想像がつこうというものだった。
その歌うような嬌声に混じって、狼の遠吠えが聞こえてくる。
それを聞いた兵士たちは、ついでのように気がついた。馬車を牽いていた大狼がいなくなっていたのは、煙のように消えたからではなくて、ハッケンベルクと車内で同衾しているからだということに――。
「あれは放っておいても構わぬ。明日になれば戻ってきていよう」
レリクスの進言を容れて、マガーダ軍はワイルドハントをその場に残して出発した。
だから、アルジュたちがそうと知ったのは後になってからのことだが、ハッケンベルクが大狼との情事に及んでいたのは、死んでしまった分の邪妖精を産むためだった。
さて――ワイルドハントを戦場に残して帰路に就いたアルジュたちのことだ。
占領したばかりの村に帰還した彼らが勝利を告げると、村人は歓喜した。
白髪頭の村長はその場に跪いて、アルジュを拝んだ。
「ありがとうございます、ありがとうございます!」
その娘パティは、そんな父の肩に縋りついて、
「ありがとうございます、ありがとうございます!」
親子揃って何度も頭を下げた。
アルジュが面食らっているうちに、他の村人たちも次々に跪いて感謝の言葉を大合唱し始める。それは、しばらく呆気に取られていたアルジュが我に返って止めるように言っても、その声が掻き消されるほどの大声で続けられたのだった。
● ● ●
この村の住人はすでにアルジュやグプタ軍のことを好意的に受け入れていた。
アルジュが魔物を操っているらしいことは了解していたが、レリクスを除いた魔物たちは人里に近づかないようにしていたし、そのレリクスもただの美しい姫にしか見えない。それに何より、アルジュは無茶な税率を押しつけるぞと脅して年頃の娘を掻っ攫おうとするような真似をしなかった。
村人たちは自分たちから奪おうとする人間よりも、奪おうとした人間を殺してくれた魔王のほうを支持した。それは、社会構造の中において基本的に搾取されることしかない階級の人間として、当然至極の選択だった。
だが、この当然は"領主に無体な要求を突きつけられた村”の当然だ。
領主に連なる者たちの当然は、グプタ候アルジュは領主を斬殺した悪しき魔王、という認識のほうだった。
「魔王に討たれた先代領主の遺志を継ぎ、奪われた領地を取り戻してみせる!」
そう宣言してマガーダ候襲爵の名乗りを上げたのは、ウルゥカの兄の息子、すなわち甥のシュンガだった。
グプタ軍は追撃しなかった。その余力がなかったというより、その必要がなかったからだ。
マガーダ領は現領主と時期領主を一度に失った。これから、領主の後釜を巡るお家騒動が始まるだろう。
逃げ帰った兵力はその内輪揉めで費やされ、グプタ領に向けられることは当分の間あるまい。だから、敢えて追撃する必要はない――とアルジュは判断したのだった。
● ● ●
残存兵力をまとめて帰還の準備をしていたグプタ軍の中で、兵士たちを困惑させるちょっとした出来事が起きていた。
ワイルドハント猟兵団の女団長ハッケンベルクが、
「あちきが出てくるまで、どうか中を覗かないでおくんなまし」
と言い残して、狼馬車の車内に籠もってしまったのだった。
それ自体は別に何の問題もなかったし、兵士たちは負傷した同胞を手当てしたり、死んでしまった者の亡骸を集めるのに忙しくしていたから、最初から離れたところに集まっていた邪妖精たちに特別な注意を払う者はいなかった。
ちなみに、レリクスは自分が死体を起き上がらせることを提案したが、アルジュはそれを却下していた。
「いいか、レリクス。敵兵なり過去の戦死者なりを手駒にするのは構わない。だが、味方の死体を動かすことは絶対に駄目だ。禁止だ。いいな」
「……分かった」
レリクスは返事までに微妙な間を置きつつも、反論せずに頷いた。
そんな一幕があって、グプタ軍は味方の遺体を自分たちの手で集めたのだが、もとの数が千人に満たないこともあって、その作業もそう長くはかからなかった。人間の死体の回収が終わると、兵士たちの目は自然、ワイルドハントが戦っていた辺りへと向けられた。
猟兵団を名乗る邪妖精たちの中で、生き残っているのは百に満たない数だけだ。邪妖精は色とりどりのドレスを身につけていたが、いまはそのどれもが返り血の真っ赤な染みだらけになっていた。目元口元に墨を刷いて黒く縁取りしたような化粧顔や、思い思いの髪型に整えられている黒髪にも、血糊が点々と飛び散っている。どの女もさすがに踊ってはいなかったが、ときどき思い出したように高笑いしたり、その場でくるりと身を翻したり、何かを語らうように顔を突き合わせたりしていた。
彼女たちの弓から生まれていた狼の姿はどこにもない。乱戦で死んだ狼も生き残った狼も、最初からいなかったかのように消え失せていた。狼がいたことを唯一示す痕跡は、森を累々と埋め尽くすマガーダ兵たちに刻まれている噛み痕と引っ掻き痕のみだった。
噛み千切られた喉や四肢からの失血が元で死んだ兵士の顔は、どれもこれもが血の気を無くして真っ白な顔色をして、両目をかっと見開かせた苦悶の表情で固まっている。だが、顔が分かる死体はまだ幸運だったと言えよう。ハッケンベルクが走らせていた狼馬車に轢かれた兵士は、顔がぐちゃぐちゃになるどころか、人間の形を残している者のほうが少ない有様だった。
グプタ兵がワイルドハントを遠巻きにしているのは、彼女たちの周りが飛び散った死体と血溜まりに囲まれていたからでもあった。
つまり、グプタ兵はワイルドハントが屯していたところからかなり離れたところにいたわけだが、それでも気がついてしまうほど奇妙な光景が、彼女たちのいる場所で始まっていた。
ハッケンベルクが籠もった狼馬車が、ぐらんぐらんと規則的に揺れ始めたのだ。
あれは一体何なのだろうか――と、訝しげに見ていた兵士たちの耳に、血生臭い風が鼻歌のようなものを運んできた。
兵士たちは思わず耳を欹てる。そうしているうちに、その鼻歌の出所はぐらんぐらん揺れては揺り返す馬車らしい、と気がついてきた。それと同時にもうひとつ、彼らが気がついたことがある。
風に乗って聞こえてくる鼻歌は、鼻歌ではなく、鼻から抜けるような女の甘い声だった。要するに嬌声、喘ぎ声だった。
そこまで気がつけば、どうして馬車が揺れているのかも容易に想像がつこうというものだった。
その歌うような嬌声に混じって、狼の遠吠えが聞こえてくる。
それを聞いた兵士たちは、ついでのように気がついた。馬車を牽いていた大狼がいなくなっていたのは、煙のように消えたからではなくて、ハッケンベルクと車内で同衾しているからだということに――。
「あれは放っておいても構わぬ。明日になれば戻ってきていよう」
レリクスの進言を容れて、マガーダ軍はワイルドハントをその場に残して出発した。
だから、アルジュたちがそうと知ったのは後になってからのことだが、ハッケンベルクが大狼との情事に及んでいたのは、死んでしまった分の邪妖精を産むためだった。
さて――ワイルドハントを戦場に残して帰路に就いたアルジュたちのことだ。
占領したばかりの村に帰還した彼らが勝利を告げると、村人は歓喜した。
白髪頭の村長はその場に跪いて、アルジュを拝んだ。
「ありがとうございます、ありがとうございます!」
その娘パティは、そんな父の肩に縋りついて、
「ありがとうございます、ありがとうございます!」
親子揃って何度も頭を下げた。
アルジュが面食らっているうちに、他の村人たちも次々に跪いて感謝の言葉を大合唱し始める。それは、しばらく呆気に取られていたアルジュが我に返って止めるように言っても、その声が掻き消されるほどの大声で続けられたのだった。
● ● ●
この村の住人はすでにアルジュやグプタ軍のことを好意的に受け入れていた。
アルジュが魔物を操っているらしいことは了解していたが、レリクスを除いた魔物たちは人里に近づかないようにしていたし、そのレリクスもただの美しい姫にしか見えない。それに何より、アルジュは無茶な税率を押しつけるぞと脅して年頃の娘を掻っ攫おうとするような真似をしなかった。
村人たちは自分たちから奪おうとする人間よりも、奪おうとした人間を殺してくれた魔王のほうを支持した。それは、社会構造の中において基本的に搾取されることしかない階級の人間として、当然至極の選択だった。
だが、この当然は"領主に無体な要求を突きつけられた村”の当然だ。
領主に連なる者たちの当然は、グプタ候アルジュは領主を斬殺した悪しき魔王、という認識のほうだった。
「魔王に討たれた先代領主の遺志を継ぎ、奪われた領地を取り戻してみせる!」
そう宣言してマガーダ候襲爵の名乗りを上げたのは、ウルゥカの兄の息子、すなわち甥のシュンガだった。
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