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4-2. 夏雨、友人宅で制服プレイする ~友人姉の乱入と、軽いイチャイチャ
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伊東の頭に両手で縋り付くようにして、夏雨は膝から崩れ落ちそうな自分の身体を支えている。ぶるぶるっと、まるで我慢に我慢を重ねた挙げ句の放尿みたいな身震いをする夏雨に、伊東はふっくら丸顔の下半分を下着に押し付けたまま、ふごふごと感動していた。
「ふおぉ……イ、イッた……イかせた……拙者、女子をクンニでイかせたでござるか!? お、おおぉ……ッ!!」
「べっ、べつに、おまえにイかされたわけじゃ、ねぇし……」
「負け惜しみ、乙でござる。でふふっ」
「くぅ……!」
夏雨は息を切らせつつも言い返したけれど、それにもあっさり言い返されて黙ってしまった。
「というか、マナ氏。おパンツこんだけぐっしょぐしょの濡れっ濡れにしておいて、よくまあそんなクソガキ発言できるでござるなぁ」
「クソガキ!?」
「でござるよ。これはもう、分からせざるを得ないでござるな」
「は? ……な、何する気だよ……」
「マナ氏。拙者、ひと足お先に童貞卒業致すで候」
「マジかぁ……ッ」
いまの腰が抜けている夏雨に、伊東の巨体を押し退けるだけの力はない。しゃがんでスカートの中に顔を突っ込んだ伊東が、腰に両手をまわして抱きついてくれているから倒れずに済んでいるくらいなのだからして。
「さて、ではでは……でひゅひゅ」
伊東があまりにもキモい声で笑いながら、いよいよ本当に夏雨をベッドに押し倒そうとした、そのときだ。
――ガチャ。
「ただいまぁ」
階下で玄関ドアの鍵が開けられて女性が入ってくる物音と声が、部屋のドア越しに聞こえてきた。
瞬間、見下ろす夏雨と見上げる伊東が見つめ合う。
「姉貴だ……なんでこんな早く?」
「俺が知るか。っつか、どうすんだ!?」
と早口で言い交わしているにも、足音が階段を上ってくる。
「どっどどどうしよう!?」
「とにかく、どっかに――」
ござるござる言うのも忘れて取り乱す伊東と、とにかく隠れようとする夏雨。だが、夏雨は自分が膝がくがくの腰抜け状態だったのを忘れていた。
「――あっ」
伊東の頭を両手で押すようにして身体を離そうとした夏雨は、そのまま背後へとよろける。それでも頑張ってバランスを取ろうとした結果、夏雨はベッドに尻餅を着くことになった――咄嗟に伸ばした手で掴んでしまった伊東を道連れにして。
「うぎょっ!」
そんなに痛いことはなかったはずだが、伊東は野太い声を上げてしまった。だから、謎の悲鳴がした弟の部屋に姉が踏み込んでくるのは当然のことだった。
「どした――あぁ……ぁ……」
バァンッと開け放たれたドアと、険しい顔の女性。その顔は、けれど、ベッドで仰向けになっている夏雨と、そこに覆い被さっている伊東の姿を目にした瞬間から、すぅっと潮が引くように表情を失くしていった。
「……」
「……」
「……」
沈黙の三重奏。誰も、何も言わない。言えない。その静けさの中、最初に動いたのは伊東姉だ。彼女はおもむろに取り出したスマホを耳に宛てがう。
「もしもし警察ですか――」
「待って待って待ってぇッ!!」
「あ、番号押してなかった」
「押してぇ! いや、押さないでぇ!」
以上、問答無用で通報しようとした姉と、それを止めようとしつつもツッコミを忘れない弟というコントであった。
なお、伊東の姉は制服からも分かるように、夏雨と同じくらいの背格好だ。ただし、胸は夏雨と違って普通サイズだが。愛嬌のある顔立ちで、綺麗よりも可愛いが似合う感じだ。つまり要するに、小太りトーマス顔男子の弟と違って、異性にモテそうなタイプの女性である。
「いや、さすがに違うとは思うけど! あんたにそんな度胸というか意気地というか……ああっ、とにかく犯罪ができるような奴じゃないって分かっているけど、でも! この状況、説明しないさい!」
伊東姉はスマホを掴んだままの手で弟を指差し、説明を要求した。顔は真っ赤で怒っているように見えるけれど、訳も聞かずに弟を断罪するようなことはなかった。
伊東と夏雨は居住まいを正し、ベッドに並んで腰掛けたところで弁明を始める。といっても、喋るのは伊東で、夏雨は隣で黙って頷く係だったが。
「え、えっと……姉貴、つまりこういうことだ。彼女はクラスメイトなんだけど、うっかり制服を汚しちゃって困っていたから、そういえば姉貴の制服があるんじゃないかなぁと思った俺が、よかったらどうかって聞いたら、是非貸してくれって彼女が言ったから、家に連れてきたんだ。で……まあちょっと転んだりして、こうなっただけなんだ……」
「最後の“まあちょっと”って何?」
最後のほうに行くほどしどろもどろになる伊東の説明に、姉は冷ややかに問い質す。伊東は冷や汗だ。
「え……べつに、ちょっとはちょっとだけど?」
「ただ転んだだけなら、そんな体勢にはならないよね。最初から抱き合ったまま転んだ、とかじゃないかぎり」
「っ……」
「……まあいいわ。とにかく押し倒したのは事故であって、故意でも無理矢理でもないってことね?」
「もちろん!」
「あなたも、それでいいのね?」
弟と話していた伊東姉はそこで改めて、弟の隣で成り行きを見守っていた夏雨に目をやった。いきなり返事を求められた夏雨は戸惑いつつも、こくこく頷く。
「えっ……あ、はい……はい! 事故でした。問題ないです。あっ、というか制服を勝手にお借りしてしまって、ごめんなさい」
「それはいいわ。どうせ仕舞っていただけだし、困っているのなら好きなだけ貸してあげる」
「え……いいんですか?」
「その代わり――弟とこれからも仲良くしてやって。こいつ、見た目はアレだけど、中身は人畜無害だから――たぶん」
「……はい」
いやそんなことないですよ、わりとエロ侍ですよ――と喉まで出かかったけれど、夏雨はどうにか呑み込み、もう一度頷いた。それを見て、伊東姉は満足そうに微笑む。
「ありがとう。ええと――」
「あ、ナツメです」
「……名字?」
伊東姉がそう思ったのは、弟の友人である大晴の珍しい名字を連想したからだろう。まさか身バレはしないだろうと思いつつも、夏雨は少し慌てて言い添えた。
「いえっ、名前です。藤田ナツメって言います」
夏雨は咄嗟に、前に家へ遊びに来た小晴の男友達の名字を思い出して、それを口にした。伊東姉はとくに疑うこともなく、それを信じた。
「あら、そう。ごめんなさい。ナツメちゃんね。じゃあ改めて……ナツメちゃん、弟のことをこれからどうかもよろしくね。それじゃ、お姉さんは自分のお部屋に戻ります。では、ごゆっくりぃ」
伊東姉は満面の笑顔で、弟の部屋から出ていった。
ドアが閉まった音が響いた途端、夏雨と伊東の肩がすとんと落ちた。二人とも我知らずのうちに、肩に力が入っていたようだった。
「伊東……おまえの姉貴さん、あれなんか勘違いしたよな?」
「したかもなぁ」
「俺、知らねぇぞ」
「奇遇だな。俺もだよ」
二人でじっと見つめ合い、揃って溜め息を吐いた。
「まあいいよな。姉貴には誤解していてもらったほうが、この制服、借りておきやすいし」
「寸借詐欺って感じで後ろめたいんだが……いいのかな?」
「いいって。あとで返せば何も問題ないって」
「……それもそうか。クリーニングして返せばいいよな」
「って、マナ氏はクリーニングしないと不味いようなこと、する予定があるのでござるか」
「いや、例えばの話だよ」
「とか言いつつぅ?」
「……なら逆に聞くけど、伊東はこの制服姿の俺に、そういうことしたくならないのってのかよっ!」
「えっ……それは、制服でそういうことしようぜ、っていうお誘いで、ご、ござ? ござっ?」
「そういうわけじゃない……こともないけど、いちいち確認を取るな! そういうところが童貞なんだ!」
「童貞でござるが何かぁ!? というかマナも童貞でしょうがぁ!」
「俺はいいんだよ。処女でもあるから、プラマイゼロなんだよ」
「童貞はマイナスで処女はプラスでござるか」
「間違ってるか?」
「間違ってないのが世知辛いでござるぅ」
……そんな馬鹿なことを言っているうちに、二人ともエロい気持ちは失せていた。
「さて、あとどうするか……んっ」
夏雨は聞くともなしに言いながら、両手を頭の後ろで組むようにして大きく伸びをする。
「……って、伊東?」
ふと横から熱い視線を感じた夏雨が振り向くと、伊東が胸元を凝視していた。胸のサイズが合っていないブラウスで背を反らしたためにドォンと強調された乳房に、思春期男子が抗えるはずもなかった。エロい気持ちなんて、女子の仕草ひとつで瞬間無限に溢れ出すのが思春期童貞男子なのだ。
「マ、マナ氏……そういやこの前、お、お胸でおイきになられておられましたでござるよな?」
「……記憶にないな」
夏雨は反射的に両手で乳房を庇いながら、ぷいっと顔を逸らす。
「ははっ、御冗談。拙者、ちゃあんと覚えているでござるよ」
「なら訊くなよ。というか、それがなんだよ」
「やっ、ほら……今日はまだ、お、お、おっぱいでイッてなさらないから、消化不良なんではなかろうかぁ、と思った次第でござるからしてぇ……」
「……つまり、俺のおっぱい揉みたい、と」
夏雨は伊東から顔を背けたまま、じとっと横目で睨みつける。だが豈図らんや、伊東は首を横に振った。
「いや、揉みたいんじゃない。おっぱいを揉みしだきまくって、乳首も抓んでこりこり捏ねくり倒して、マナの乳首とおっぱいにイき癖を付けてあげたいんだ」
「真面目な顔で言うな! ってか、そういうのこそ、ござる付けて冗談っぽく言えし!」
「や、冗談じゃないので」
「冗談にしろ……って、おい!?」
伊東がずいっと迫ってきた分だけ仰け反った夏雨は、そこでバランスを崩して背中からベッドに寝転んでしまう。
「……ひゃっ」
咄嗟に細めてしまった目を開くと、見上げた視界には、天井を遮って伊東の顔。下を向いていて陰になっている分、普段より厳しく見える。
「っ……伊東、マジで……?」
「……」
伊東は返事をしないまま、見下ろしている夏雨のたわわな乳房に右手を伸ばしていく。
「うっ……!」
夏雨は思わず目を閉じ、すぐにも胸に訪れる愛撫の刺激に身構える――が、刺激が来ない。
「……伊東?」
瞑っていた目を開けて、友人を訝しげに見上げると、友人は夏雨ではなくドアのほうを見ていた。ますます眉根を寄せた夏雨に、伊東は夏雨の胸元から引っ込めた手で人差し指を自分の唇に当てるジェスチャーをして、そっと身体を起こす。
静かにベッドから降りた伊東は、閉じているドアの前に立ってドアノブを掴むと、内開きのドアを自分の体ごとドアの陰に隠れるようにして一気に引き開けた。その途端、室内に倒れ込んでくる人物があった。
「あだっ!?」
伊東姉だ。彼女は廊下で、ドアに凭れるようにして耳をつけ、聞き耳を立てていたのだった。
「姉貴……」
「あ、はは……やっ、ごめんなさい。でもさ、ほら、あんたもナツメちゃんもキス以上のことはまだ早いじゃない? だから、万が一がないように、ここはお姉さんが見守ってあげないとねって思ったの! なに? 文句あんの!?」
最初は焦りながらの弁明だったものが、最後には居直って逆に糾弾してくる始末だ。伊東姉弟の力関係が察せられて、夏雨は友人に少し優しくしてやってもいいよな、と思う。具体的には、おっぱいくらい笑顔で揉ませてあげようと思った。
夏雨が遠い目をしている間も姉弟の口論というか口喧嘩は白熱していく。
「姉貴さ、ほんっと勘弁してよ」
「それ、あたしの制服を勝手に持ち出しておいて言う台詞?」
「そこはごめんなさい! でも、それとこれとは別の話だから」
「別ぅ? 何が別なのよ。同じよ、同じ! だから、あんたは謝れ!」
「謝っただろ! いま!」
「もっと謝んなさいって言ってるの!」
「意味分かんねぇ!」
「分かんないのを謝んなさい!」
……もう二人が何を言い合っているのか、夏雨には分からない。ただ思うのは、制服を脱いで返したほうがいいのかなぁ、だ。
すると、夏雨のそんな内心を読んだかのように、伊東姉がくるりと振り返って夏雨に笑顔を向けてきた。
「あ、ナツメちゃんはいいのよ。その制服、よかったら着てやって。タンスの肥やしにしていただけだし、二年でも三年でもじゃんじゃん着倒しちゃって」
「はい、ありがとうございます……」
「あっ、でも勘違いしちゃ駄目よ。その制服は、あたしが貸すのであって、弟が貸すんじゃないんだからね。だから、こいつにエロいこと要求されても応える義務はないんだからね」
本気とも冗談ともつかない伊東姉の言葉に、夏雨はふと悪戯心をくすぐられて、にやんと微笑む。
「わたし、義務で応えているように見えました?」
「え――」
絶句する伊東姉。横で伊東も目を丸くしている。それが面白くて、夏雨はいっそう微笑む。
「義務とか借りとか、そういうことではなく応えたいなと思ったら、応えていい。姉として認めます――いまの、そういう意味の発言と受け取っていいんですね」
「え……え、あ……う……う、うん……で、でも、キスまでがいいんじゃないかしら? それ以上のことは、その、ちょっと……あたしだってまだなのに――あっ! あ、あっ……あぁ! あたし、もう戻んないと!」
自爆した伊東姉は羞恥で真っ赤にした顔を隠すように回れ右すると、足を縺れさせるようにして部屋を出ていった。
「やだ、純情。可愛い。姉貴さん、前からあんな可愛かったっけ?」
隣の部屋に逃げ帰っていく足音を聞きながら、夏雨はくすりと笑う。一方で伊東は、泣き真似をするように両手で顔を覆っていた。
「姉貴の膜の有無など聞きとうなかった……これ、俺、どんな顔して姉貴と顔を合わせたらいいの?」
「笑えばいいんじゃね?」
「笑ったら殺されそうだが」
「ははっ」
夏雨は鼠っぽく笑ったところで、さて、と表情を引き締める。
「じゃあ、伊東――するか」
「……うん? なんて?」
「姉貴さんのお許しももらったことだし、しようぜ。っつか、さっきから寸止めとか焦らしとかばっかで、ぶちゃけまんこが疼いて仕方ないんだよ♥ だから、なんでもいいから、なんとかしてくれ。しろっ♥」
ご無体な命令を発しながら、伊東をがばっと押し倒す夏雨。
「あっ、あっ、待って! さすがに姉貴が隣にいるところで本番は無理にござるぅ!」
「じゃあ手でやれ! クンニしろオラァ!」
「ひいぃッ!!」
伊東の肥満体が藻掻くたび、シーツに皺が寄っていった。
その後は交渉の結果、伊東は夏雨のことを背中から抱っこして、夏雨が満足するまで小一時間ほど、指と手首が筋肉痛になるまで延々と乳揉みすることで許してもらったのだった。なお、いつ伊東姉が乗り込んできても即応できるように着衣乳揉みであった。
「やっ、いや、本番したくないわけではないのでござるが、壁一枚隣に姉貴がいるって状況でヤるのは無理いぃ……っていうかマナ、絶対声出しちゃ駄目だからしてぇ……ッ!!」
伊東は蚊の鳴くような声で叫ぶという芸当を披露しながら、自分の指を噛んで必死に声を噛み殺す夏雨の胸を捏ねくり倒して、夏雨に満足してもらったのだった。
「というか……マナは姉貴が帰ってこなかったら、本気で俺と致していたので?」
夏雨が一通り満足して、身繕いも終わり、あとは帰るだけとなったとき、伊東がおずおずと聞いてきた。
聞かれた夏雨は、軽く目を瞠って驚いた顔をする。
「え? というか、伊東はそのつもりだったから、誰もいない家に俺を呼んだんじゃないの?」
「いやぁまぁ、そういうルート分岐があるかもという予想を立てていなくもなかったけれど、でも結局はマナがヘタれて、軽くパイタッチでもした後はだらだらゲームして、帰りにその制服だけ貸して終わり……みたいな展開になるんだろうなぁ、と思っていました」
「なぜ丁寧語か……いや、そこはいいとして……ぶっちゃけた話、よ」
夏雨は目線をちらちら惑わせながら続ける。
「女子の身体をもっと楽しみたいと思うわけで、そうするとやっぱ、どこかで膜を破ることになるだろ。最初はいっそバイブで……とも思ったんだけど、どうせなら、ほら、ちゃんとした初体験もしてみたいなぁ……とか、ちょっと思ったり、なんて」
言っているうちにどんどん照れていく夏雨の頬は熟れた林檎で、甘い香りが漂ってくるかのようだったから、着衣乳揉み六十分コースで煽られ続けていた伊東がキモい感じに鼻の穴をおっ広げてしまうのも仕方のないことだった。
だけど夏雨のほうにも、そのキモさを指摘して笑ってやるような余裕はなくて……結果、二人して脂汗を掻きながら目を泳がせ合うという、訳の分からない無言劇を三十秒ほどやってしまった。
「ま、まぁ……今日はもう帰るんで」
「あ、う、うん。じゃ、また……」
「うん……また」
伊東家の玄関を出てすぐのところで、夏雨が見送りに出てきた伊東に向けて柄にもなく胸のところでバイバイと手を振ったのは、そのときの空気がまだ残っていたからか、将又オレンジ色の夕焼けがやけに印象的だったからか。
絵画の中に入ったようだ――なんて、これまた柄にもないことを思いながら夏雨は右向け右して歩き出そうとして……けれど、その一歩目は踏み出されなかった。
「墨谷さん……?」
夏雨が向かおうとした通りの先に私服姿の墨谷萌々”めめが立っていて、夏雨を見つめていた。
「ふおぉ……イ、イッた……イかせた……拙者、女子をクンニでイかせたでござるか!? お、おおぉ……ッ!!」
「べっ、べつに、おまえにイかされたわけじゃ、ねぇし……」
「負け惜しみ、乙でござる。でふふっ」
「くぅ……!」
夏雨は息を切らせつつも言い返したけれど、それにもあっさり言い返されて黙ってしまった。
「というか、マナ氏。おパンツこんだけぐっしょぐしょの濡れっ濡れにしておいて、よくまあそんなクソガキ発言できるでござるなぁ」
「クソガキ!?」
「でござるよ。これはもう、分からせざるを得ないでござるな」
「は? ……な、何する気だよ……」
「マナ氏。拙者、ひと足お先に童貞卒業致すで候」
「マジかぁ……ッ」
いまの腰が抜けている夏雨に、伊東の巨体を押し退けるだけの力はない。しゃがんでスカートの中に顔を突っ込んだ伊東が、腰に両手をまわして抱きついてくれているから倒れずに済んでいるくらいなのだからして。
「さて、ではでは……でひゅひゅ」
伊東があまりにもキモい声で笑いながら、いよいよ本当に夏雨をベッドに押し倒そうとした、そのときだ。
――ガチャ。
「ただいまぁ」
階下で玄関ドアの鍵が開けられて女性が入ってくる物音と声が、部屋のドア越しに聞こえてきた。
瞬間、見下ろす夏雨と見上げる伊東が見つめ合う。
「姉貴だ……なんでこんな早く?」
「俺が知るか。っつか、どうすんだ!?」
と早口で言い交わしているにも、足音が階段を上ってくる。
「どっどどどうしよう!?」
「とにかく、どっかに――」
ござるござる言うのも忘れて取り乱す伊東と、とにかく隠れようとする夏雨。だが、夏雨は自分が膝がくがくの腰抜け状態だったのを忘れていた。
「――あっ」
伊東の頭を両手で押すようにして身体を離そうとした夏雨は、そのまま背後へとよろける。それでも頑張ってバランスを取ろうとした結果、夏雨はベッドに尻餅を着くことになった――咄嗟に伸ばした手で掴んでしまった伊東を道連れにして。
「うぎょっ!」
そんなに痛いことはなかったはずだが、伊東は野太い声を上げてしまった。だから、謎の悲鳴がした弟の部屋に姉が踏み込んでくるのは当然のことだった。
「どした――あぁ……ぁ……」
バァンッと開け放たれたドアと、険しい顔の女性。その顔は、けれど、ベッドで仰向けになっている夏雨と、そこに覆い被さっている伊東の姿を目にした瞬間から、すぅっと潮が引くように表情を失くしていった。
「……」
「……」
「……」
沈黙の三重奏。誰も、何も言わない。言えない。その静けさの中、最初に動いたのは伊東姉だ。彼女はおもむろに取り出したスマホを耳に宛てがう。
「もしもし警察ですか――」
「待って待って待ってぇッ!!」
「あ、番号押してなかった」
「押してぇ! いや、押さないでぇ!」
以上、問答無用で通報しようとした姉と、それを止めようとしつつもツッコミを忘れない弟というコントであった。
なお、伊東の姉は制服からも分かるように、夏雨と同じくらいの背格好だ。ただし、胸は夏雨と違って普通サイズだが。愛嬌のある顔立ちで、綺麗よりも可愛いが似合う感じだ。つまり要するに、小太りトーマス顔男子の弟と違って、異性にモテそうなタイプの女性である。
「いや、さすがに違うとは思うけど! あんたにそんな度胸というか意気地というか……ああっ、とにかく犯罪ができるような奴じゃないって分かっているけど、でも! この状況、説明しないさい!」
伊東姉はスマホを掴んだままの手で弟を指差し、説明を要求した。顔は真っ赤で怒っているように見えるけれど、訳も聞かずに弟を断罪するようなことはなかった。
伊東と夏雨は居住まいを正し、ベッドに並んで腰掛けたところで弁明を始める。といっても、喋るのは伊東で、夏雨は隣で黙って頷く係だったが。
「え、えっと……姉貴、つまりこういうことだ。彼女はクラスメイトなんだけど、うっかり制服を汚しちゃって困っていたから、そういえば姉貴の制服があるんじゃないかなぁと思った俺が、よかったらどうかって聞いたら、是非貸してくれって彼女が言ったから、家に連れてきたんだ。で……まあちょっと転んだりして、こうなっただけなんだ……」
「最後の“まあちょっと”って何?」
最後のほうに行くほどしどろもどろになる伊東の説明に、姉は冷ややかに問い質す。伊東は冷や汗だ。
「え……べつに、ちょっとはちょっとだけど?」
「ただ転んだだけなら、そんな体勢にはならないよね。最初から抱き合ったまま転んだ、とかじゃないかぎり」
「っ……」
「……まあいいわ。とにかく押し倒したのは事故であって、故意でも無理矢理でもないってことね?」
「もちろん!」
「あなたも、それでいいのね?」
弟と話していた伊東姉はそこで改めて、弟の隣で成り行きを見守っていた夏雨に目をやった。いきなり返事を求められた夏雨は戸惑いつつも、こくこく頷く。
「えっ……あ、はい……はい! 事故でした。問題ないです。あっ、というか制服を勝手にお借りしてしまって、ごめんなさい」
「それはいいわ。どうせ仕舞っていただけだし、困っているのなら好きなだけ貸してあげる」
「え……いいんですか?」
「その代わり――弟とこれからも仲良くしてやって。こいつ、見た目はアレだけど、中身は人畜無害だから――たぶん」
「……はい」
いやそんなことないですよ、わりとエロ侍ですよ――と喉まで出かかったけれど、夏雨はどうにか呑み込み、もう一度頷いた。それを見て、伊東姉は満足そうに微笑む。
「ありがとう。ええと――」
「あ、ナツメです」
「……名字?」
伊東姉がそう思ったのは、弟の友人である大晴の珍しい名字を連想したからだろう。まさか身バレはしないだろうと思いつつも、夏雨は少し慌てて言い添えた。
「いえっ、名前です。藤田ナツメって言います」
夏雨は咄嗟に、前に家へ遊びに来た小晴の男友達の名字を思い出して、それを口にした。伊東姉はとくに疑うこともなく、それを信じた。
「あら、そう。ごめんなさい。ナツメちゃんね。じゃあ改めて……ナツメちゃん、弟のことをこれからどうかもよろしくね。それじゃ、お姉さんは自分のお部屋に戻ります。では、ごゆっくりぃ」
伊東姉は満面の笑顔で、弟の部屋から出ていった。
ドアが閉まった音が響いた途端、夏雨と伊東の肩がすとんと落ちた。二人とも我知らずのうちに、肩に力が入っていたようだった。
「伊東……おまえの姉貴さん、あれなんか勘違いしたよな?」
「したかもなぁ」
「俺、知らねぇぞ」
「奇遇だな。俺もだよ」
二人でじっと見つめ合い、揃って溜め息を吐いた。
「まあいいよな。姉貴には誤解していてもらったほうが、この制服、借りておきやすいし」
「寸借詐欺って感じで後ろめたいんだが……いいのかな?」
「いいって。あとで返せば何も問題ないって」
「……それもそうか。クリーニングして返せばいいよな」
「って、マナ氏はクリーニングしないと不味いようなこと、する予定があるのでござるか」
「いや、例えばの話だよ」
「とか言いつつぅ?」
「……なら逆に聞くけど、伊東はこの制服姿の俺に、そういうことしたくならないのってのかよっ!」
「えっ……それは、制服でそういうことしようぜ、っていうお誘いで、ご、ござ? ござっ?」
「そういうわけじゃない……こともないけど、いちいち確認を取るな! そういうところが童貞なんだ!」
「童貞でござるが何かぁ!? というかマナも童貞でしょうがぁ!」
「俺はいいんだよ。処女でもあるから、プラマイゼロなんだよ」
「童貞はマイナスで処女はプラスでござるか」
「間違ってるか?」
「間違ってないのが世知辛いでござるぅ」
……そんな馬鹿なことを言っているうちに、二人ともエロい気持ちは失せていた。
「さて、あとどうするか……んっ」
夏雨は聞くともなしに言いながら、両手を頭の後ろで組むようにして大きく伸びをする。
「……って、伊東?」
ふと横から熱い視線を感じた夏雨が振り向くと、伊東が胸元を凝視していた。胸のサイズが合っていないブラウスで背を反らしたためにドォンと強調された乳房に、思春期男子が抗えるはずもなかった。エロい気持ちなんて、女子の仕草ひとつで瞬間無限に溢れ出すのが思春期童貞男子なのだ。
「マ、マナ氏……そういやこの前、お、お胸でおイきになられておられましたでござるよな?」
「……記憶にないな」
夏雨は反射的に両手で乳房を庇いながら、ぷいっと顔を逸らす。
「ははっ、御冗談。拙者、ちゃあんと覚えているでござるよ」
「なら訊くなよ。というか、それがなんだよ」
「やっ、ほら……今日はまだ、お、お、おっぱいでイッてなさらないから、消化不良なんではなかろうかぁ、と思った次第でござるからしてぇ……」
「……つまり、俺のおっぱい揉みたい、と」
夏雨は伊東から顔を背けたまま、じとっと横目で睨みつける。だが豈図らんや、伊東は首を横に振った。
「いや、揉みたいんじゃない。おっぱいを揉みしだきまくって、乳首も抓んでこりこり捏ねくり倒して、マナの乳首とおっぱいにイき癖を付けてあげたいんだ」
「真面目な顔で言うな! ってか、そういうのこそ、ござる付けて冗談っぽく言えし!」
「や、冗談じゃないので」
「冗談にしろ……って、おい!?」
伊東がずいっと迫ってきた分だけ仰け反った夏雨は、そこでバランスを崩して背中からベッドに寝転んでしまう。
「……ひゃっ」
咄嗟に細めてしまった目を開くと、見上げた視界には、天井を遮って伊東の顔。下を向いていて陰になっている分、普段より厳しく見える。
「っ……伊東、マジで……?」
「……」
伊東は返事をしないまま、見下ろしている夏雨のたわわな乳房に右手を伸ばしていく。
「うっ……!」
夏雨は思わず目を閉じ、すぐにも胸に訪れる愛撫の刺激に身構える――が、刺激が来ない。
「……伊東?」
瞑っていた目を開けて、友人を訝しげに見上げると、友人は夏雨ではなくドアのほうを見ていた。ますます眉根を寄せた夏雨に、伊東は夏雨の胸元から引っ込めた手で人差し指を自分の唇に当てるジェスチャーをして、そっと身体を起こす。
静かにベッドから降りた伊東は、閉じているドアの前に立ってドアノブを掴むと、内開きのドアを自分の体ごとドアの陰に隠れるようにして一気に引き開けた。その途端、室内に倒れ込んでくる人物があった。
「あだっ!?」
伊東姉だ。彼女は廊下で、ドアに凭れるようにして耳をつけ、聞き耳を立てていたのだった。
「姉貴……」
「あ、はは……やっ、ごめんなさい。でもさ、ほら、あんたもナツメちゃんもキス以上のことはまだ早いじゃない? だから、万が一がないように、ここはお姉さんが見守ってあげないとねって思ったの! なに? 文句あんの!?」
最初は焦りながらの弁明だったものが、最後には居直って逆に糾弾してくる始末だ。伊東姉弟の力関係が察せられて、夏雨は友人に少し優しくしてやってもいいよな、と思う。具体的には、おっぱいくらい笑顔で揉ませてあげようと思った。
夏雨が遠い目をしている間も姉弟の口論というか口喧嘩は白熱していく。
「姉貴さ、ほんっと勘弁してよ」
「それ、あたしの制服を勝手に持ち出しておいて言う台詞?」
「そこはごめんなさい! でも、それとこれとは別の話だから」
「別ぅ? 何が別なのよ。同じよ、同じ! だから、あんたは謝れ!」
「謝っただろ! いま!」
「もっと謝んなさいって言ってるの!」
「意味分かんねぇ!」
「分かんないのを謝んなさい!」
……もう二人が何を言い合っているのか、夏雨には分からない。ただ思うのは、制服を脱いで返したほうがいいのかなぁ、だ。
すると、夏雨のそんな内心を読んだかのように、伊東姉がくるりと振り返って夏雨に笑顔を向けてきた。
「あ、ナツメちゃんはいいのよ。その制服、よかったら着てやって。タンスの肥やしにしていただけだし、二年でも三年でもじゃんじゃん着倒しちゃって」
「はい、ありがとうございます……」
「あっ、でも勘違いしちゃ駄目よ。その制服は、あたしが貸すのであって、弟が貸すんじゃないんだからね。だから、こいつにエロいこと要求されても応える義務はないんだからね」
本気とも冗談ともつかない伊東姉の言葉に、夏雨はふと悪戯心をくすぐられて、にやんと微笑む。
「わたし、義務で応えているように見えました?」
「え――」
絶句する伊東姉。横で伊東も目を丸くしている。それが面白くて、夏雨はいっそう微笑む。
「義務とか借りとか、そういうことではなく応えたいなと思ったら、応えていい。姉として認めます――いまの、そういう意味の発言と受け取っていいんですね」
「え……え、あ……う……う、うん……で、でも、キスまでがいいんじゃないかしら? それ以上のことは、その、ちょっと……あたしだってまだなのに――あっ! あ、あっ……あぁ! あたし、もう戻んないと!」
自爆した伊東姉は羞恥で真っ赤にした顔を隠すように回れ右すると、足を縺れさせるようにして部屋を出ていった。
「やだ、純情。可愛い。姉貴さん、前からあんな可愛かったっけ?」
隣の部屋に逃げ帰っていく足音を聞きながら、夏雨はくすりと笑う。一方で伊東は、泣き真似をするように両手で顔を覆っていた。
「姉貴の膜の有無など聞きとうなかった……これ、俺、どんな顔して姉貴と顔を合わせたらいいの?」
「笑えばいいんじゃね?」
「笑ったら殺されそうだが」
「ははっ」
夏雨は鼠っぽく笑ったところで、さて、と表情を引き締める。
「じゃあ、伊東――するか」
「……うん? なんて?」
「姉貴さんのお許しももらったことだし、しようぜ。っつか、さっきから寸止めとか焦らしとかばっかで、ぶちゃけまんこが疼いて仕方ないんだよ♥ だから、なんでもいいから、なんとかしてくれ。しろっ♥」
ご無体な命令を発しながら、伊東をがばっと押し倒す夏雨。
「あっ、あっ、待って! さすがに姉貴が隣にいるところで本番は無理にござるぅ!」
「じゃあ手でやれ! クンニしろオラァ!」
「ひいぃッ!!」
伊東の肥満体が藻掻くたび、シーツに皺が寄っていった。
その後は交渉の結果、伊東は夏雨のことを背中から抱っこして、夏雨が満足するまで小一時間ほど、指と手首が筋肉痛になるまで延々と乳揉みすることで許してもらったのだった。なお、いつ伊東姉が乗り込んできても即応できるように着衣乳揉みであった。
「やっ、いや、本番したくないわけではないのでござるが、壁一枚隣に姉貴がいるって状況でヤるのは無理いぃ……っていうかマナ、絶対声出しちゃ駄目だからしてぇ……ッ!!」
伊東は蚊の鳴くような声で叫ぶという芸当を披露しながら、自分の指を噛んで必死に声を噛み殺す夏雨の胸を捏ねくり倒して、夏雨に満足してもらったのだった。
「というか……マナは姉貴が帰ってこなかったら、本気で俺と致していたので?」
夏雨が一通り満足して、身繕いも終わり、あとは帰るだけとなったとき、伊東がおずおずと聞いてきた。
聞かれた夏雨は、軽く目を瞠って驚いた顔をする。
「え? というか、伊東はそのつもりだったから、誰もいない家に俺を呼んだんじゃないの?」
「いやぁまぁ、そういうルート分岐があるかもという予想を立てていなくもなかったけれど、でも結局はマナがヘタれて、軽くパイタッチでもした後はだらだらゲームして、帰りにその制服だけ貸して終わり……みたいな展開になるんだろうなぁ、と思っていました」
「なぜ丁寧語か……いや、そこはいいとして……ぶっちゃけた話、よ」
夏雨は目線をちらちら惑わせながら続ける。
「女子の身体をもっと楽しみたいと思うわけで、そうするとやっぱ、どこかで膜を破ることになるだろ。最初はいっそバイブで……とも思ったんだけど、どうせなら、ほら、ちゃんとした初体験もしてみたいなぁ……とか、ちょっと思ったり、なんて」
言っているうちにどんどん照れていく夏雨の頬は熟れた林檎で、甘い香りが漂ってくるかのようだったから、着衣乳揉み六十分コースで煽られ続けていた伊東がキモい感じに鼻の穴をおっ広げてしまうのも仕方のないことだった。
だけど夏雨のほうにも、そのキモさを指摘して笑ってやるような余裕はなくて……結果、二人して脂汗を掻きながら目を泳がせ合うという、訳の分からない無言劇を三十秒ほどやってしまった。
「ま、まぁ……今日はもう帰るんで」
「あ、う、うん。じゃ、また……」
「うん……また」
伊東家の玄関を出てすぐのところで、夏雨が見送りに出てきた伊東に向けて柄にもなく胸のところでバイバイと手を振ったのは、そのときの空気がまだ残っていたからか、将又オレンジ色の夕焼けがやけに印象的だったからか。
絵画の中に入ったようだ――なんて、これまた柄にもないことを思いながら夏雨は右向け右して歩き出そうとして……けれど、その一歩目は踏み出されなかった。
「墨谷さん……?」
夏雨が向かおうとした通りの先に私服姿の墨谷萌々”めめが立っていて、夏雨を見つめていた。
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