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前衛芸術「快感機構」
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休日には大勢の人がやってきて思い思いの余暇を過ごす、整備の行き届いた大きな公園。遊具の類はないけれど、青々とした芝生や、微風が並木を揺らす遊歩道などが人気だ。
そんな公園の中央広場では、自由なストリートパフォーマンスが許可されていて、ギターを掻き鳴らす者、自作の詩集を売る者、手品を披露する者、漫才をする二人組、そして足を止める見物客とで、広場はいつものように賑わっていた。
そんな賑わいの中、その青年は自作の前衛芸術を発表していた。
頑丈なスプリングの上に、動物を模した台座が据えられているアレ、いわゆるスプリング遊具。台座がちょっと珍しい写実的な象さんの形をしているそれは、青年の手作りだ。
そう――青年は美術系の専門学校に通う、美術家の卵なのだった。ただし、彼の考える芸術というのは、絵画や像といった作品単品ではなく、作品を中心にしたイベントこそが芸術である――という持論を持っていた。
今日はその持論を実践するため、この公園に来たのである。
混雑するほどではないが、閑散としているわけでもない中央広場の一角で、青年は自作のリアルな象さん彫刻が載ったスプリング遊具に跨って微動だにしない。それは、青年自身もまた象の彫刻と同じく、作品の一部なのだという意思表示である。
そして言うまでもないことだが、青年像である以上は当然、全裸だ。ダビデ像を例に挙げるまでもなく、芸術とは全裸に始まる全裸に終わるのだ。全裸こそ、神が作り給うた至高の芸術作品であるが故に。
――話を戻そう。
日々の運動を欠かしていない青年の裸体は、筋骨隆々とまではいかなくとも、十分に均整が取れている。理想の肉体を彫りたければ、まず己が理想の肉体となれ――そのような持論を実行しているおかげだろう。
写実的な像の彫刻に跨った、微動だにしない生身な全裸青年。ありのままの自然な姿でありながら、少しも景色に溶け込むことのない彼と彼の作品は、否応なく衆目を集める。そして群衆の視線は、作品の傍らに据えられた立て看板へと向かうのだ。
『ご自由にお蹴りください』
大きな字でデカデカと記されたその文言に、集まってきた見物客は揃って首を傾げる。でも、そのうちの一人がスプリング遊具に跨った青年と立て看板とを交互に見やった後、「こういうことか?」と首を傾げたまま、象の遊具をドンッと蹴った。
その衝撃で、象の底に付いているスプリングが、ぐいんぐいんと振り子運動をする。そして青年が喘ぐ。
「んぉん♡ んぉうんッ♡」
いきなりの喘ぎ声にびっくりした見物客たちだが、青年は気にすることなく、喘ぐ。象に跨った姿勢を崩すことなく、視線も前を向いたまま、ただ表情だけを変化させて、喘ぐ。
「んぉ♡ んぅお……おぉ……ぉ……」
スプリングの揺れが小さく短くなっていくのに合わせて、青年の喘ぎもだんだんと収まっていく。そしてスプリングが完全に止まると、青年も口を閉ざして、また無表情に戻った。
それを見ていた別の見物客が、足の裏で押すようにして象を蹴る。
「んおっ、おおっ♡ おぉっ、おぉっ♡」
揺れるスプリング遊具の上で、青年がまたしても喘ぐ。これでだいたい、見物客にもこのパフォーマンスの仕組みが理解できた。
青年が跨っている象の背中には張り型が据えられているのだろう。で、それが青年の肛門に咥え込まれているのだろう。
そうと察した見物客が思い思いに、スプリング遊具の象を蹴りつけていく。蹴り方は人それぞれで、押すように蹴る者もいれば、敢えてスナップを効かせた蹴りを入れて、スプリングを振動でなく震動させる者もいた。
子供の蹴りは弱く、大人の蹴りは強い。女性が蹴ると弱いこともあるが、中には男性顔負けの荒々しさで蹴ってくる者もいて、個々人の性格が蹴りに――そして、スプリングの揺れ方に表れる。
もちろん、張り型に伝わる震動と、それを受けた青年の喘ぎ声にも。
「おふぉっ、ふおっお♡ おおっ、おっふぉ♡ っふぉお♡ おぉっほ♡」
青年は象の上でぐいんぐいん振り子運動しなが鳴き喘ぎして、自身の芸術観の正しさを確信しながら、多種多様な震動を括約筋と前立腺で噛み締めるのだった。
そんな公園の中央広場では、自由なストリートパフォーマンスが許可されていて、ギターを掻き鳴らす者、自作の詩集を売る者、手品を披露する者、漫才をする二人組、そして足を止める見物客とで、広場はいつものように賑わっていた。
そんな賑わいの中、その青年は自作の前衛芸術を発表していた。
頑丈なスプリングの上に、動物を模した台座が据えられているアレ、いわゆるスプリング遊具。台座がちょっと珍しい写実的な象さんの形をしているそれは、青年の手作りだ。
そう――青年は美術系の専門学校に通う、美術家の卵なのだった。ただし、彼の考える芸術というのは、絵画や像といった作品単品ではなく、作品を中心にしたイベントこそが芸術である――という持論を持っていた。
今日はその持論を実践するため、この公園に来たのである。
混雑するほどではないが、閑散としているわけでもない中央広場の一角で、青年は自作のリアルな象さん彫刻が載ったスプリング遊具に跨って微動だにしない。それは、青年自身もまた象の彫刻と同じく、作品の一部なのだという意思表示である。
そして言うまでもないことだが、青年像である以上は当然、全裸だ。ダビデ像を例に挙げるまでもなく、芸術とは全裸に始まる全裸に終わるのだ。全裸こそ、神が作り給うた至高の芸術作品であるが故に。
――話を戻そう。
日々の運動を欠かしていない青年の裸体は、筋骨隆々とまではいかなくとも、十分に均整が取れている。理想の肉体を彫りたければ、まず己が理想の肉体となれ――そのような持論を実行しているおかげだろう。
写実的な像の彫刻に跨った、微動だにしない生身な全裸青年。ありのままの自然な姿でありながら、少しも景色に溶け込むことのない彼と彼の作品は、否応なく衆目を集める。そして群衆の視線は、作品の傍らに据えられた立て看板へと向かうのだ。
『ご自由にお蹴りください』
大きな字でデカデカと記されたその文言に、集まってきた見物客は揃って首を傾げる。でも、そのうちの一人がスプリング遊具に跨った青年と立て看板とを交互に見やった後、「こういうことか?」と首を傾げたまま、象の遊具をドンッと蹴った。
その衝撃で、象の底に付いているスプリングが、ぐいんぐいんと振り子運動をする。そして青年が喘ぐ。
「んぉん♡ んぉうんッ♡」
いきなりの喘ぎ声にびっくりした見物客たちだが、青年は気にすることなく、喘ぐ。象に跨った姿勢を崩すことなく、視線も前を向いたまま、ただ表情だけを変化させて、喘ぐ。
「んぉ♡ んぅお……おぉ……ぉ……」
スプリングの揺れが小さく短くなっていくのに合わせて、青年の喘ぎもだんだんと収まっていく。そしてスプリングが完全に止まると、青年も口を閉ざして、また無表情に戻った。
それを見ていた別の見物客が、足の裏で押すようにして象を蹴る。
「んおっ、おおっ♡ おぉっ、おぉっ♡」
揺れるスプリング遊具の上で、青年がまたしても喘ぐ。これでだいたい、見物客にもこのパフォーマンスの仕組みが理解できた。
青年が跨っている象の背中には張り型が据えられているのだろう。で、それが青年の肛門に咥え込まれているのだろう。
そうと察した見物客が思い思いに、スプリング遊具の象を蹴りつけていく。蹴り方は人それぞれで、押すように蹴る者もいれば、敢えてスナップを効かせた蹴りを入れて、スプリングを振動でなく震動させる者もいた。
子供の蹴りは弱く、大人の蹴りは強い。女性が蹴ると弱いこともあるが、中には男性顔負けの荒々しさで蹴ってくる者もいて、個々人の性格が蹴りに――そして、スプリングの揺れ方に表れる。
もちろん、張り型に伝わる震動と、それを受けた青年の喘ぎ声にも。
「おふぉっ、ふおっお♡ おおっ、おっふぉ♡ っふぉお♡ おぉっほ♡」
青年は象の上でぐいんぐいん振り子運動しなが鳴き喘ぎして、自身の芸術観の正しさを確信しながら、多種多様な震動を括約筋と前立腺で噛み締めるのだった。
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