義妹ビッチと異世界召喚

Merle

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5章

70. ルピスさんから見たゴブさんとわたし アルカ

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「ここのゴブリンたちは本当にゴブリンなのですか?」

 ある日のこと、ルピスさんがわたしにそう尋ねてきました。青空の下、みんなで裸になって川で水浴びしているときのことでした。
 どういうことでしょ、と小首を傾げたわたしから視線を外したルピスさんは、河原のほうを振り返ります。
 河原ではゴブさんたちが、ラヴィニエさんに指導されて剣を振ったり、義兄さんが妙に教えたがるプロレス技を真似っ子したりしていました。

「あのゴブリンたち、真面目に剣を振っています。ただ振るだけでなく、構えて、振って、止めて、また戻す――その一連の動作を惰性でなしに、意識的に反復しているのです」
「練習って、そういうものだからでは?」
「そうなんです!」

 反対側に小首を傾げたわたしに、ルピスさんが勢い込んで顔を寄せてきました。

「彼らはただ剣を振り回しているのではない、剣の振り方を学ぼうとしているのです。学ぼうとしているのです、ゴブリンが! ゴブリンが!」
「そんな二度言うのを二度続けなくても知ってますよ。ゴブさんたちはゴブリンさんたちですよね」
「いいえ、巫女様は分かってません! 普通のゴブリンは拾った剣を振り回すことはあっても、振り方を学ぼうなんてしないんです!」
「……ルピスさん、ゴブリン博士です?」
「常識です! 誰でも知ってる常識です!」
「はぁ……」

 そういうものですか、と頷きかけましたけれども、疑問が湧きました。

「あれ? でも、誰もそんなこと言いませんでしたよ?」
「言うまでもないことだからですよ」
「そうですか……」

 まるで、わたしが察しの悪い子みたいに言われて、ちょっぴり唇が尖っちゃいます。ルピスさんはそんなわたしにも気がついた様子がありません。

「私も国を出てからここに来るまでに、本物のゴブリンを実際にこの目で何度か見てきました。あれが本物のゴブリンだというのなら、ここでゴブリンと呼ばれている彼らは間違いなく、ゴブリンではありません。顔つきがどことなくゴブリンに似ているだけの、別の生き物です」
「そこまで言い切りますか」
「私でなくとも、本物のゴブリンを見たことがある者なら同じことを断言するでしょう」
「じゃあ逆に聞きますけどー、ゴブさんたちがゴブリンさんじゃないなら、何さんなんです?」
「それが分かっていたら、こうして巫女様に尋ねたりしていません」

 ルピスさんはつんと顎を上げて、なぜか得意顔です。わたしを言い負かしたとでも思いましたか?

「そうですね、その通りですねっ」

 はい、言い負かされましたよっ!

「……ふふっ」

 そして、ぷっと吹き出すように笑われちゃいました。

「あ、違うんです。これはそういのではなく、巫女様があんまりお可愛いものだから……ふふっ」
「えー……可愛いだけですかぁ?」

 ルピスさんがあんまり自然な感じで褒めてくるものだから、恥ずかしくなって照れ隠しに両手を組んで、おむねをむちっと持ち上げる悩殺ポーズを取っちゃいました。ちなみに重ねて言いますけれど、いま、わたしたちは水浴び中で全裸です。
 男性相手にこういうポーズで誘惑するのは好きなのですけど、女性相手にやるのはわりと恥ずかしいです。だったらしなければいいのに、どうしてやっちゃいましたかね、わたしは。

「……可愛いだけなら、ゴブリンの統率者には成れませんよね」

 ルピスさんは苦笑しました。

「んんー……そうですかね? わたし、可愛い以外のことってエッチくらいしか出来ないし、やってもいないんですけどねぇ」
「それが出来るのが、可愛いだけではないことの証明でしょう」
「ほむ……というか、なんの話でしたっけ?」
「ここのゴブリンは何者なのかという話です。私には、ゴブリンのようでゴブリンではない別種、という以上のことは想像できないので、彼らの統率者である巫女様に尋ねてみたのですが……」
「ごめんね、いい感じに答えられませんで!」

 ちょっと拗ねたふうに返事をしたら、ルピスさんは慌ててしまいます。

「いえ、そんなことはありません。巫女様に話してもらったことで、巫女様が無意識に彼らを導いたのだろうということが推し量れました」
「わたしが、無意識に……んん?」

 ルピスさんに言われた言葉は、意外なものでした。

「ロイドやシャーリーさんらに話を聞いてみた限り、ここのゴブリンは、一年前はもっと普通のゴブリンに近いものだったと思われます。もっとも、ただのゴブリンは人語を話したりしないと思いますが。ですが、そのゴブリンだったものがこの一年ほどで現在の姿と精神性へと変容しました。その原因を考えたとき、巫女様の影響がなかったと考えるのは難しいでしょう」

 ルピスさんの話すことは、確かに頷けるところもありました。

「言われてみると、去年のゴブさんたちはもっと感じだったかも? でも、見た目は確かにシュッとしたりムキッとしたりでイイ感じになったと思いますけど、精神性というか中身は最初からこうだったように思えるんですけどねぇ」

 ゴブさんたちは最初から、わたしのことをすごく大事に扱ってくれています。そこは本当に最初の最初からだったと思うのです。

「……これはわたしが聞き出したわけではなく、ロイドが聞いてもいないのに教えてくれたことですが……巫女様はこの地でゴブリンたちと出会ってすぐに、彼らに、その、あの……しとねを共にしたと聞きました」
「しとね?」
「その、同衾した……肌を重ねた……」
「あぁ、エッチしたかですね。しましたね、輪姦でしたね」
「……それこそまさに、巷間で言われる普通のゴブリンの所業だったのではないでしょうか」
「ん……つまり、最初にわたしとエッチしたときのゴブさんたちは、ただのゴブリンだった。でも、わたしとエッチしたせいで? ゴブリンはいまのゴブさんたちになった?」
「そう――そうです! 私が言いたいのはまさにそれなのです!」

 ルピスさんはギュッと握り締めた両手を上下にぶんぶん振りながら、わたしのほうに詰め寄ってきました。なお、これで三度目になりますが、わたしたちはいま全裸です。ルピスさんの両手と一緒にたっぷたっぷと弾むお胸は、推定CからDカップです。イイ感じで、ぷるんぷるんです。
 ルピスさんは自分が乳揺れアピールしているのにも気づかないくらいのお目々キラキラ大興奮で語り込んできます。

「他の皆さんからも聞き取りましたけれど、ここのゴブリンはこの一年で異様な成長を遂げていると言わざるを得ません。戦士と忍者という区分は分かります。従来のホブゴブリンと、ただのゴブリンに該当する区分でしょう。ええ、そこは理解の範疇です。ですが、板前に大工というのはなんですか? そんな職能への適応をゴブリンがするなんて、聞いたこともありません。それに、神官と呼ばれている者――あれは本当になんなのですか? あの者の魔術は……強すぎます」
「……そんなに強いんですか」

 ラヴィニエさんが「神官殿の魔術は私より達者です」と常々言っていますから、まあそれなりに上手なのでしょうねぇとは思っていましたけど……元王女様が強いと断言するくらい、ですか。
 零歳児のミソラちゃんはもっと凄い魔術師ですよ――と教えてあげたら、ルピスさんはどんな顔をするでしょうか? 見てみたい気もしますが、ルピスさんの圧が強すぎて言葉を挟めません。

「巫女様は比較対象を知らないから実感が湧かないのでしょう。そんな巫女様にも分かりやすく言うとしたら……そうですね、神官殿はどこの国でも宮廷魔術師に招聘されるでしょう。もちろん、種族を考慮に入れなければ、ですが。さらに言えば、宮廷魔術師というのはの話です。ああいった要職に就くには家柄も必要ですので。能力だけの話ならば、ただの宮廷魔術師ではなく、そこにの肩書が加わってもおかしくはありません。出力に恵まれた者、操作技術に優れた者なら探せばいるだろうけれど、そのどちらもを兼ね備えた魔術師は稀有です。彼の文豪が残した成語に言うところの、鉄製かねの靴で探すにあたう、です」

 ……はい。
 ルピスさんが魔術とかゴブリンとか文豪さんとかが大好きなのは、とてもよく伝わってきました。あ、きっと文豪さんが沢山書いた物語の中に魔術やゴブリンがよく出てきていたのかも。つまり、ルピスさんは物語が好き系女子……アニメ・ゲーム好き女子の異世界版ということですね。
 そう考えると、こちらの反応を待つことなく好きなだけ語りまくっているところ、すごいオタクって感じです。義兄さんと結構気が合うんじゃないですかねぇ。
 ……なぁんてことを考えながらルピスさんを見つめていたら、目が合いました。その途端、ルピスさんは口を半開きのところで止めたまま、目元を赤らめました。

「あ……す、すいません、巫女様。つい、熱くなってしまって……」
「いえいえー。ありますよね、そういうの」
「……わたしは他者ひとと話す機会があまりなくて、ずっと読書と空想ばかりだったから、ひとと話す技術が稚拙なのだと思う……ます」

 最後の取って付けたような敬語が、これまた可愛いですね。顔を赤くしてそんな弁解してくるところも可愛い可愛い。

「いいんじゃないですか。普段のお嬢様っぽいのとのギャップにグッと来る男子も多いと思いますよ」

 恥ずかしげなルピスさんにフォローのつもりでそう言ったら、すんっと冷めた顔をされました。

「ここにいる男子はロイド一人ですが、巫女様は私と彼が良い仲になることを望まれますか?」
「……それ、適当にハイって答えると強制になっちゃうような選択肢ですかね?」
「女王陛下の御心のままに」

 そう言ったルピスさんの微笑は仮面のように完璧でした。銀髪と灰色の瞳が上からの日差しと、川面からの照り返しとで淡く輝き、これぞ本物のお姫様って感じのインパクトです。
 一瞬、腰が退けました。川に足まで浸かっているのでなかったら、そのまま後退りしていたかもしれません。でも、足が後ろに行こうとしたときのパシャリという水音と、無意識で動くには重く感じた水の抵抗が、わたしをその場に踏み留まらせました。

「ルピスさんはわたしを女王様にさせたいみたいですけど、わたしはそういうんじゃありませんから。ただの、みんなと楽しくエッチして過ごしたいだけの普通の子ですから」
「……巫女様はという言葉の意味を間違えていらっしゃるようで」

 変わらず微笑んだままのルピスさんですが、さっきまでの仮面みたいな冷たさはなくなっていました。それが嬉しくて、わたしまで思わず笑っちゃいながら頬を膨らませます。

「ルピスさん、女王様に向かって、なんて言い方ですか。罰ゲームですっ」
「きゃあっ!」

 わたしが正面から両手を伸ばして抱きつくと、ルピスさんは可愛く声を上げます。それを聞きながらルピスさんの背後にまわって、わたしの手には収まらないサイズのおっぱいをもにゅもにゅ揉みしだいてやりました。

「あっ、あっ! いきなりっ、なんっ……んんッ♥」

 ルピスさんは腋の下を通して伸ばされているわたしの両手から逃れようと身を捩りますけど、本気の抵抗はしてきません。後頭部での頭突きとか肘打ちとかされたら、さすがにわたしも悪戯中止にしてガチ謝罪です。
 まあ、本気の抵抗を躊躇っちゃうよう、わざと緩い力加減でもみもみしているわけで、つまりこれはルピスさんも受け入れてくれているというわけで……あ、これ普通にセクハラの思考ですね。駄目なやつです、良くない良くない。
 ――そう思って両手を離そうとしたのですけど、ルピスさんはなぜか腋をきゅっと締めて、わたしの両手をロックしてきました。

「んっ、んんぁ……巫女様、み、皆がそこに、皆が見て……あぁっ!」
「いやいや、ルピスさん。みんなに見られるのが嫌なら、小脇に挟んだわたしの手を離してくれていいんですけどー?」
「ああっ、だめっ! 駄目です、だめぇ♥」
「いやいや……」

 わたしはとっくに両手の力を抜いて、手首から先は幽霊みたいにだらりと垂らすつもりなのに、ルピスさんは両脇を締めたままでわたしの手を取って持ち上げると、自分のおっぱいを包ませるのです。
 ルピスさんの両手に手の甲を包まれた内側では、手の平にぷりぷりしたものが当たっています。これ、乳首でしょうかね。ルピスさん、わたしにちょっと揉まれただけで乳首を勃たせちゃったみたいです。たぶん、すぐそこの河原にゴブさんたちがいるのがツボだったのでしょう。
 ルピスさんはどうも、見せたり見られたりすることに快感を覚える性癖みたいです。まあ、わりとよくある性癖ですよね。裏垢女子とか。イイネの多さは正義です。

「……ルピスさん、みんなに見せつけたいのなら、もっとイイ声で喘がなきゃですよぅ」
「ひゃわあッ⁉」

 このまま受け身もつまらないので、されるままだった両手に力を入れて乳房おっぱいをムギュッと掴んであげたら、ルピスさんは期待通りの鳴き声を上げてくれました。

「みっ、巫女様、なんで急にっ……っひッ♥」
「急にも何も、ルピスさんが誘ってきたんじゃないですかぁ」
「あっ、あっ♥ そっ、れはぁ、場を和ませようという、他愛もないおふざけ、でっ! あっ、ひゃわッ♥」
「全裸でおっぱいぶら下げた女の子がそういうのやったら、おふざけで済むわけないでしょーがぁ♥」
「あっひゅうぅッ♥ ごめんなしゃっひいいぃッ♥♥」

 ぷりぷり乳首を指の股にぴっちり挟んで、外側斜め下から内側斜め上へと寄せて上げる感じの揉み込みテクで、ルピスさんは形の良いお尻をきゅぅっと引き締めながら背伸びして――直後、くたぁっと腰砕けになったのでした。
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