29 / 37
空中庭園での凶事と画策する後宮妃
しおりを挟む
空中庭園での凶事。
奇しくも、皇妃ロゼッタが毒を盛られるも、賢明な皇妃自身により、幸いにして事なきを得ている。
皇妃ロゼッタを毒殺により亡き者にしようと画策したのは、同じ後宮妃の一人。
「一の後宮妃」と呼ばれる者。
後宮を訪れる皇帝から“伽姫”として特に召される者を「後宮の三妃」と呼び、今回はその内の一人が画策。
皇帝の寵愛が全ての後宮妃には、夜伽に召され、恩寵をその身に受けてこそ。
身に受ける寵愛の程で、後宮内での優位性を保つ後宮妃らは、夜伽に召されれば、その謝意として金品さえも授与される為に、やはり優位に立ちたいのは当然。
オルラ王女が皇妃として迎え入れられる以前は、日々後宮へと訪れていた皇帝リカルド。それが今やなしのつぶて。誰も夜伽に召さない。
もはや捨て置かれている後宮妃ら。
数多いる後宮妃らには、皇帝の寵を独り占めし、さらには御子までもうけた皇妃ロゼッタを歓迎するどころか、ただの苛立たしい存在でしかない。
女の悋気には果てがない。
ーまさに、それが凶行に及ぶ一因。
今時分は、皇宮の〈皇帝の寝所〉。
空中庭園での残酷なやり取りを見せない為に、オルラ王女を故意に眠らせた皇帝リカルド。
未だ深い眠りに落ちるオルラ王女の傍らへと腰を据え、その美しい黄金の髪を一房手に取り、そっと口付けを落とす。
「ロゼッタ、おまえが無事で良かった……」
そして、その柔らかな頬へも口付ける。
皇帝リカルドの好むオルラ王女の黄金の髪は、一度も鋏を入れることなく、長く長く伸ばされている。
美しい黄金の髪を短く切ることを厭う皇帝リカルドは、オルラ王女の髪の一本でさえ愛おしいむ。
実際、伽で乱れるオルラ王女の黄金の髪が、汗ばむ肌に纏りつく様は、艶めかしくも美しい。
美しい皇帝の薔薇ロゼッタを彩る黄金の髪は、もはやそれ自体が黄金の装飾。
「美しいロゼッタ……おまえの全ては余のものー……忘れるな」
皇帝リカルドは、寝台に沈むオルラ王女へと静かな声音で告げる。
「おまえに害を成そうとした羽虫を、直ぐにでも片付けて来るー……今しばらくは、ゆっくりと眠れー……」
足音一つなく、寝台から立ち上がる皇帝リカルド。
側に控える腹心ルイスを伴い、一の後宮妃がすでに囚われている〈罪人牢〉へと向かう。
奇しくも、皇妃ロゼッタが毒を盛られるも、賢明な皇妃自身により、幸いにして事なきを得ている。
皇妃ロゼッタを毒殺により亡き者にしようと画策したのは、同じ後宮妃の一人。
「一の後宮妃」と呼ばれる者。
後宮を訪れる皇帝から“伽姫”として特に召される者を「後宮の三妃」と呼び、今回はその内の一人が画策。
皇帝の寵愛が全ての後宮妃には、夜伽に召され、恩寵をその身に受けてこそ。
身に受ける寵愛の程で、後宮内での優位性を保つ後宮妃らは、夜伽に召されれば、その謝意として金品さえも授与される為に、やはり優位に立ちたいのは当然。
オルラ王女が皇妃として迎え入れられる以前は、日々後宮へと訪れていた皇帝リカルド。それが今やなしのつぶて。誰も夜伽に召さない。
もはや捨て置かれている後宮妃ら。
数多いる後宮妃らには、皇帝の寵を独り占めし、さらには御子までもうけた皇妃ロゼッタを歓迎するどころか、ただの苛立たしい存在でしかない。
女の悋気には果てがない。
ーまさに、それが凶行に及ぶ一因。
今時分は、皇宮の〈皇帝の寝所〉。
空中庭園での残酷なやり取りを見せない為に、オルラ王女を故意に眠らせた皇帝リカルド。
未だ深い眠りに落ちるオルラ王女の傍らへと腰を据え、その美しい黄金の髪を一房手に取り、そっと口付けを落とす。
「ロゼッタ、おまえが無事で良かった……」
そして、その柔らかな頬へも口付ける。
皇帝リカルドの好むオルラ王女の黄金の髪は、一度も鋏を入れることなく、長く長く伸ばされている。
美しい黄金の髪を短く切ることを厭う皇帝リカルドは、オルラ王女の髪の一本でさえ愛おしいむ。
実際、伽で乱れるオルラ王女の黄金の髪が、汗ばむ肌に纏りつく様は、艶めかしくも美しい。
美しい皇帝の薔薇ロゼッタを彩る黄金の髪は、もはやそれ自体が黄金の装飾。
「美しいロゼッタ……おまえの全ては余のものー……忘れるな」
皇帝リカルドは、寝台に沈むオルラ王女へと静かな声音で告げる。
「おまえに害を成そうとした羽虫を、直ぐにでも片付けて来るー……今しばらくは、ゆっくりと眠れー……」
足音一つなく、寝台から立ち上がる皇帝リカルド。
側に控える腹心ルイスを伴い、一の後宮妃がすでに囚われている〈罪人牢〉へと向かう。
190
お気に入りに追加
761
あなたにおすすめの小説
腹黒王子は、食べ頃を待っている
月密
恋愛
侯爵令嬢のアリシア・ヴェルネがまだ五歳の時、自国の王太子であるリーンハルトと出会った。そしてその僅か一秒後ーー彼から跪かれ結婚を申し込まれる。幼いアリシアは思わず頷いてしまい、それから十三年間彼からの溺愛ならぬ執愛が止まらない。「ハンカチを拾って頂いただけなんです!」それなのに浮気だと言われてしまいーー「悪い子にはお仕置きをしないとね」また今日も彼から淫らなお仕置きをされてーー……。
姉の夫の愛人になったら、溺愛監禁されました。
月夜野繭
恋愛
伯爵令嬢のリリアーナは、憧れの騎士エルネストから求婚される。しかし、年長者から嫁がなければならないという古いしきたりのため、花嫁に選ばれたのは姉のミレーナだった。
病弱な姉が結婚や出産に耐えられるとは思えない。姉のことが大好きだったリリアーナは、自分の想いを押し殺して、後継ぎを生むために姉の身代わりとしてエルネストの愛人になるが……。
【R18】9番目の捨て駒姫
mokumoku
恋愛
「私、大国の王に求婚されたのよ」ある時廊下で会った第4王女の姉が私にそう言った。
それなのに、今私は父である王の命令でその大国の王の前に立っている。
「姉が直前に逃亡いたしましたので…代わりに私がこちらに来た次第でございます…」
私は学がないからよくわからないけれど姉の身代わりである私はきっと大国の王の怒りに触れて殺されるだろう。
元々私はそう言うときの為にいる捨て駒なの仕方がないわ。私は殺戮王と呼ばれる程残忍なこの大国の王に腕を捻り上げられながらそうぼんやりと考えた。
と人生を諦めていた王女が溺愛されて幸せになる話。元サヤハッピーエンドです♡
(元サヤ=新しいヒーローが出てこないという意味合いで使用しています)
【R18】国王陛下に婚活を命じられたら、宰相閣下の様子がおかしくなった
ほづみ
恋愛
国王から「平和になったので婚活しておいで」と言われた月の女神シアに仕える女神官ロイシュネリア。彼女の持つ未来を視る力は、処女喪失とともに失われる。先視の力をほかの人間に利用されることを恐れた国王からの命令だった。好きな人がいるけどその人には好かれていないし、命令だからしかたがないね、と婚活を始めるロイシュネリアと、彼女のことをひそかに想っていた宰相リフェウスとのあれこれ。両片思いがこじらせています。
あいかわらずゆるふわです。雰囲気重視。
細かいことは気にしないでください!
他サイトにも掲載しています。
注意 ヒロインが腕を切る描写が出てきます。苦手な方はご自衛をお願いします。
【R18】塩対応な副団長、本当は私のことが好きらしい
ほづみ
恋愛
騎士団の副団長グレアムは、事務官のフェイに塩対応する上司。魔法事故でそのグレアムと体が入れ替わってしまった! キスすれば一時的に元に戻るけれど、魔法石の影響が抜けるまではこのままみたい。その上、体が覚えているグレアムの気持ちが丸見えなんですけど!
上司だからとフェイへの気持ちを秘密にしていたのに、入れ替わりで何もかもバレたあげく開き直ったグレアムが、事務官のフェイをペロリしちゃうお話。ヒーローが片想い拗らせています。いつものようにふわふわ設定ですので、深く考えないでお付き合いください。
※大規模火災の描写が出てきます。苦手な方はご自衛をお願いします。
他サイトにも掲載しております。
2023/08/31 タイトル変更しました。
悪役令嬢は国王陛下のモノ~蜜愛の中で淫らに啼く私~
一ノ瀬 彩音
恋愛
侯爵家の一人娘として何不自由なく育ったアリスティアだったが、
十歳の時に母親を亡くしてからというもの父親からの執着心が強くなっていく。
ある日、父親の命令により王宮で開かれた夜会に出席した彼女は
その帰り道で馬車ごと崖下に転落してしまう。
幸いにも怪我一つ負わずに助かったものの、
目を覚ました彼女が見たものは見知らぬ天井と心配そうな表情を浮かべる男性の姿だった。
彼はこの国の国王陛下であり、アリスティアの婚約者――つまりはこの国で最も強い権力を持つ人物だ。
訳も分からぬまま国王陛下の手によって半ば強引に結婚させられたアリスティアだが、
やがて彼に対して……?
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
【完結】鳥籠の妻と変態鬼畜紳士な夫
Ringo
恋愛
夫が好きで好きで好きすぎる妻。
生まれた時から傍にいた夫が妻の生きる世界の全てで、夫なしの人生など考えただけで絶望レベル。
行動の全てを報告させ把握していないと不安になり、少しでも女の気配を感じれば嫉妬に狂う。
そしてそんな妻を愛してやまない夫。
束縛されること、嫉妬されることにこれ以上にない愛情を感じる変態。
自身も嫉妬深く、妻を家に閉じ込め家族以外との接触や交流を遮断。
時に激しい妄想に駆られて俺様キャラが降臨し、妻を言葉と行為で追い込む鬼畜でもある。
そんなメンヘラ妻と変態鬼畜紳士夫が織り成す日常をご覧あれ。
୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧
※現代もの
※R18内容濃いめ(作者調べ)
※ガッツリ行為エピソード多め
※上記が苦手な方はご遠慮ください
完結まで執筆済み
【完結】【R18】伯爵夫人の務めだと、甘い夜に堕とされています。
水樹風
恋愛
とある事情から、近衛騎士団々長レイナート・ワーリン伯爵の後妻となったエルシャ。
十六歳年上の彼とは形だけの夫婦のはずだった。それでも『家族』として大切にしてもらい、伯爵家の女主人として役目を果たしていた彼女。
だが結婚三年目。ワーリン伯爵家を揺るがす事件が起こる。そして……。
白い結婚をしたはずのエルシャは、伯爵夫人として一番大事な役目を果たさなければならなくなったのだ。
「エルシャ、いいかい?」
「はい、レイ様……」
それは堪らなく、甘い夜──。
* 世界観はあくまで創作です。
* 全12話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる