プレイ

ななな

文字の大きさ
上 下
4 / 6

4

しおりを挟む
「ただいまぁ」
 そう言うと必ず、「おかえり、しんちゃん」と叔父は出迎えてくれる。ニコニコしながら進之介のリュックをさりげなく取って、いつもの置き場所へと置くのだ。それから「手洗いうがいをしておいで」と付け加える。けれども、今日は少し違った。

「しんちゃん……どうした?泣きそうな顔して…」

 叔父はしゃがみこみ、下から進之介を見上げる。そんな顔をしているのか、と進之介は戸惑うが、上手い言葉が出てこない。まごまごしていると、叔父がそっと手を伸ばし、進之介の頬に添えてきた。

「俺になんでも言ってみな?大丈夫、大丈夫だから……」

 とても優しい声だった。進之介を見つめる瞳が慈愛そのもので、それに釣られるように進之介はぽつり、ぽつりと言葉を重ねる。
 滝藤と話したこと、自分の気持ちが落ち着かないこと、友人と談笑する滝藤の姿を見てショックを受けたこと。その全てが、よくわからないこと。

 叔父は小さく頷きながら、進之介の話を根気よく聞いているようだった。それに気を良くして、進之介はつい喋り過ぎてしまった。
 叔父さんさぁ、おれに隠してることない…?おれ、叔父さんのこと何も知らない。叔父さんとの距離の取り方がわかんない。おれのこと、どう思ってんの ーー まさか自分のことを言われるとは思ってもいなかったのだろう。叔父は少し驚いた顔になり、やがて満面の笑みを浮かべた。

「そうだな。しんちゃんには色々と教えてあげなきゃいけないなぁ」

 そう言って叔父は急に立ち上がり、進之介を横抱きにして抱え上げたのだ。突然のことに声も出す、叔父の顔を見上げると、「大丈夫、大丈夫」と囁かれる。そのまま中へ連れられ、下ろされたのは布団の上だった。頭を撫でられ、その手はまた頬へと下りてゆく。

「お、おじ、さん…?」

「しんちゃん、しんちゃんはな、滝藤のことが好きなんだよ」

 ニッと笑う目の前の叔父。その言葉に、鈍器で頭を殴られたかのような衝撃が走った。おれが……滝藤さんを?
 信じられず首を横に振ると、叔父もまた首を横に振り、「でもな、しんちゃん。そいつはしんちゃんの望むことを何一つしてくれやしないよ」と追い詰めてくる。
 望むこと…?おれが滝藤さんに望むのは…ただ、ただ……話をしてくれるだけで嬉しくて……

「しんちゃんは欲がないな、良い子すぎて心配になる……俺ならなんでもしてやるのに」

 叔父はそう言い、進之介のズボンをずらしたのだ。「お゛っ、おじさッ…!」とっさに引き戻そうとするが、叔父はそうはさせてくれない。剥き出しの局部に顔を近づけてゆき、陶酔したような目を向けてくる。

「しんちゃん…はぁ……しんちゃんは可愛い…本当に可愛いなァ…」
 叔父の赤い舌先は伸びてゆき、不浄なそれに躊躇いなく絡み付いた。生温い不愉快なぬくもりと、独特のざらつき ーー 腹を蹴られたような息苦しさが進之介を襲い、叫びは声にならなかった。

「ハァっ…ンン…しんちゃんッ、しんちゃん、しんちゃんンンっ!!」

 あまい、しんちゃんは甘い、良い匂いがする……しんちゃんのぜぇんぶ俺にちょうだいぃぃいッぅうッッ!!

 息荒く興奮した獣は、薄い茂みに顔を埋め、口の中に広がる愛しさに昇天する。あぁ…これがしんちゃんの味。ずっとこうしたいと頭の中で何度も何度も描いていたのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

執着男に勤務先を特定された上に、なんなら後輩として入社して来られちゃった

パイ生地製作委員会
BL
【登場人物】 陰原 月夜(カゲハラ ツキヤ):受け 社会人として気丈に頑張っているが、恋愛面に関しては後ろ暗い過去を持つ。晴陽とは過去に高校で出会い、恋に落ちて付き合っていた。しかし、晴陽からの度重なる縛り付けが苦しくなり、大学入学を機に逃げ、遠距離を理由に自然消滅で晴陽と別れた。 太陽 晴陽(タイヨウ ハルヒ):攻め 明るく元気な性格で、周囲からの人気が高い。しかしその実、月夜との関係を大切にするあまり、執着してしまう面もある。大学卒業後、月夜と同じ会社に入社した。 【あらすじ】  晴陽と月夜は、高校時代に出会い、互いに深い愛情を育んだ。しかし、海が大学進学のため遠くに引っ越すことになり、二人の間には別れが訪れた。遠距離恋愛は困難を伴い、やがて二人は別れることを決断した。  それから数年後、月夜は大学を卒業し、有名企業に就職した。ある日、偶然の再会があった。晴陽が新入社員として月夜の勤務先を訪れ、再び二人の心は交わる。時間が経ち、お互いが成長し変わったことを認識しながらも、彼らの愛は再燃する。しかし、遠距離恋愛の過去の痛みが未だに彼らの心に影を落としていた。 更新報告用のX(Twitter)をフォローすると作品更新に早く気づけて便利です X(旧Twitter): https://twitter.com/piedough_bl 制作秘話ブログ: https://piedough.fanbox.cc/ メッセージもらえると泣いて喜びます:https://marshmallow-qa.com/8wk9xo87onpix02?t=dlOeZc&utm_medium=url_text&utm_source=promotion

父と息子、婿と花嫁

ななな
BL
 花嫁になって欲しい、父親になって欲しい 。すれ違う二人の思い ーー ヤンデレおじさん × 大学生    大学生の俺は、両親が残した借金苦から風俗店で働いていた。そんな俺に熱を上げる、一人の中年男。  どう足掻いてもおじさんに囚われちゃう、可愛い男の子の話。

幼馴染BL

かげな
BL
ちょっぴりヤンデレな攻めと、お馬鹿な受けの話

陥落 ー おじさま達に病愛されて ー

ななな
BL
 眉目秀麗、才ある青年が二人のおじさま達から変態的かつ病的に愛されるお話。全九話。  国一番の璃伴士(将棋士)であるリンユゥは、義父に温かい愛情を注がれ、平凡ながらも幸せな日々を過ごしていた。  そんなある日、一人の紳士とリンユゥは対局することになり…。

美形な幼馴染のヤンデレ過ぎる執着愛

月夜の晩に
BL
愛が過ぎてヤンデレになった攻めくんの話。 ※ホラーです

執着攻めと平凡受けの短編集

松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。 疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。 基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

Original drug

佐治尚実
BL
ある薬を愛しい恋人の翔祐に服用させた医薬品会社に勤める一条は、この日を数年間も待ち望んでいた。 翔祐(しょうすけ) 一条との家に軟禁されている 平凡 一条の恋人 敬語 一条(いちじょう) 医薬品会社の執行役員 今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。

処理中です...