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7. 兄弟って何?
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「にっ、にいさんっ…アッ…んンッ」
信じられなかった。信じたくもなかった。家族って何だろう、兄弟って何?
兄さんはオレのこと……弟とは思っていないのかな。
「いやだっ、や、やめてっ」
信じられない。兄さんがオレの…お、オレのものを…咥えているなんて。
オレが拒絶すればするほど、兄さんは侵食してくる。「ちゃゆ、だいぞうぶだから」熱い息、太い舌触り、湿っぽい手。全てがオレを奈落の底へと追いやるのだ。
「おまえだからやっへるんだ、おまえがだいじだから。おれのあいをうけとっへくれよ」
一方的な掛け違えた献身に、ただただ悲鳴を上げるばかりだった。貪欲な手がオレの中を掻き回し、弱いところを刺激する。
「ここだ…チャユが女の子になっちゃうところは。気持ちいいだろう?いっぱい触ってあげるからな…」
やがてプツンと、オレの中の張り詰めた糸が切れる音がした。
「いっ、いたいっ、気持ち悪いっ、兄さん抜いて!うっ…ひっく…もうやだ、やだよぉ!オレこのまま死んじゃいたい…っ」
兄さんは、「お前に死なれたら…俺はどうやって生きていけばいいんだ」と目を丸くする。オレは続けざまに言い返した。
「うるさいっ、オレのことが大事なら、どうしてオレの嫌がることをするんだっ!兄さんなんか大嫌いだ!」
「…チャユ」
呆然とした顔で見つめられ、一瞬時が止まったと思った。
オレ、というよりはオレの少し後ろの方を見つめているような。
じきによろよろと、兄さんは身体を起こしていく。魂が抜けたかのように呆けており、オレは崖から飛び降りたのに、服が小枝に引っかかった気分だった。
「にい、さん」
不安になって呼びかけてみた。けれど、反応はない。どうしようかと静かに心の中で奔走していると、静寂はむこうから打ち砕いてきた。
「チャユ…お願い…俺のことを…見捨てないで」
その時、オレはようやく気づいた。兄さんの目の下には、大きなクマができている。どこかやつれていて、悲壮感のようなものが漂っていた。
「お願い…俺は…お前のことを…お願いだ…チャユ」
オレは息を呑んだ。先程までの自信に溢れた声はどこへやら。同情を誘う声でオレを惑わせようったって…そうはいかない。
「チャユっ…お願い、俺のそばにずっといてくれ…っ…チャユのいない人生なんて考えられないっ、俺の光なんだっ!お願い、お願いっ、お願いお願いお願い!!」
誰だろう、この人は。兄さん、オレの兄さんは…いつも格好良くて、カッコイイ…
けれど本当は、もっと脆い人なのかもしれない。
「兄さん、オレと兄さんは…兄弟だよ。心はずっと…そばにいる」
オレが首を横に振ると、「っうっ…あっ、うぅ…いやっ嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だぁぁあ!!チャユとっ、チャユとひとつになりたいんだあぁぁぁっっ!!!」とオレの腰にみっともなくすがりつき、泣きじゃくりながら迫るその姿は、もはや誰だかわからなかった。
オレは身の危険を感じて逃げ出そうとした。けれど、「嫌だっ!チャユ、チャユっ!」と言うばかりでどうにも離れようとしない。そうやって騒いでいたら母さんが帰って来て、あっけなく幕は閉じた。
信じられなかった。信じたくもなかった。家族って何だろう、兄弟って何?
兄さんはオレのこと……弟とは思っていないのかな。
「いやだっ、や、やめてっ」
信じられない。兄さんがオレの…お、オレのものを…咥えているなんて。
オレが拒絶すればするほど、兄さんは侵食してくる。「ちゃゆ、だいぞうぶだから」熱い息、太い舌触り、湿っぽい手。全てがオレを奈落の底へと追いやるのだ。
「おまえだからやっへるんだ、おまえがだいじだから。おれのあいをうけとっへくれよ」
一方的な掛け違えた献身に、ただただ悲鳴を上げるばかりだった。貪欲な手がオレの中を掻き回し、弱いところを刺激する。
「ここだ…チャユが女の子になっちゃうところは。気持ちいいだろう?いっぱい触ってあげるからな…」
やがてプツンと、オレの中の張り詰めた糸が切れる音がした。
「いっ、いたいっ、気持ち悪いっ、兄さん抜いて!うっ…ひっく…もうやだ、やだよぉ!オレこのまま死んじゃいたい…っ」
兄さんは、「お前に死なれたら…俺はどうやって生きていけばいいんだ」と目を丸くする。オレは続けざまに言い返した。
「うるさいっ、オレのことが大事なら、どうしてオレの嫌がることをするんだっ!兄さんなんか大嫌いだ!」
「…チャユ」
呆然とした顔で見つめられ、一瞬時が止まったと思った。
オレ、というよりはオレの少し後ろの方を見つめているような。
じきによろよろと、兄さんは身体を起こしていく。魂が抜けたかのように呆けており、オレは崖から飛び降りたのに、服が小枝に引っかかった気分だった。
「にい、さん」
不安になって呼びかけてみた。けれど、反応はない。どうしようかと静かに心の中で奔走していると、静寂はむこうから打ち砕いてきた。
「チャユ…お願い…俺のことを…見捨てないで」
その時、オレはようやく気づいた。兄さんの目の下には、大きなクマができている。どこかやつれていて、悲壮感のようなものが漂っていた。
「お願い…俺は…お前のことを…お願いだ…チャユ」
オレは息を呑んだ。先程までの自信に溢れた声はどこへやら。同情を誘う声でオレを惑わせようったって…そうはいかない。
「チャユっ…お願い、俺のそばにずっといてくれ…っ…チャユのいない人生なんて考えられないっ、俺の光なんだっ!お願い、お願いっ、お願いお願いお願い!!」
誰だろう、この人は。兄さん、オレの兄さんは…いつも格好良くて、カッコイイ…
けれど本当は、もっと脆い人なのかもしれない。
「兄さん、オレと兄さんは…兄弟だよ。心はずっと…そばにいる」
オレが首を横に振ると、「っうっ…あっ、うぅ…いやっ嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だぁぁあ!!チャユとっ、チャユとひとつになりたいんだあぁぁぁっっ!!!」とオレの腰にみっともなくすがりつき、泣きじゃくりながら迫るその姿は、もはや誰だかわからなかった。
オレは身の危険を感じて逃げ出そうとした。けれど、「嫌だっ!チャユ、チャユっ!」と言うばかりでどうにも離れようとしない。そうやって騒いでいたら母さんが帰って来て、あっけなく幕は閉じた。
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