魔宮

やなぎ怜

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 間宮で抜いたのは、一時の気の迷いだ。あんな光景を目にしてしまったから、影響を受けてしまっただけだ。

 一宏はそう思い込もうとした。

 けれどもそんな気持ちとは対照的に、一宏の頭を支配するのは間宮を強姦するという、おぞましい妄想だった。

 妄想の中では女に無体を強いたことはある。けれどももちろん、現実にそのような恐ろしい犯罪に手を染める気など、一宏にはさらさらなかった。

 しかし、どういうことだろうか。間宮を見るたびに思うのは、いかにして彼を襲い、屈服させ、その穴を犯すか――ということであった。

 見たのはたった一度だけだが、間宮は兄との行為には非常に手慣れた様子だった。

 近親姦に手を染めるような人間なのだ、間宮は。

 もっとも手近な人間と性行為をするということは、それだけ性欲が強いのか、あるいは倫理観が一段低いのだ、きっと。

 だったら僕とだってセックスをしてくれるかもしれない。いや、むしろ喜んで受け入れてくれるかもしれない。

 そのような論理的とは言い難い考えが、一宏の頭に浮かんでは消える。

 間宮を犯したい。その穴を滅茶苦茶に犯してやりたい。

 襲いかかり、屈服させ、アナルにペニスを突き入れる。

 そのルーティーンに支配された妄想は、一宏の脳を侵食して行った。

「んっ……んぅっ……! あんっ! 市井くんのおちんぽ……きもちイイっ……」

 学校の個室トイレで、間宮は声を押し殺しながら腰を突き出し、しかし明白な嬌声を上げて腰を身悶えさせる。

 一宏は、膨らんだペニスを間宮のアナルでしごくように腰を動かす。さながらオナホールでも使っているかのように間宮を扱う。

 ペニスを引き出すと同時に間宮の肛門のひだがめくれ上がる。ひだはヒクヒクとわななき、ねっとりと腸液と先走り液で濡れていた。

 赤らんだ穴はぬちゃぬちゃと下品な水音を立てて、間宮と一宏がセックスしていることを雄弁に物語った。

「声出したらバレるよ?」

 声を荒げさせながら一宏は間宮の耳元でささやいた。

 同時に、勢いよく間宮の尻へと腰を打ちつける。パンッと肉と肉がぶつかる音がした。

「ああっ、いいよっ、バレてもっ……!」
「いいの? 優等生の間宮がケツの穴犯されて喜んでるなんて、みんなビックリするよ?」
「いいのっ、いいのぉ! 俺はケツ穴犯されて喜ぶ淫乱だからぁ!」

 間宮の直腸内がうごめいて、ぎゅっと一宏のペニスを抱きしめるように締まる。

 一宏は思わず「うっ」と声を漏らした。

「バレてもいいよ! だって市井くんのおちんぽが気持ちよすぎるんだもんっ! 俺のケツ穴にぴったりすぎるんだもんっ! 仕方ないよぉっ」
「へえ……それホント? だれにでも言ってるんじゃないの?」

 一宏はそう言って、間宮の白い尻を叩いた。

「ひぃんっ!」

 何度か叩けば、抜けるように白い間宮の肌は、すぐに赤く染まる。

 けれども間宮はそれを咎め立てるような言葉は吐かない。

 むしろその上気した顔は喜悦に歪んで、なによりそのアナルが喜びをあらわにするようにわなないて、一宏のペニスを食い締めた。

 間宮はすべすべとした背中をそらして、口の端からよだれをこぼしながら嬌声を上げ続ける。

「ちがうっ、ちがうよぉっ! 市井くんだけっ……市井くんのおちんぽが一番イイのぉっ……!」
「お兄さんよりもイイの? お兄さんにちんぽ突っ込まれてあんだけ喜んでたのに?」
「ああっ! イイの! 市井くんのがイイの! 兄さんのおちんぽなんてもう要らないからっ……俺を市井くんのおちんぽ専用アナルにしてっ……!」
「わかったよ、間宮! 今日から間宮のアナルは俺のちんぽ専用だから、もうお兄さんに貸しちゃダメだよ!」

 ズコズコとペニスを突き入れれば、間宮は女のように高い声で喘いだ。

 間宮の腰はくねくねと動いて、一宏によって与えられる快楽から逃れようと、無意識のうちに動いているようだった。

 けれどもそれを許す一宏ではない。

 間宮には一宏を覚えてもらわなければならないのだ。

 頭のてっぺんから爪先まで、一宏によって与えられる快楽で間宮を犯す。

 そうすることで初めて、間宮は一宏のものになったと言えるのだ。

「んあぁっ! 市井くんのおちんぽヨすぎるよおぉっ! 兄さんのおちんぽよりスゴイっ! もう兄さんなんていらないっ! 俺、市井くんのアナル奴隷になるっ!」

 その宣言と共に間宮はペニスの先端から精液を発射し、トイレの扉を汚した。

 それと同時に一宏のペニスを受け入れているアナルが、ぎゅぎゅうと締まる。

 元来であれば排泄器官であるそこは、女のヴァギナのように食い締まって、押し入ったペニスから精液を吐き出させようとするかのように、びくびくとうごめいた。

「間宮っ! 中に出すよ!」
「ああっ、出してっ! 俺のアナルを市井くんの精液でいっぱいにしてっ! 妊娠しちゃうくらい出してぇっ!」

 間宮は泣き叫ぶようにそう言って、尻を突き出し、一宏の腰と密着させた。

 一宏も間宮の腰を引き寄せて、ぐっとアナルの奥までペニスを突き入れる。

 ペニスがとろけてしまいそうに熱い間宮の中で、一宏は思う存分射精した。

 玉袋がびくびくと動いて、鈴口から精液が発射される。全身を駆け巡る快感と開放感、そして間宮を犯し、征服してやったという満足感に支配されながら、一宏は最後の一滴まで彼のアナルで射精し終えた。

「んぅっ……! 市井くんすごい……。熱い……。俺のアナルで射精してくれたんだね……」
「間宮のケツ穴、すごく良かったよ」
「本当に? うれしい……。それじゃあ市井くんのおちんぽ専用アナルにしてくれる?」
「ああ。今日から間宮は俺のアナル奴隷だ」
「じゃあ、これからいっぱい市井くんに犯されちゃうんだね、俺」
「そうだよ。間宮のアナルは僕専用になったんだから、これからは僕、オナニーしないで間宮のアナルに出すからね」
「ありがとう、市井くん……俺、淫乱だからすっごくうれしい。市井くんのアナル奴隷になれて幸せだよ。これから俺のアナル、いっぱい犯してね」

 そうして一宏は間宮とつながったままキスをした。

 間宮の薄い唇は柔らかく、温かい。そして、少しだけ湿っていた。

 今度はその口でフェラチオをしてもらうのもいいな、と一宏は思いながら、間宮とのキスを――妄想を、楽しんだ。

 一宏はあらゆる場で間宮を犯した。もちろん、妄想の中での話だ。

「恥ずかしいよ……市井くん」

 夕日に染まった空き教室で、恥ずかしがりながらも間宮は制服を脱ぎ捨てて行く。

 一宏がそうしろと命じたからだ。

 すでに一宏と肉体関係を持ち、アナル奴隷になると宣言した彼は、主人である一宏の命には逆らわない。

「もう僕とセックスした仲じゃないか。恥ずかしいことなんてないよ」

 一宏は少し離れた場所でイスに座り、机に腰掛ける全裸の間宮を見た。

 当然ながら女のような立派な乳房はないが、その乳首は桃色をしていて、思わず引っ張っていじめたくなる。

 優美な曲線を描く腰は、少々骨が浮き出ているのでつかみやすい、ということを一宏はすでに知っている。

「やだ……市井くん……やっぱり……」
「恥ずかしいことなんてないって、言ってるじゃないか、間宮。オナニーくらい間宮もするだろ?」
「するけど……」

 一宏に自慰を見せるよう命じられ、制服を脱いだ間宮だったが、恥ずかしげにうつむくばかりで行為には取りかからない。

 いらだった一宏は、勢いよくイスから立ち上がると、大股で間宮へと近づいた。

「い、市井くん……!」
「それとも、オカズがないと難しいか?」

 一宏は制服のスラックスに通されたベルトを緩める。

 そうしてからジーッとスラックスのチャックを下ろした。

 トランクスの前をかき分けてペニスを取り出すと、恥ずかしげに頬を染めながら目を丸くしている間宮に見せつける。

「ほら、これでオナれよ」
「そ、そんな……」
「間宮は男のちんぽでケツの穴を犯される妄想で抜くんだろ?」
「…………」

 間宮はぎゅっと唇を噛んで、恐る恐るといった手つきで自身のペニスへ手を伸ばす。

 そしてもう一方の手はアナルへと伸びて――そして、一宏の眼前で間宮はオナニーを始めた。

 一宏はどこでだって間宮を犯し、辱め、屈服させ、そのアナルに容赦なく射精した。

 学校の個室トイレは定番の場所で、そこでは間宮はいつだって一宏の精液便所に変わり、オナホールになった。

 空き教室では間宮を裸に剥き、他の生徒に目撃されるスリリングを味わいながら、彼を犯した。

 帰り道の公園でも一宏は間宮を犯した。木の幹に手をつかせ、下半身だけ露出させた間宮のアナルをペニスで突き上げる。アオカンという状況に間宮は恥ずかしそうにしながらも、しかし一宏には逆らわない。

 満員電車の中で、間宮のペニスをいじることもあった。必死に声をこらえながらも快楽に身をゆだねる間宮を見れば、一宏の支配欲は満足する。そして一宏の手で、間宮はみっともなく射精を迎えるのであった。

 そして間宮の家で、一宏は彼を犯した。あの間宮兄とセックスしていた部屋で間宮のアナルを犯し、射精する。すると間宮は涙を流しながらそれを喜び、一宏の奴隷宣言をするのだ。

 もちろん、それらはすべて妄想だった。

 単なる性欲をもてあました男子高校生の妄想に過ぎなかった。

 しかしその妄想は留まるところを知らず、際限なく膨れ上がり――そして、とうとう破裂した。

 一宏が間宮と間宮兄の性行為を目撃してから、一ヶ月半が経とうとしていたときのことだった。
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