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6話
しおりを挟む拓海の後孔へ含ませた三本の指を拡げる様にしながら、充分に準備が出来たと判断した祥は、最後の確認をした。
「はぁ……♡ はぁ♡ ぁあ……っ♡」
(祥のバカ、気付けよ。それは俺じゃない! 俺じゃないのに……っ)
拓海の身体だけど拓海ではない何かは、震える身体を支えてもらいながら祥の身体に跨る。
指が引き抜かれ、微かに入り口の綻んだ蜜壺へ、ちゅくん、と小さな音を立てながら祥の亀頭が少し嵌まってしまう。
(嫌だ、こんなの。俺は…俺は……っ!)
これから訪れるだろう快感への期待に微かに怯えを見せながらも、拓海の身体は我慢できずに再び己の陰茎を擦り始める。
自分ではないモノと祥が繋がる、その瞬間を見たくなくて、拓海は心の中で強く目を瞑った。
その時。
「……ごめんね。やっぱり初めては拓海と二人きりでしたいかな」
《 キィイャアァァアアアァーーーーッ!! 》
絹を裂くような叫び声が響き渡り、フッと身体の重くなるような感覚がした。
拓海はびくりと身体を大きく震わせると、そこで初めて自分が自由に身体を動かせることに気付き、驚きで目を見開く。
「ッえ……もどっ、た……?」
「うん、お帰り♡」
「んっ⁈ ッ!ぁ"あ"ぁぁッ~~~~♡♡♡」
―――ずっぷん…ッ!
「ひぁっ♡ な、なにぃッこれ、なんでッ♡ぁあっん!」
意識が戻った、と思ったその瞬間。
祥は待ってましたと言わんばかりに、僅かに含ませていた亀頭を一息に拓海の身体へと突き入れる。
これまで身体に蓄積されていた快感が一気に降りかかり、今までの人生で感じたことのない強い悦楽に突如全身を襲われた拓海はもちろん我慢できるはずもなく、握り締めていた自身の陰茎からどぷりっと精液を噴き出した。
「意識戻ってすぐイっちゃったね~♡ 気持ちいい?」
「ぃやだッ!とま、て……止まれ、よぉッ……♡♡」
「ダメだよ~。まだ霊の残滓が残ってるからね、しっかり除霊しておかないと」
「ぁぅッ! んっ♡ じょ、じょれ…?ッあーー、そこ、やだぁぁーーッ♡」
ズン、ズン、と下から突き上げられる腰が止まらない。
過ぎる快感が怖くて、その力強い腕から逃げようと身を捩るも祥が離してくれる筈もなく。より一層、深く強く突き上げられた拓海はイヤイヤと首を振りながらも、ただ気持ち良さそうな嬌声をその口から溢れさせるのだった。
「あー、やっぱ拓海はこうだよね。なんでも言うこと聞いてくれるのも可愛かったけど、イヤイヤ言ってるのに感じちゃう♡って恥じらってる方が、らしくてもっと可愛い~」
「ひぅッ♡ やぁぁ~~ちんこ、もぉ、さわんなぁ…ッ!」
「さっき一回イったけど、もうビンビンじゃん。お尻も乳首も、みぃんな同時に擦ってあげるから一緒にイこう、ね?」
「そ、な…♡ 無理ぃぃ~~~~~ッ♡♡」
暴れまわっていた祥の男根が奥深くまで含まされる。その衝撃で一瞬仰け反る身体を片手で支えながら、祥の唇が突き出された胸元の上で快感にピンッと尖った乳首を吸う。自らの陰茎を握ったまま動けなくなっていた拓海の両手は、もう一方の祥の手がその上から包み込むようにして一緒くたに動かされ、健気に勃ち上がる濡れた拓海自身を擦りたてた。
全ての箇所から与えられる、最上級の快感になす術もなく、声すら発することの出来ない拓海は目の前にある祥の頭を両手で抱きしめ、イった。
「~~~~~ッ♡♡♡」
「……ッは……う、…」
祥を受け入れている後孔も同じく、その熱杭をぎゅうぎゅうと食い締め、絞り出す。その媚肉が与える刺激に抗うことなく祥は最奥へと欲望を吐き出した。
そうして出された熱い精液が流れ込む感覚に、再びびくりと身体を揺らした拓海は、そこから徐々に引いていく快楽の波に強張っていた身体を緩めると、そのまま後ろへと倒れこんでしまった。
決して拓海が頭をぶつけたりすることのない様、その身体を支えていた祥はゆっくりと力の抜けた身体を横たえる。未だにやわやわと自身の肉棒の形を確かめるかのように蠕動する後孔の心地よさを堪能しながら、ほぼ意識のない拓海の頬を撫で上げた。
「あぁ……気持ち良さそうな顔。あんな痴女にとり憑かれて疲れたよね? もう大丈夫、ゆっくり寝ていいよ」
「…ん………♡」
痴女は言い過ぎだろ、と思った拓海ではあったが、そんな言葉を口に出すことすら出来ず、そのまま一気に訪れた眠気に負けて瞼を閉じたのだった。
◇◇◇
ちゅんちゅんと、小鳥の囀るような音が聞こえて意識が覚醒し始める。
俺、いつの間にかに寝ちゃってたのかな?
昨日の夜、風呂入ったっけなぁ。
えーっと、たしか、昨日は一週間ぶりの除霊の日で、一ノ宮の家に向かってて、祥の告白シーンを目撃しちゃって……
それで……
それで………―――
「ッ!」
「拓海、おはよう♡ 身体はどう?」
昨日の出来事が走馬灯のように頭を駆け巡り、一気に意識が覚醒する。
目が開くとそこは見慣れた一ノ宮の奥座敷で、布団に横たわる拓海の隣には幸せオーラ全開の祥が片肘を立てながら、拓海の顔を覗き込むような形で寝そべっていた。
「祥……! おま、なん、あん……ってぇ~~~!」
「わぁ、平気? やっぱ無理させ過ぎたかな」
お前、なんで、あんな事を……
と言いたかったのだが、怒りと恥ずかしさで拓海は言葉が出てこなかった。更には勢いよく上半身を起き上がらせた際に感じた、臀部のあらぬ痛みに、昨日のことが全て現実なのだと悟り、布団に顔を突っ伏す。
「なんで……あんな………ッ」
羞恥に顔を真っ赤に染めて、蚊の鳴くような声で問う拓海の背を撫でながら、祥がその質問の答えを返す。
「仕方なかったんだよ。拓海に憑いてたのは色情霊って言って、この世の未練が性や恋に対することにある霊なんだけど、大抵がその執念故に凄い力を持ってるんだよね。そのまま祓うにはかなりの力を使うし、とり憑かれてる人の負担が大きいんだ。少しでも安全に祓いたかったから、相手の未練を満たしながら力を削った。全部、拓海のためだよ?」
「お、俺のため……」
そっかー、じゃあ仕方ないヨネ! なんて割り切れるはずもなく。それでも祥が言うのならばそうなのかもしれない……と、霊媒体質ではあっても霊に関する知識は微塵も持ち合わせていない拓海は、今にも口から飛び出してきそうな文句の数々を必死に飲み込むしかないのだった。
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