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第4話: 忘却の呪いと過去の残響

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第4話: 忘却の呪いと過去の残響

リディアが魔物の最後の一撃を放った瞬間、黒いオーラが弾け飛び、呪いの木は静かに倒れた。村人たちは歓声を上げ、青年たちに感謝の言葉を送る。しかし、青年はその光景をぼんやりと見つめていた。彼の頭には、戦いの最中に見た奇妙なヴィジョンがこびりついて離れない。

「何か気になることでもあるの?」リディアが疲れた様子で言った。

「いや…ただ、俺が見た未来の映像が今まで以上に鮮明だったんだ。まるで、そこにいたかのように。」

青年は未来予知の力が増していることを感じていたが、その分、自分の過去がますます遠ざかっているような不安感に苛まれていた。何か重大なことを忘れているような感覚が、頭の奥でずっと響いていた。

「大丈夫?」ティリアが心配そうに彼に近づく。「忘却の呪いは、あなたの未来の能力を強化する代わりに、過去の記憶を奪っていく。もしかしたら、その副作用が強まっているのかもしれないわ。」

「そうかもな…でも、どこかで手がかりが掴めるかもしれない。」青年は拳を握りしめた。

村を去る決断

村人たちは彼らを祝福し、宿や食事を提供しようとしたが、青年たちは次の目的地に向けて早々に村を離れる決断をした。村で出会った謎の男の言葉が、どうしても頭から離れなかったのだ。

「君たちの力が必要になる時が来るだろう。近くの城で待っている。」

「あの男、何者だったんだろう?」リディアが呟く。「彼、ただの観察者じゃないはずよ。何かを知っているようだった。」

「彼が言っていた城に行ってみる価値はあるわ。」ティリアが慎重に言葉を選びながら言った。「その場所に、君の忘却の呪いの秘密が隠されているかもしれない。」

青年は頷き、3人は村を後にして、謎の城へ向かう旅路を始めた。

新たな仲間との出会い

彼らが険しい山道を進む中、突如として大きな音が響いた。道の先からは煙が立ち上り、焦げた匂いが漂ってくる。

「何が起きたんだ?」青年が警戒心を抱きながら先に進むと、そこには巨大な岩の破片と、傷だらけの女性冒険者が倒れていた。

「大丈夫か!?」青年が駆け寄ると、女性は力なく顔を上げた。

「助け…て…岩魔の群れが…」

女性は息も絶え絶えに状況を説明した。彼女は岩魔と呼ばれる魔物たちに襲われ、仲間が全滅してしまったという。彼女自身も何とか逃げ延びたものの、怪我のせいで身動きが取れなくなっていた。

「ティリア、治療を頼む!」青年は即座にティリアに助けを求めた。ティリアは女性に癒しの魔法をかけ、彼女の怪我を癒していく。

「ありがとう…助かったわ。」女性は息を整えながら、自己紹介をした。「私はアイリス、冒険者ギルドに所属している。君たち、本当に助かったわ…」

「君一人だけなのか?他の仲間は…?」リディアが尋ねた。

アイリスは沈痛な表情で首を横に振った。「みんな、やられてしまった…。でも、今は立ち止まっていられない。あの岩魔たちがこの先の町を襲う可能性があるの。放っておけない。」

青年たちは顔を見合わせ、すぐに決断した。「一緒に戦おう。俺たちもその町に向かう途中だ。君一人じゃ無理だろう?」

「ありがとう…でも、君たち、ただの冒険者じゃなさそうね。」アイリスは疑わしげに青年を見つめた。「未来が見える…そんな能力、普通じゃありえない。」

青年は少し驚いたが、何も言わずに先を急ぐことにした。

戦いの予兆

その夜、彼らは小さな山のふもとでキャンプを張った。火を囲みながら、アイリスは仲間を失ったことに対する悲しみを滲ませていたが、同時に復讐心も強く燃えているようだった。

「どうしても、あの岩魔を倒さないと。彼らの仇を討つんだ。」

青年は彼女の強い意志に感銘を受けたが、それと同時に、自分が見た未来の映像が頭をよぎった。岩魔との戦いで、何か重大な出来事が起こることを予感していたが、それが何なのかまでははっきりと分からない。

「俺が見た未来が間違っていなければ、次の戦いは厳しいものになる。気を引き締めないと…」

未来を見通せるにもかかわらず、自分に関することが全く分からないというジレンマに、青年は苦悩し続けていた。

「明日は、岩魔との決戦だ。全員で無事に帰ろう。」青年は覚悟を決め、次の戦いに備えるのだった。

次回予告
次回、第5話「岩魔の罠とアイリスの秘密」
アイリスが抱える秘密とは何なのか?岩魔との戦いで何が待ち受けているのか?そして、忘却の呪いがもたらすさらなる試練が明らかに…!

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