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閑話・ラビとウルの決意。
しおりを挟む『ふわぁ~、緊張したっス』
『無理ないよ、日頃滅多にお会いしない、幹部様が居並んでいらっしゃったのだから』
『っス』
『ふふふ、でもウル、似合ってるわよ、その調理服』
『ラビ姉もっス』
『ありがと』
『っス。それに、こんな綺麗な服を着たのは、初めてっス』
『ウル。この服、綺麗なだけじゃなくて、もの凄い防御力よ』
『こんなに軽くて、動きやすいのにっスか?』
『うん、物理攻撃にもだけど、何より魔法攻撃に対する耐性がケタ違い』
『お高いんスか?』
『ウルの尻尾が千切れちゃう位ね。それにしても、魔王様が直々に、この調理服をお持ちになって『マリさんのお手伝いをして下さい』と、仰られた時は、ビックリしたわ』
『……ウルは自信ついたっス』
『何? 自信って』
『魔王様にお認め頂いたっス』
『まあ、そういう事かな?』
『それに、マリ様のお料理の秘訣が、少し分かったっス』
『え!? 何よ秘訣って』
『マリ様は、もの凄く手際よくお料理をしているけど、決して難しい事をしている訳では無いっス』
『あ! 分かる、分かる。一つ一つの作業が、とても速くて、正確だけどね』
『それと、凄く大胆なんス。例えば、あの、思い出しただけでお腹が空いて来て、めまいがしそうになる肉を焼いている時に、普通どの程度焼けたか、ひっくり返して目で確認するのに、マリ様は置きっぱなしで、見もしなかったっス』
『うん、お魚を焼いている時もそうだったわね。「キョウギ」出し入れしながらも、お魚は見ていなかったわ。あれは、音と香りで判断しているのね』
『っス。ウルにもタイミングが分かったっス』
『かと思えば、繊細よね。あの、思い出しただけでヨダレが出て来て、倒れそうになるお野菜の「ピュレ」を作っている時は、片時も目を離さず、手を休めずに掻き混ぜて、丁寧に裏ごししていたし、あの盛り付けの美しさったら』
『っス。あの、とんでもない肉の正体は分からないし、野菜の料理も、あんなにきれいな盛り付けはできないにしても「ピュレ」だけなら「ガラガラ」さえあれば、ウルにも作れるっス。ラビ姉に作ってあげられるっス』
『……ウル』
『「ガラガラ」って、お高いっスかね? ラビ姉の耳が千切れちゃう位っスかね?』
『だね』
『ウルは「ニホンゴ」を覚えるっス!』
『どうしたの急に!?』
『マリ様に、もっと、もっと色々な事を教えてもらいたいっス』
『うん! そーだね。これからも、きっとマリ様のお手伝いをさせて頂く事があるよ!』
『ダメって言われても、するっス!』
『そーだ、そーだ!』
『あの、肉の為なら、ウルはどんなことでもするっス!』
『え~、そっち!?』
『っス』
『もう、ウルったら。ほら、マリ様のご挨拶があるから、小会議室に行くわよ!』
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