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34 夜会⑤☆
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カーテンを締め切った馬車の中、外からは音でしか状況が伝わってこない。
ニコラスは冷や汗を滲ませたまま、気力をふるって対策に乗り出した。
「ニコラスちょっと、何してるの? 大丈夫?」
何が起こるのか予想できない私は見守る以外できることはない。
彼が座席の下を手探りすると、カチッ……カチッと音が鳴る。
ニコラスが力を入れて座面を押し上げると、そこにはポッカリと暗闇が広がっていた。
人が入れるほどの空間。
まさかウチの馬車にこんな仕掛けがあるとは知らなかった。
「少しの間、ここで我慢してください」
「へ?」
「時間がありません。早く!」
「え? いや、あの、入るならニコラスでしょう? それで私が上手く誤魔化すんじゃないの?」
びっくりして聞くと、彼は困ったように微笑んだ。
「レティシアは嘘が下手ですから……」
「で、でも……ニコラスは?」
そのまま彼が乗ってたら、それこそ捕まってしまうのでは?
「もちろん入りますよ」
「へ? 一緒に?」
だって、ただでさえ魔香の影響に耐えるのは大変なのに、そんなことしたら、あとでニコラスが余計苦しくなるのに……。
「でも……」
「さぁ、早く!」
抵抗する暇なく私はニコラスに抱き抱えられ、膝の上に座ったまま横たわったような体勢で、座席下の空間に押し込められた。
「大人しくしていてください」
ニコラスはそのまま座面を閉じてしまう。
暗く狭い空間で、高くなったニコラスの体温と吐息、そしてこれも魔香の影響なのか、いつもより濃い彼の匂いに包まれた。
こうなったらもう見つからないように静かにしているしかない。
「止まれ!」
耳を押し当てたニコラスの胸板から速い鼓動が響く中、私は身を硬くした。
この馬車の順番がやってきたらしく、周囲が騒がしくなる。
複数の人が周りに居るのが分かり緊迫感が増していく。
「ハミルトン公爵家の馬車だな?」
「はい」
「どなたか乗っておられるのか?」
「いいえ」
御者は短く返事を返すが、騎士たちは訝しんでいるようだ。
急に消すのは不自然だったので、馬車の中はランプが灯ったままになっている。
疑うなというほうに無理がある。
「中を改めさせてもらいたい」
「……どうぞ」
扉が開く音がした。
人の声や外の音が近く聞こえる。
私を抱きしめるニコラスの腕に力がこもった。
「本当に誰も乗ってないのか?」
「あぁ。灯りが点いてるだけだ」
「……念のため探せ」
騎士たちは座面のクッションを退かしたり、座席の下を確かめたりしているが、開閉装置には気が付かない。
コンコン……コンコン……。
外にいる騎士が馬車を叩いて空洞を探しているようだ。
ノックは段々近づいて、ついに私の足元の壁も叩かれた。
少し高い音がしている。
もしかして気が付かれた?
驚いて声が出ないように必死な私は、思い切りニコラスに抱きついていたようで……。
お尻の下で厚い塊がドクンと脈打った。
騎士がすぐそこに居るから、ニコラスは段々息が荒くなるのを我慢しているようだ。
ドレス越しでもはっきり分かるほどいきり勃ったモノを感じて、私のあそこもキュンとする。
無意識に足をもじもじしていたのがニコラスに伝わってしまったようで、腰を動かしてお尻の割れ目に押し付けてきた。
「もしかして囮か?」
「でもこのままこの馬車を行かせる事はできないだろう」
「仕方ない。御者、こっちへ回せ」
「……はい」
やっぱりすんなり通してはくれないみたいだ。
これからどうなるんだろう。
私がアレコレ考えている間に、馬車は騎士団の詰め所脇に移動させられた。
しばらくはこのままここに居るしかない。
「……ニコラス、大丈夫?」
ささやくように問えば無言で頷く気配がした。
でも体は熱っていて、相変わらずニコラスは私のお尻に股間を押し付けたままだ。
ドレス越しだけど何度もなすり付けるようにされて、こちらまで変な気分になってくる。
あの魔香の効き目がどのくらいなのかは分からないが、通常の媚薬でも欲を出してしまわなければ辛い。
また、タチの悪い物であれば精神がおかしくなったり、高熱で子ができなくなることもあるという。
ニコラスを早く安全なところに連れて行き、欲を出してもらわないと……。
どうしたら良いだろうと考えていると、耳をカプリと咥えられた。
「ひゃっ……」
声を出したらダメなのに、そんなことしたらダメでしょう!
そう言いたいけど言えない。
睨んでみるが、暗がりで見えないから意味がなさそうだ。
「んっ……」
今度はうなじを舐められた。
押し付けられているモノがまた大きくなってピクピクと動いている。
きっとこんなにくっ付いているからニコラスの我慢が限界に近いのかもしれない。
さっきからニコラスの手が私の脇腹や胸を触ってきている。
カタンッ!
扉を開ける音でニコラスの手が止まり、私も息を殺した。
「もったいないから角灯は消しておこー。いやぁー、変な場所で待機とは困ったなぁー。それにしても騎士様はどこに行ったんだー?」
まるっきりの棒読みなので思わず笑いそうになった。
明らかに私たちに聞かせているのだろう。
「上手く躱せたみたいですね」
「ニコラス、体は大丈夫なの?」
「大丈夫の基準がどこか分かりませんね」
そう言って私の首すじをべろりと舐めた。
「あっ……。ダメ、声出ちゃ……」
全部言い終わらないうちに唇を奪われた。
早急に舌がねじ込まれ、上顎の弱いところをチロチロと刺激されると、ここ最近ニコラスに仕込まれたからなのか、下半身のほうが湿ってきた。
ここでこんな事してないで、早く逃げなくちゃいけないのに、分かってても今止めてなんて言えない。
「レティシア……」
懇願の色が混じる声音で呼ばれ、ニコラスが言いたいことが少しは分かる。
でも、ここはいつ騎士が戻ってくるかも分からないのに?
本当にここでするつもりなの?
耳に熱い息が吹きかけられ、耳殻を甘噛みされ、舌が中に侵入する。
「はぁぁ……」
くすぐったいような、ゾクゾクするような、そしてピチャピチャと鳴る音で自分の意思に反して濡れていく下半身。
声を殺すように手で押さえているけど、この暗く狭い空間でこんなふうに触れられると、視覚が無い分余計に感覚が研ぎ澄まされて、少しの刺激で過剰に反応してしまい、色んな意味で我慢が大変になる。
いつの間にかドレスが乱され、太ももにニコラスの手が触れた。
彼の息が荒くなり速い鼓動も感じられ、徐々に股間に迫る手に期待してしまう。
もう片方の手はドレスとコルセットの隙間から指が入ってきて、硬くなった先端をコリコリと摘んでいる。
そしてドロワーズの股をかき分け、いつになく性急に彼の指が秘部を弄った。
「こんなところですみませんが、一回だけお付き合いしてください」
その言葉と同時に、ニコラスの剛直が突き入れられた。
ニコラスは冷や汗を滲ませたまま、気力をふるって対策に乗り出した。
「ニコラスちょっと、何してるの? 大丈夫?」
何が起こるのか予想できない私は見守る以外できることはない。
彼が座席の下を手探りすると、カチッ……カチッと音が鳴る。
ニコラスが力を入れて座面を押し上げると、そこにはポッカリと暗闇が広がっていた。
人が入れるほどの空間。
まさかウチの馬車にこんな仕掛けがあるとは知らなかった。
「少しの間、ここで我慢してください」
「へ?」
「時間がありません。早く!」
「え? いや、あの、入るならニコラスでしょう? それで私が上手く誤魔化すんじゃないの?」
びっくりして聞くと、彼は困ったように微笑んだ。
「レティシアは嘘が下手ですから……」
「で、でも……ニコラスは?」
そのまま彼が乗ってたら、それこそ捕まってしまうのでは?
「もちろん入りますよ」
「へ? 一緒に?」
だって、ただでさえ魔香の影響に耐えるのは大変なのに、そんなことしたら、あとでニコラスが余計苦しくなるのに……。
「でも……」
「さぁ、早く!」
抵抗する暇なく私はニコラスに抱き抱えられ、膝の上に座ったまま横たわったような体勢で、座席下の空間に押し込められた。
「大人しくしていてください」
ニコラスはそのまま座面を閉じてしまう。
暗く狭い空間で、高くなったニコラスの体温と吐息、そしてこれも魔香の影響なのか、いつもより濃い彼の匂いに包まれた。
こうなったらもう見つからないように静かにしているしかない。
「止まれ!」
耳を押し当てたニコラスの胸板から速い鼓動が響く中、私は身を硬くした。
この馬車の順番がやってきたらしく、周囲が騒がしくなる。
複数の人が周りに居るのが分かり緊迫感が増していく。
「ハミルトン公爵家の馬車だな?」
「はい」
「どなたか乗っておられるのか?」
「いいえ」
御者は短く返事を返すが、騎士たちは訝しんでいるようだ。
急に消すのは不自然だったので、馬車の中はランプが灯ったままになっている。
疑うなというほうに無理がある。
「中を改めさせてもらいたい」
「……どうぞ」
扉が開く音がした。
人の声や外の音が近く聞こえる。
私を抱きしめるニコラスの腕に力がこもった。
「本当に誰も乗ってないのか?」
「あぁ。灯りが点いてるだけだ」
「……念のため探せ」
騎士たちは座面のクッションを退かしたり、座席の下を確かめたりしているが、開閉装置には気が付かない。
コンコン……コンコン……。
外にいる騎士が馬車を叩いて空洞を探しているようだ。
ノックは段々近づいて、ついに私の足元の壁も叩かれた。
少し高い音がしている。
もしかして気が付かれた?
驚いて声が出ないように必死な私は、思い切りニコラスに抱きついていたようで……。
お尻の下で厚い塊がドクンと脈打った。
騎士がすぐそこに居るから、ニコラスは段々息が荒くなるのを我慢しているようだ。
ドレス越しでもはっきり分かるほどいきり勃ったモノを感じて、私のあそこもキュンとする。
無意識に足をもじもじしていたのがニコラスに伝わってしまったようで、腰を動かしてお尻の割れ目に押し付けてきた。
「もしかして囮か?」
「でもこのままこの馬車を行かせる事はできないだろう」
「仕方ない。御者、こっちへ回せ」
「……はい」
やっぱりすんなり通してはくれないみたいだ。
これからどうなるんだろう。
私がアレコレ考えている間に、馬車は騎士団の詰め所脇に移動させられた。
しばらくはこのままここに居るしかない。
「……ニコラス、大丈夫?」
ささやくように問えば無言で頷く気配がした。
でも体は熱っていて、相変わらずニコラスは私のお尻に股間を押し付けたままだ。
ドレス越しだけど何度もなすり付けるようにされて、こちらまで変な気分になってくる。
あの魔香の効き目がどのくらいなのかは分からないが、通常の媚薬でも欲を出してしまわなければ辛い。
また、タチの悪い物であれば精神がおかしくなったり、高熱で子ができなくなることもあるという。
ニコラスを早く安全なところに連れて行き、欲を出してもらわないと……。
どうしたら良いだろうと考えていると、耳をカプリと咥えられた。
「ひゃっ……」
声を出したらダメなのに、そんなことしたらダメでしょう!
そう言いたいけど言えない。
睨んでみるが、暗がりで見えないから意味がなさそうだ。
「んっ……」
今度はうなじを舐められた。
押し付けられているモノがまた大きくなってピクピクと動いている。
きっとこんなにくっ付いているからニコラスの我慢が限界に近いのかもしれない。
さっきからニコラスの手が私の脇腹や胸を触ってきている。
カタンッ!
扉を開ける音でニコラスの手が止まり、私も息を殺した。
「もったいないから角灯は消しておこー。いやぁー、変な場所で待機とは困ったなぁー。それにしても騎士様はどこに行ったんだー?」
まるっきりの棒読みなので思わず笑いそうになった。
明らかに私たちに聞かせているのだろう。
「上手く躱せたみたいですね」
「ニコラス、体は大丈夫なの?」
「大丈夫の基準がどこか分かりませんね」
そう言って私の首すじをべろりと舐めた。
「あっ……。ダメ、声出ちゃ……」
全部言い終わらないうちに唇を奪われた。
早急に舌がねじ込まれ、上顎の弱いところをチロチロと刺激されると、ここ最近ニコラスに仕込まれたからなのか、下半身のほうが湿ってきた。
ここでこんな事してないで、早く逃げなくちゃいけないのに、分かってても今止めてなんて言えない。
「レティシア……」
懇願の色が混じる声音で呼ばれ、ニコラスが言いたいことが少しは分かる。
でも、ここはいつ騎士が戻ってくるかも分からないのに?
本当にここでするつもりなの?
耳に熱い息が吹きかけられ、耳殻を甘噛みされ、舌が中に侵入する。
「はぁぁ……」
くすぐったいような、ゾクゾクするような、そしてピチャピチャと鳴る音で自分の意思に反して濡れていく下半身。
声を殺すように手で押さえているけど、この暗く狭い空間でこんなふうに触れられると、視覚が無い分余計に感覚が研ぎ澄まされて、少しの刺激で過剰に反応してしまい、色んな意味で我慢が大変になる。
いつの間にかドレスが乱され、太ももにニコラスの手が触れた。
彼の息が荒くなり速い鼓動も感じられ、徐々に股間に迫る手に期待してしまう。
もう片方の手はドレスとコルセットの隙間から指が入ってきて、硬くなった先端をコリコリと摘んでいる。
そしてドロワーズの股をかき分け、いつになく性急に彼の指が秘部を弄った。
「こんなところですみませんが、一回だけお付き合いしてください」
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