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14 レティーとジョルジュ③☆

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 ジョルジュと子作りができると分かって、私は歓喜していた。


 これで彼の子が産めるかもしれない。



 その可能性が私に希望を与えていた。

 それともう一つ……。

 ニコラスとこれ以上関係を持たなくても良いという安堵あんどからだった。

 それは私がニコラスを嫌ってのことではない。
 むしろ、これ以上彼と行為を続けるのが怖かった。

 このままではきっと、私はジョルジュでは満足できない体になりそうで……。
 それが心底怖かったのだ。



 * * * * *



 だから次の日の午後、私はジョルジュに相談した。



「あの……ニコラスには、なんて言いましょう?」



 ジョルジュにそう問いかけると、彼は不思議そうな顔をする。

 

「ジョルジュの子が望めるのでしたら、ニコラスとはもう……そういうことは必要なくなるでしょう?」

「あぁ。子作りのことを言ってるのかい?」

「……そ、そうです」

「何も言わなくても良いよ」



 羞恥心と闘いつつ答えた私に、ジョルジュは優しくそう言った。

 ということは、私が言わなくてもジョルジュが話してくれるのだろうか?



「今までニコラスには迷惑をかけてしまって……申し訳なかったわ」

「迷惑? ……ではないと思うよ?」

「え?」

「それにこれからは、私よりニコラスと過ごすほうが遥かに多くなる……」



 ジョルジュの言ってることが理解できない。

 どういうことだろう?



「でもニコラスがレティーを気に入って本当に良かった。でなければ、私はレティーが心配で死んでも死に切れない」

「ジョルジュ?」

「ん?」

「それは……まだ先の話なのよね?」

「先って?」

「だから、何年かあとのこと……よね?」



 嫌な予感を無視して、私はジョルジュに縋りついた。

 彼は私の髪をでて安心させながら微笑ほほえむ。



「今更そんなこと言ったら、ニコラスが気の毒だよ」



 私は反射的に顔を上げた。

 どういうこと?



「ニコラスはもう、レティーを手放せなくなっている。私も今、アイツからキミを取り上げるようなことは、かわいそうでできないよ」

「そんな……だってあれは後継ぎが必要だからで……」

「一番はそうだね。だけどニコラスは、レティーの味を知ってしまったからね」



 私の味?
 何を言ってるの?



「レティーのココはね、特別なんだよ」



 ジョルジュの手がスルリとお尻をで、割れ目をなぞり、つぷっと指がアソコに侵入してきた。

 そのまま指で掻き回され、お腹の内側をこする。



「あぁ……なんで急に……あん……」



 驚いた。



 ジョルジュはずっと神殿の教えを守って、正しい交わり以外はしなかったから。

 神殿の教えでは、この行為は神聖な子作りの儀式であり、作法通りに女性と交わることになっている。

 でもそれでは女性に苦痛を与えてしまう。

 だから胸だけを愛撫して、できる限り女性の神聖な部分には触れずに潤わせる。

 それが神殿との暗黙の了解──許容範囲の限界だった。

 そのジョルジュが今、私のアソコに自ら触れ膣内なかに指まで入れている。



「気持ち良い? 私たちはね、このザラザラが気持ち良いんだ」



 そう言って今度は膣内なかの少し硬い部分を擦る。

 ジョルジュが『気持ちいい』と自分の口で言うなんて……。

 以前の彼からは考えられないことだ。

 初めて夫からそんなことを言われて、私は嬉しいと同時にアソコの奥のほうがムズムズして、瞬時にヌルヌルになって行くのが分かってしまった。
 恥ずかしい。



「ほら、もううねってきたよ。私の指をくわえて離さない」

「だって……そんなことろ触るから……」

「すごい締め付けだ。なのに私のモノが挿入はいってもキツ過ぎることはない。不思議だね」

「そんなの知らな……やん……あ、そこは……ダメ……」

「ダメ? そんなわけないだろう? ほら、イッてごらん?」



 気持ち良いところを散々こすられ、二本の指をバラバラに動かされ、陰核までイジられて……。

 ニコラスから初めて似たような行為をされたあと、ジョルジュにしてもらえたらもっと気持ち良いだろうと思っていた。

 それが今叶えられている……。

 気持ち良過ぎて……もう我慢なんてできない。



「あ……ジョルジュ……イッちゃう……ん゙……」



 頭の奥がしびれ、視界が真っ白になり、体が硬直して動けない。

 彼の与える刺激はまだ続いていて、これ以上されたら頭がおかしくなりそう……。

 限界と思ったところで、指がゆっくりと抜かれていった。

 それはそれで何だか寂しい。



「上手にイケたね」



 ジョルジュはベシャベシャになった二本の指を口元に持っていく。

 そして私に見せるように舐めながらニヤリと笑った。

 こんなこと、今までの彼はしたことがない。

 その美しくも淫靡いんびな姿にアソコがキュンとした。

 そして彼は、ぐったりとした私を抱き寄せ耳元でささやく。



「レティーの蜜は美味しいね」

「……何で……」

「以前の私は、愚かにも神殿の教えを守ることが最良だと思っていたんだよ。だけどね、こんな体になって気が付いた」



 うれい顔で寂しく微笑む彼が神々こうごうしく見える。



「残りの人生がこれほどに短いのだから、もう品行方正でなくても構わないのではないかとね。だって、神の教えは人生を豊かにするためのものだ。だったらもう私には意味がない」

「ジョルジュ……」

「私が誰よりも幸せになれるように精進してきたのは、自分の幸せというか……妻となったレティーと子どもたちが幸せになると思ったからだから……」



 そう言われると、未来が絶たれている彼にかける言葉はなかった。



「だからね、全部とは言わない。でも、レティーと愛し合うことに関しては、我慢はめようと思う。短い期間かもしれないけど、今までしてこなかったことも、しようと思うんだ」

「そうなんですね……」

「良いかな? 私だけじゃない、レティーと一緒にすることだからね。同意してくれると嬉しいんだが……」

「はい。ジョルジュの望みなら、私は構いません」



 もちろん私は即答していた。

 夫の最後の望みとも言える提案を、断るなんて選択肢はあり得ない。



「ありがとうレティー。嬉しいよ」



 ジョルジュに満面の笑みを向けられて、私も心から笑った。



「良かった。それなら明日にでもニコラスに話そう」



 ニコラスに話す?
 もう子作りは必要ないって?

 でもさっき、気の毒って言ってなかったかしら?
 あれはどういう意味だったの?



「レティーは『分かってない』って顔だね。でも私に同意してくれただけで十分だ。あとは私とニコラスが話すから」

「……? はい」



 そう言われるとそれ以上聞くことができず、もし気になるならまた今度聞くことにしようと口をつぐんだのだった。





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