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叔父様2

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邸内に入って、私とトーマはレオン様のもとへ向かった。

「レオン、お前嘘をついてるだろう。護衛長はいな……ん?どうしたんだ?その左頬。」
「これは、転んだんです。」

何事も無かったように笑ってトーマに言ってるけれど、唇が切れてるわ。受け身もとれずに転んでしまったのかしら。

「ああ、なるほど。」

何か解ったのか、トーマがミランダの方を見てニッコリ笑っている。ミランダも珍しく笑顔で応えているわ。レオン様が怪我をしてるのに、何故2人ともご機嫌なの…。

「レオン様、早く冷やした方がいいわ。放っておくと、凄く腫れてしまうから。」
「はい、お気遣いありがとうございます。」



ミランダにおもいっきり殴られて、ついさっきまで口から血を流していたレオンだった。

・・・・

レオンがルーナとトーマを東屋へ案内している間に、ミランダのイライラは頂点に達していた。

護衛である私が、何故邸にいなきゃいけないのよ…。

完璧に油断した。綺麗な応接室に内側から開かない鍵がついてるなんて、考えもしなかったわ。

地下牢や拷問部屋がいくつもある邸だし、これくらいは想定しておくべきだった。

ドアのすぐ横で壁に背をつけて待っていると、カチャカチャと鍵を開ける音がする。

足音がしなかった。
普通の使用人じゃない。まぁ、私をここに閉じ込めておいて、レオン以外が入ってくる訳がないわね。

バキッ

扉が開いて人が入ってきた瞬間、私はおもいっきり殴った。

「…っ…いたた…」
「レオン、私の拳をくらって倒れなかったのは褒めてあげるわ。」
「…それは嬉しいよ。」

細く見えても、やっぱり護衛長の息子でヘンリーの弟ね。この一家だけよ、私の拳をまともに受けて、立ってられるのは。

「2人は?」
「東屋にいるよ。」
「護衛長は?」
「いないよ。」

やっぱり…。

「何でミランダは俺にそんなに厳しいのさ。」
「あんたの態度が気に入らないからよ。寒い東屋に夫妻を連れて行って、風邪でもひいたらどうするのよ。しかも、2人を放置して帰ってくるなんて。」
「侯爵も馬鹿じゃないから、すぐに帰ってくるよ。俺に凄く腹を立ててるみたいだし。」
「当然でしょう。」
「2人を応援してるだけなのに、理不尽だよね。侯爵からは感謝されても良いくらいだよ。」

何をぬけぬけと…。

「あんたの行動は、全て自分の利益の為で、決して2人の為じゃないでしょ。」
「ミランダは何故2人を離縁させたいの?」
「ルーナには安全に生活して欲しいのよ。」
「安全な場所が侯爵の横なら、反対しないって事だよね。」
「もういい…、あんたと話してると疲れる。」

窓から外を覗くと、ルーナを抱えて歩いてくるトーマが見えた。

「何故あんなに密着してるの…?」
「さぁ…、俺の予想を遥かに上回ってきたよ。上着を貸すのが精一杯だと思ってたのに。」
「……」

心が弱ってる時に頼れる人を好きになりやすい…。それは解る。
今、ルーナとトーマにとってお互いがそれなんでしょうけど…、お互いが気付かないうちに離縁を確定させたい。

公爵は捕まっても、辺境伯は捕まっていない。私はそれが不安なのよ。
離縁を延期にする事になるなら、先に辺境伯が捕まって欲しかった。
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