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「そうだ、遅くなってしまったね。これ、ルーナが欲しいと言っていたものだよ。」
ランスロット様から渡されたのは綺麗な封筒。
「郵便で出そうと思ったんだが、今日来るなら直接渡した方がいいと思って。」
「ありがとうございます。」
これはきっと、私の謝罪リストだわ。お父様が誰と仲が良かったのか、その中で私が迷惑をかけたのは誰か、そのリストが遂に手に入ったわ。
「ルーナ、それは?」
「ううん、気にしないで。」
トーマに笑顔で返すと、少し厳しい目で見られた。
「アレン様と私、2人だけの秘密よ。」
絶対に知られちゃ駄目!
「ふふふ、ルーナは侯爵の前では大人しいね。」
「そうでしょうか。」
ランスロット様に解らないようにしているだけで、いつも結構な我が儘っぷりなのだけどね。
「侯爵はマンチェスター伯爵のご子息と仲が良かったね。」
「はい。友人です。」
「なら、彼にルーナの事を聞かなかったかい?」
「いえ、何も。」
マンチェスター伯爵は知ってるわ。よくお家に来てたもの。…あの人の子供にも何かしていたの?しかもトーマの友人!?
ランスロット様がクスクス笑っている。一体何をしたの、過去の私…。
「アレン様、その話は邸に帰ってから私がトーマに話します。」
「いや、ここで聞いて帰ろう。どうせ忘れているんだろう?」
忘れてると何故ばれるのかしら…。
「言ってもいいかな?」
「はい…」
それからマンチェスター伯爵子息に何をしたか、その他にも私がどんな子供時代を送っていたか、ランスロット様にかなり暴露されてしまったわ…。
もちろん、花瓶に雑草をぎゅうぎゅうに詰め込んだ事も、持って帰ると言ってきかなかった事もね。
帰りの馬車では、ミランダとトーマの笑いが止まらない。レオン様だけは、私の横暴ぶりを知っているから笑うまでは至っていないけど。
「そんなに笑う事じゃないよね。」
「ルーナに殴られた犠牲者が、俺の友人だとは思わなかった。」
「子供の頃の話よ。女の子と喧嘩をしていたから、護らないといけないと思ったのよ。」
「ルーナも女の子だから、護られる方だろ…。」
「いいじゃない。今はとても仲良し夫婦なのでしょう?怪我の功名よ。私は悪くないわ。……多分ね。」
ランスロット様曰く、その日から2人は仲良くなっていったらしいわ。私に殴られて怪我をした男の子を心配して、女の子が会いに行くようになったんだって。
お見舞いにいくほど、そんなに大怪我させてるはずないんだけど…。
「色々聞いたけど、アイリス様については何もでてこなかったな。」
「そうね。私は一体何をしてしまったのかしら。」
悪い事をした訳じゃないみたいだけど、だからこそ余計に思い出さないと。とても大切な思い出にしてくれてるみたいだし。
「レオン様は何か知らない?私とアイリス様が仲が良かった話とか。」
「いえ、私は何も。」
「そう…。」
辺境伯とシリウスの子を助けるために、カリオン公爵夫人の手を借りたいわ。絶対に思い出さないと…。
「何を考えて生きていたら、人を殴った事まで忘れられるのかしら…私…。」
「ヴィンスを殴った事も10年後には忘れてると思うぞ。」
「あれは忘れても構わないわ。だって、私は悪くないもの。」
ルーナが人を殴ってもすぐに忘れる理由が何となく解った気がする…と、トーマとミランダとレオンは思った。
ランスロット様から渡されたのは綺麗な封筒。
「郵便で出そうと思ったんだが、今日来るなら直接渡した方がいいと思って。」
「ありがとうございます。」
これはきっと、私の謝罪リストだわ。お父様が誰と仲が良かったのか、その中で私が迷惑をかけたのは誰か、そのリストが遂に手に入ったわ。
「ルーナ、それは?」
「ううん、気にしないで。」
トーマに笑顔で返すと、少し厳しい目で見られた。
「アレン様と私、2人だけの秘密よ。」
絶対に知られちゃ駄目!
「ふふふ、ルーナは侯爵の前では大人しいね。」
「そうでしょうか。」
ランスロット様に解らないようにしているだけで、いつも結構な我が儘っぷりなのだけどね。
「侯爵はマンチェスター伯爵のご子息と仲が良かったね。」
「はい。友人です。」
「なら、彼にルーナの事を聞かなかったかい?」
「いえ、何も。」
マンチェスター伯爵は知ってるわ。よくお家に来てたもの。…あの人の子供にも何かしていたの?しかもトーマの友人!?
ランスロット様がクスクス笑っている。一体何をしたの、過去の私…。
「アレン様、その話は邸に帰ってから私がトーマに話します。」
「いや、ここで聞いて帰ろう。どうせ忘れているんだろう?」
忘れてると何故ばれるのかしら…。
「言ってもいいかな?」
「はい…」
それからマンチェスター伯爵子息に何をしたか、その他にも私がどんな子供時代を送っていたか、ランスロット様にかなり暴露されてしまったわ…。
もちろん、花瓶に雑草をぎゅうぎゅうに詰め込んだ事も、持って帰ると言ってきかなかった事もね。
帰りの馬車では、ミランダとトーマの笑いが止まらない。レオン様だけは、私の横暴ぶりを知っているから笑うまでは至っていないけど。
「そんなに笑う事じゃないよね。」
「ルーナに殴られた犠牲者が、俺の友人だとは思わなかった。」
「子供の頃の話よ。女の子と喧嘩をしていたから、護らないといけないと思ったのよ。」
「ルーナも女の子だから、護られる方だろ…。」
「いいじゃない。今はとても仲良し夫婦なのでしょう?怪我の功名よ。私は悪くないわ。……多分ね。」
ランスロット様曰く、その日から2人は仲良くなっていったらしいわ。私に殴られて怪我をした男の子を心配して、女の子が会いに行くようになったんだって。
お見舞いにいくほど、そんなに大怪我させてるはずないんだけど…。
「色々聞いたけど、アイリス様については何もでてこなかったな。」
「そうね。私は一体何をしてしまったのかしら。」
悪い事をした訳じゃないみたいだけど、だからこそ余計に思い出さないと。とても大切な思い出にしてくれてるみたいだし。
「レオン様は何か知らない?私とアイリス様が仲が良かった話とか。」
「いえ、私は何も。」
「そう…。」
辺境伯とシリウスの子を助けるために、カリオン公爵夫人の手を借りたいわ。絶対に思い出さないと…。
「何を考えて生きていたら、人を殴った事まで忘れられるのかしら…私…。」
「ヴィンスを殴った事も10年後には忘れてると思うぞ。」
「あれは忘れても構わないわ。だって、私は悪くないもの。」
ルーナが人を殴ってもすぐに忘れる理由が何となく解った気がする…と、トーマとミランダとレオンは思った。
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