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お茶の出ないお茶会
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「シリウス様、それを私だけに教えてくださるのは何故でしょうか?」
「アレン様は気難しい方だから、誰の言う事でも信じるわけじゃない。だが、親しい人からなら信じてもらえると思って。」
答えになってないわよ。
「そうではなく、夫の同席を是としなかった理由を聞かせていただきたいわ。問題解決が1番だと考えているなら、この状況はありえません。」
「もし情報が洩れたら困るからね。」
私がトーマに話すって誰でも解るのに、何がしたいのかしら。
「アレン様が狙われてると、陛下はご存知なのですか?」
「陛下に言うような事ではないさ。彼は貴族ではないから。」
アレン様の命が危険なのに、陛下に報告しなくていい…、そんなわけないでしょ。彼がいなければ大幅に国益が減るんだから。
警戒したほうがいいかもしれないわ。この男がすごく頭の切れる男なら、馬鹿な振りをしている可能性はあるもの。こちらが勢いで失言するのを待ってるかもしれない。
「アレン様を助ける方法を提案しようと思って、今日は君を呼んだんだよ。」
「私に提案する前に、すぐにでも公爵が実行するべきなのではありませんか?」
「公爵家が動くよりも確実な方法をとりたいんだ。」
「確実な方法?」
「君が『辺境伯に襲われた』と正直に言えばいい。」
「……」
ここで、その話に繋げるのね。本当に親子揃って稚拙な考えだわ。
ランスロット様を守るなら辺境伯を拘束するのが1番簡単だとは思うけど、その拘束の理由を『ラッセン侯爵夫人殺人未遂』という名目にしたいだけじゃない。
既にトーマの両親が殺されていて、それを隠しているのはこの人達なのに、何が目的で『ルーナ・ラッセンが殺されそうになった』という証言がほしいのか、そこが解らない。
「辺境伯に罪を着せて、何がしたいのですか?」
「アレン様を助けたいだけだよ。」
「たとえそうだとしても、嘘はつけませんので他の方法でお願いします。」
そこまで話終えて、今まで黙っていた夫人が話しかけてきた。
「ルーナ・ラッセン……」
「はい。」
何だか表情が普通じゃない。機嫌が悪そうだとは思っていたけれど、雰囲気がおかしいわ。
「『殺されそうになった』…貴女はそう言うだけでいいのよ。」
『嘘はつけない』と言おうとする前に、突然耳元でパチンッと音が聞こえた。
「さっさと言いなさいっ!!この馬鹿女!!」
左頬が熱い…、少し痛い。まさか、オバサンに殴られるなんて思わなかったわ。
「公爵夫人、ここで行われた事なら外に洩れないと思っての行動なのであれば、それはお互い様ですので、気を付けてくださいね。」
・・・・
ルーナと別れたミランダは、用意していた公爵邸のメイドの服に着替え、拳銃とナイフを足に巻いて隠した。
「はぁ…、いくらなんでも無茶苦茶だわ。」
ルーナが夫人に捕まりそうなら、殺してもいいから脱出しろ…って。私を何だと思ってるの。
トーマ・ラッセン、本当に後から来るんでしょうね…。
「アレン様は気難しい方だから、誰の言う事でも信じるわけじゃない。だが、親しい人からなら信じてもらえると思って。」
答えになってないわよ。
「そうではなく、夫の同席を是としなかった理由を聞かせていただきたいわ。問題解決が1番だと考えているなら、この状況はありえません。」
「もし情報が洩れたら困るからね。」
私がトーマに話すって誰でも解るのに、何がしたいのかしら。
「アレン様が狙われてると、陛下はご存知なのですか?」
「陛下に言うような事ではないさ。彼は貴族ではないから。」
アレン様の命が危険なのに、陛下に報告しなくていい…、そんなわけないでしょ。彼がいなければ大幅に国益が減るんだから。
警戒したほうがいいかもしれないわ。この男がすごく頭の切れる男なら、馬鹿な振りをしている可能性はあるもの。こちらが勢いで失言するのを待ってるかもしれない。
「アレン様を助ける方法を提案しようと思って、今日は君を呼んだんだよ。」
「私に提案する前に、すぐにでも公爵が実行するべきなのではありませんか?」
「公爵家が動くよりも確実な方法をとりたいんだ。」
「確実な方法?」
「君が『辺境伯に襲われた』と正直に言えばいい。」
「……」
ここで、その話に繋げるのね。本当に親子揃って稚拙な考えだわ。
ランスロット様を守るなら辺境伯を拘束するのが1番簡単だとは思うけど、その拘束の理由を『ラッセン侯爵夫人殺人未遂』という名目にしたいだけじゃない。
既にトーマの両親が殺されていて、それを隠しているのはこの人達なのに、何が目的で『ルーナ・ラッセンが殺されそうになった』という証言がほしいのか、そこが解らない。
「辺境伯に罪を着せて、何がしたいのですか?」
「アレン様を助けたいだけだよ。」
「たとえそうだとしても、嘘はつけませんので他の方法でお願いします。」
そこまで話終えて、今まで黙っていた夫人が話しかけてきた。
「ルーナ・ラッセン……」
「はい。」
何だか表情が普通じゃない。機嫌が悪そうだとは思っていたけれど、雰囲気がおかしいわ。
「『殺されそうになった』…貴女はそう言うだけでいいのよ。」
『嘘はつけない』と言おうとする前に、突然耳元でパチンッと音が聞こえた。
「さっさと言いなさいっ!!この馬鹿女!!」
左頬が熱い…、少し痛い。まさか、オバサンに殴られるなんて思わなかったわ。
「公爵夫人、ここで行われた事なら外に洩れないと思っての行動なのであれば、それはお互い様ですので、気を付けてくださいね。」
・・・・
ルーナと別れたミランダは、用意していた公爵邸のメイドの服に着替え、拳銃とナイフを足に巻いて隠した。
「はぁ…、いくらなんでも無茶苦茶だわ。」
ルーナが夫人に捕まりそうなら、殺してもいいから脱出しろ…って。私を何だと思ってるの。
トーマ・ラッセン、本当に後から来るんでしょうね…。
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