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わがまま娘3
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トーマと私は、エミリーの部屋へ向かっている。
「ここに残るなんて意外ね。一緒に帰ると思ってたわ。」
「…イーサンが呼んでるんだろう?それに、さっきはエミリーにも殆んど会えなかったから。」
「いつもイーサンはトーマが来るの楽しみにしてるから、本邸に帰ったら休む暇なく『遊ぼう』攻撃が始まるわよ。ミランダの甥っ子は私が寝ててもお構い無しだったから。」
「でも、楽しかった?」
「ええ。もうす…ぐ…貴方にもわかるわよ。」
何をペラペラ喋ってるのかしら。トーマが興味を持つはずないのに。
「ルーナ、大丈夫か?」
「何故?」
「顔色がよくないように見える」
「貴方が私を心配するなんて、明日は雪ね。」
「……」
たしかに頭が痛いわ。でも、ミランダの農園から帰ってからは、よくある事だしね。
エミリーの部屋の前でイーサンがトーマを待っていた。
「トーマオジサンっ!!」
「イーサン、いい子にしてたか?」
「オレはいつもいい子だぞ!」
「そうか。」
イーサンといる時のトーマは優しい。子供に優しい事は良い事だし、エミリーの事も大切にするだろうから安心だわ。
ソファーに深く座って2人の事を見ていると、とても眠くなってきた…。
「……」
「ルーナ、ルーナ…?」
ミランダに呼ばれてるけど、眠くて返事が出来なかった。
・・・・
ルーナの額に手を当ててミランダが俺に言った。
「トーマ様、ルーナは熱があるようなので、ベッドに連れていきます。」
「ルーナ、風邪か?」
「おそらく過度のストレスでしょう。医師ではないので言い切れませんが、今日までとくに風邪の症状は見られませんでしたので。」
「そうか…。ミランダ、ルーナは俺が連れていく。」
「…お願いします。」
ミランダが意外そうな顔でルーナを俺に渡した。まぁ、そうなるのは当たり前だが。
抱えて部屋まで行き、ベッドに寝かせる。
「はぁ…」
俺は何をしてるんだ…。
・・・・
目を覚ますとベッドで寝ていた。部屋は暗くて窓からの月明かりだけ。
ミランダが運んでくれたのね。
「…ん?」
ふと横を見るとトーマがいた。
「…っ何をしてるの?」
「看病…」
「看病って、眠かっただけよ。今何時なの……?」
「夜中1時30分頃だな」
「夜中って、トーマ何してるのっ!帰らないとっ!!」
「明日は邸で書類に目を通すだけだ。問題ない。」
問題なければいいんだけど。
「今日、ここに来たのは話があるからでもある。」
「何?」
「子育ての給金だがいくら欲しい?」
私に聞いて、メチャクチャな金額を吹っ掛けられたらどうするつもりかしら。
そんな事をするつもりはないけど、相場がわからないわ…。
「1日100コンタ(1万円)。どう?出せる?」
「……」
「何を呆気にとられてるの?高いの?」
「いや…それだけでいいのか?」
「それだけ…」
もっと貰える物なの?働いた事のない世間知らずに聞かれても困るわ。
「…後は借金の分と差し引きよ。」
「なるほど。」
「まってっ!王都に邸を持ってる…よね?」
「ああ。」
「給金とは別でそれを半月ほど貸してくれない。」
シュート君の旅費には給金で足りる。往復も出来るし買い物だって出来る。けど宿泊費の事を考えていなかったわ。シュート君と私とミランダ、計3人分必要なの。いくらなんでも無理だわ。
「わかった。いつでも言えばいい。じゃあ、俺は1度部屋に戻る。」
「え…?言いたい事って、もしかして給金の事だけだったの?」
「ああ。」
もっと重大な何かかと思った…。
「ここに残るなんて意外ね。一緒に帰ると思ってたわ。」
「…イーサンが呼んでるんだろう?それに、さっきはエミリーにも殆んど会えなかったから。」
「いつもイーサンはトーマが来るの楽しみにしてるから、本邸に帰ったら休む暇なく『遊ぼう』攻撃が始まるわよ。ミランダの甥っ子は私が寝ててもお構い無しだったから。」
「でも、楽しかった?」
「ええ。もうす…ぐ…貴方にもわかるわよ。」
何をペラペラ喋ってるのかしら。トーマが興味を持つはずないのに。
「ルーナ、大丈夫か?」
「何故?」
「顔色がよくないように見える」
「貴方が私を心配するなんて、明日は雪ね。」
「……」
たしかに頭が痛いわ。でも、ミランダの農園から帰ってからは、よくある事だしね。
エミリーの部屋の前でイーサンがトーマを待っていた。
「トーマオジサンっ!!」
「イーサン、いい子にしてたか?」
「オレはいつもいい子だぞ!」
「そうか。」
イーサンといる時のトーマは優しい。子供に優しい事は良い事だし、エミリーの事も大切にするだろうから安心だわ。
ソファーに深く座って2人の事を見ていると、とても眠くなってきた…。
「……」
「ルーナ、ルーナ…?」
ミランダに呼ばれてるけど、眠くて返事が出来なかった。
・・・・
ルーナの額に手を当ててミランダが俺に言った。
「トーマ様、ルーナは熱があるようなので、ベッドに連れていきます。」
「ルーナ、風邪か?」
「おそらく過度のストレスでしょう。医師ではないので言い切れませんが、今日までとくに風邪の症状は見られませんでしたので。」
「そうか…。ミランダ、ルーナは俺が連れていく。」
「…お願いします。」
ミランダが意外そうな顔でルーナを俺に渡した。まぁ、そうなるのは当たり前だが。
抱えて部屋まで行き、ベッドに寝かせる。
「はぁ…」
俺は何をしてるんだ…。
・・・・
目を覚ますとベッドで寝ていた。部屋は暗くて窓からの月明かりだけ。
ミランダが運んでくれたのね。
「…ん?」
ふと横を見るとトーマがいた。
「…っ何をしてるの?」
「看病…」
「看病って、眠かっただけよ。今何時なの……?」
「夜中1時30分頃だな」
「夜中って、トーマ何してるのっ!帰らないとっ!!」
「明日は邸で書類に目を通すだけだ。問題ない。」
問題なければいいんだけど。
「今日、ここに来たのは話があるからでもある。」
「何?」
「子育ての給金だがいくら欲しい?」
私に聞いて、メチャクチャな金額を吹っ掛けられたらどうするつもりかしら。
そんな事をするつもりはないけど、相場がわからないわ…。
「1日100コンタ(1万円)。どう?出せる?」
「……」
「何を呆気にとられてるの?高いの?」
「いや…それだけでいいのか?」
「それだけ…」
もっと貰える物なの?働いた事のない世間知らずに聞かれても困るわ。
「…後は借金の分と差し引きよ。」
「なるほど。」
「まってっ!王都に邸を持ってる…よね?」
「ああ。」
「給金とは別でそれを半月ほど貸してくれない。」
シュート君の旅費には給金で足りる。往復も出来るし買い物だって出来る。けど宿泊費の事を考えていなかったわ。シュート君と私とミランダ、計3人分必要なの。いくらなんでも無理だわ。
「わかった。いつでも言えばいい。じゃあ、俺は1度部屋に戻る。」
「え…?言いたい事って、もしかして給金の事だけだったの?」
「ああ。」
もっと重大な何かかと思った…。
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