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本編後ストーリー
予想通り
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馬車が何故か止まった。
窓を覗くとレオンが馬を降りて、俺に報告に来た。
「陛下。クレストル商会の者が至急お伝えしたい事があるとの事ですが、どうなさいますか?」
クレストル…ステーシーの店の者か…。至急伝えたいって……、良い報告だとは思えない。
「わかった。連れてきてくれ」
「畏まりました」
俺の横でクリフがぐったりしている。
「……もう最悪な事態が起きてるな…これは」
「クリフ、その通りだとしても、話を聞くまでは希望を持たせてくれ」
「俺はお前よりもそう思っている……」
「そうだな…」
下手をすると、視察どころではなくなるぞ…。
店主の話を聞いて、俺は唖然とした。
「コアにニーナがいる?」
「はい。しかも、良からぬ事を仕出かしそうで。私に『大至急クール様に手紙を…。居場所はクール様にだけ伝えて』と仰られまして。共も連れずにコアに来てる事が既におかしいと思い、伝達して帰る途中に陛下がこの辺りを通っていると聞いてやって来たのです」
「良からぬ事…とは?」
「ヤング侯爵の事を調べてます。どんな男なのか…と」
「侯爵の?」
「ええ、陛下には伝わっていないかもしれませんが、コアでは悪評しかありません。それをわざわざ私共の店まで聞きに来るなんて、普通はしません」
「最近、コアで揉め事や諍いは?」
「最近…というか、少し前にもあった事ですが、『裏側の街』の問題だと思われます。」
「裏側の街?」
「はい、私が調べましたところ、コアの先住民を脅したり騙したりして土地から追いやって、街の裏側に住まわせている…とか。私も裏側へは行った事はありません。住民の恨みは酷く、恐ろしくて誰も近寄りませんので」
「…そこに俺の婚約者は首を突っ込んでる…と、そう言いたいのか?」
「…あくまでも予想出来る1つだと、陛下には頭の隅に入れて貰いたいのです。もし本当にそうだった場合、裏側の街の事を知らずにヤング侯爵の言う事を鵜呑みにすれば危険でございますので」
「『裏側の街』とは何だ?」
「ヤング侯爵が、立ち退かせた土地に住んでいた者を追いやる場所で、『裏側の街』『街の裏側』いわゆるコアの貧困街だと考えてください。ヤング侯爵の手でつくられたも同然の闇です」
窓を覗くとレオンが馬を降りて、俺に報告に来た。
「陛下。クレストル商会の者が至急お伝えしたい事があるとの事ですが、どうなさいますか?」
クレストル…ステーシーの店の者か…。至急伝えたいって……、良い報告だとは思えない。
「わかった。連れてきてくれ」
「畏まりました」
俺の横でクリフがぐったりしている。
「……もう最悪な事態が起きてるな…これは」
「クリフ、その通りだとしても、話を聞くまでは希望を持たせてくれ」
「俺はお前よりもそう思っている……」
「そうだな…」
下手をすると、視察どころではなくなるぞ…。
店主の話を聞いて、俺は唖然とした。
「コアにニーナがいる?」
「はい。しかも、良からぬ事を仕出かしそうで。私に『大至急クール様に手紙を…。居場所はクール様にだけ伝えて』と仰られまして。共も連れずにコアに来てる事が既におかしいと思い、伝達して帰る途中に陛下がこの辺りを通っていると聞いてやって来たのです」
「良からぬ事…とは?」
「ヤング侯爵の事を調べてます。どんな男なのか…と」
「侯爵の?」
「ええ、陛下には伝わっていないかもしれませんが、コアでは悪評しかありません。それをわざわざ私共の店まで聞きに来るなんて、普通はしません」
「最近、コアで揉め事や諍いは?」
「最近…というか、少し前にもあった事ですが、『裏側の街』の問題だと思われます。」
「裏側の街?」
「はい、私が調べましたところ、コアの先住民を脅したり騙したりして土地から追いやって、街の裏側に住まわせている…とか。私も裏側へは行った事はありません。住民の恨みは酷く、恐ろしくて誰も近寄りませんので」
「…そこに俺の婚約者は首を突っ込んでる…と、そう言いたいのか?」
「…あくまでも予想出来る1つだと、陛下には頭の隅に入れて貰いたいのです。もし本当にそうだった場合、裏側の街の事を知らずにヤング侯爵の言う事を鵜呑みにすれば危険でございますので」
「『裏側の街』とは何だ?」
「ヤング侯爵が、立ち退かせた土地に住んでいた者を追いやる場所で、『裏側の街』『街の裏側』いわゆるコアの貧困街だと考えてください。ヤング侯爵の手でつくられたも同然の闇です」
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