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本編後ストーリー
シロブ語対決2
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次の日
朝8時、私達はラクロスの家へ向かっている。
「ニューコア街3ー15ね…」
ラクロスの住むニューコアは、富裕層が住んでると一目でわかる街だわ。大きな邸ばかりだもの。ここにラクロスが住めるのは、黒いお金が流れてるとしか考えられないよね。
シスターが連れてきたのはガッチリした体格の強面の男性2人。最高の人選よ。そして、シスターの格好をした私と私服のシスター。ニューコア街3丁目には似つかわしくない4人でラクロスの邸に乗り込むわ。
コンコン
「すみませーん」
出てくるかしら…。
ガチャ
「どなた…あぁ、シスター。何かご用意でしょうか?」
ドアを開けて出てきたのは、身形からしておそらく使用人ね。
「この家の旦那様はいらっしゃる?少しお話があるのだけれど」
「今…お客様がいらっしゃるので」
…この人、急に焦りだしてる。きっと嘘をついてるんだわ。
「ふふ、至急の用だとお伝え頂けますか?人を騙すのは良くありませんよ」
「…お待ち下さい」
そういって、すんなりラクロスに伝えに行ってくれた。
シスター効果抜群だわ。信心深い人は『女神の遣いに嘘を付きたくない』ってね。
しばらくすると私達を邸に通してくれた。けど、シスターの格好をした私だけしか座らせてはくれなかった。これは、お客様への対応ではないわね。
「シスター、今日はどのようなご用でしょうか?」
「少しお伺いしたい事が、構わないかしら」
「ええ、何でしょうか」
「その前に、今から話す事に嘘偽りはない…と、女神に誓いを」
「……解りました」
「ありがとう」
本当の事を言うつもりは無いでしょうけど、罪悪感だけは植え付けられるわね。
「で、なんの話でしょうか」
「まず、ここの住所は既に裏側の街に伝えてあります。シロブ語の通訳をした男の家だ…と」
「…っ!?」
「…どういう事です?シスター、裏側の街と私達に何の関係があるというの?」
同席していたラクロス夫人の質問は最もだわ。
「それは今から聞けますよ。ねぇ、ラクロス様」
「メリンダ、この部屋から出ていてくれ。後から話す」
「…わかりました」
夫人は不安そうな顔をして、部屋からでていった。
「シスター、貴方が連れてる3人も退室願いたい」
せめてシスターには同席して欲しかったけど、無理を通すと面倒だよね。
「わかりました」
私はシロブ語を使わず、身ぶり手振りで退室願った。
「それで何でしょうか」
「裏側の街に住む人にお聞きしました。ヤング侯爵の土地の売買で、シロブ語の通訳をしたのは貴方だとか。間違いはありませんか?」
「はい」
「そうですか。では、その内容を教えて頂けますか?」
「それはヤング侯爵にご確認を」
「貴方の口からは聞けないのかしら」
「私は言われた通り話しただけです。それに守秘義務がある」
そのヤングに言われた事を話してほしいのだけど…。
ヤングの事は怖いでしょうし、この生活は手放したくないから、知らぬ存ぜぬで通すわよね。
「私は街に言ってみたのですが、貴方の説明と対応は一致してないと怒っていました」
「シスターが街へ?そんな事があるはずない。しかも、街の誰に聞いたというのですか?」
『今、ここにいた3人です。3人とも裏側の街の住人ですから。』
「っ!?」
言葉の壁はラクロスにとって1番の強み。それを崩したわ。
『女神は皆に平等です。だから私が来たのです』
ラクロスの防壁は後何枚あるかしら。
朝8時、私達はラクロスの家へ向かっている。
「ニューコア街3ー15ね…」
ラクロスの住むニューコアは、富裕層が住んでると一目でわかる街だわ。大きな邸ばかりだもの。ここにラクロスが住めるのは、黒いお金が流れてるとしか考えられないよね。
シスターが連れてきたのはガッチリした体格の強面の男性2人。最高の人選よ。そして、シスターの格好をした私と私服のシスター。ニューコア街3丁目には似つかわしくない4人でラクロスの邸に乗り込むわ。
コンコン
「すみませーん」
出てくるかしら…。
ガチャ
「どなた…あぁ、シスター。何かご用意でしょうか?」
ドアを開けて出てきたのは、身形からしておそらく使用人ね。
「この家の旦那様はいらっしゃる?少しお話があるのだけれど」
「今…お客様がいらっしゃるので」
…この人、急に焦りだしてる。きっと嘘をついてるんだわ。
「ふふ、至急の用だとお伝え頂けますか?人を騙すのは良くありませんよ」
「…お待ち下さい」
そういって、すんなりラクロスに伝えに行ってくれた。
シスター効果抜群だわ。信心深い人は『女神の遣いに嘘を付きたくない』ってね。
しばらくすると私達を邸に通してくれた。けど、シスターの格好をした私だけしか座らせてはくれなかった。これは、お客様への対応ではないわね。
「シスター、今日はどのようなご用でしょうか?」
「少しお伺いしたい事が、構わないかしら」
「ええ、何でしょうか」
「その前に、今から話す事に嘘偽りはない…と、女神に誓いを」
「……解りました」
「ありがとう」
本当の事を言うつもりは無いでしょうけど、罪悪感だけは植え付けられるわね。
「で、なんの話でしょうか」
「まず、ここの住所は既に裏側の街に伝えてあります。シロブ語の通訳をした男の家だ…と」
「…っ!?」
「…どういう事です?シスター、裏側の街と私達に何の関係があるというの?」
同席していたラクロス夫人の質問は最もだわ。
「それは今から聞けますよ。ねぇ、ラクロス様」
「メリンダ、この部屋から出ていてくれ。後から話す」
「…わかりました」
夫人は不安そうな顔をして、部屋からでていった。
「シスター、貴方が連れてる3人も退室願いたい」
せめてシスターには同席して欲しかったけど、無理を通すと面倒だよね。
「わかりました」
私はシロブ語を使わず、身ぶり手振りで退室願った。
「それで何でしょうか」
「裏側の街に住む人にお聞きしました。ヤング侯爵の土地の売買で、シロブ語の通訳をしたのは貴方だとか。間違いはありませんか?」
「はい」
「そうですか。では、その内容を教えて頂けますか?」
「それはヤング侯爵にご確認を」
「貴方の口からは聞けないのかしら」
「私は言われた通り話しただけです。それに守秘義務がある」
そのヤングに言われた事を話してほしいのだけど…。
ヤングの事は怖いでしょうし、この生活は手放したくないから、知らぬ存ぜぬで通すわよね。
「私は街に言ってみたのですが、貴方の説明と対応は一致してないと怒っていました」
「シスターが街へ?そんな事があるはずない。しかも、街の誰に聞いたというのですか?」
『今、ここにいた3人です。3人とも裏側の街の住人ですから。』
「っ!?」
言葉の壁はラクロスにとって1番の強み。それを崩したわ。
『女神は皆に平等です。だから私が来たのです』
ラクロスの防壁は後何枚あるかしら。
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