とある少年の奮闘記

シンさん

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はじまり

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「え…?」

 激痛とともに、ドンっと背中に何かがぶつかった。

 振り返ると全身黒のジャージの男が走って逃げるのが見える。

 脇腹辺りをさわると、手が真っ赤に染まった。

 血……?刺された?


 もしかして俺、今夜のニュースに出るんじゃね?

『男子高校生、下校中に刃物で刺され重傷』…とか。

 そういうのって
 ニュースで時々みるけどもさ…
 自分には関係ないって思ってた。
 まさか、被害者が俺になるなんて、ありえないだろ。

 寒くなってきたな。
 体も全く動かない。
 痛みもない。

『重傷』じゃなく『死亡』かも…。

 不思議だ。
 何で俺は自分が長生き出来るもんだと思ってたんだ。いつもの馬鹿みたいな日常が続くと思ってたんだ。

 今さらだけど…ちゃんと親孝行しとくんだった…

 田中たなか 小太郎こたろう 享年18才

 おわり



 ……のはずだった。

 が、何故か俺は今、ヅラをかぶったオッサンに睨まれている。
 音楽室にある絵…、バッハとかあんな感じの白髪のヅラ。……コントか?

 てか、俺は死んだんじゃないのか?
 脇腹を触ってみたけど、痛みも血もない。
 というか、何だこの服…。赤いジャケットに白いズボン…。
 学ランはどこへいった。

 これはどういう状況か、誰か説明してくれ!
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