上 下
105 / 138

毒を愛する者より3

しおりを挟む
フリナから出た煙は無臭…。

私はこれくらいの手紙で死ぬはずがない…と、予想して送ってきてる。なかなか見る目はあるわね。この毒オタクは。

私が本格的に狙われ始めてるのはエミリオにだけ言っておこう。セドリックを厳重に守ってもらわないと。

ううん、やっぱり止めておこう。
犯人はエミリオじゃ無いとは言えないもの。
初めて会った時、『会いたかった』って言われたしね。
それに、腕の事で恨まれてるかもしれないし。

あの性格、わざわざこんな手の込んだ事しそうにないけどね。


外出禁止、そうなるとこの手紙みたいにチマチマ攻撃されるのかしら。もし私が動かなかったら、まわりを攻撃し出したりするかもしれない。

誰かに言おう……。


悩んだ末に、セドリック王太子殿下を選んだのは間違いだったかしら。

「私が狙われているのは知ってますよね。」
「……いや」

セドリックが私から目をそらした。

「驚くほど嘘が下手すぎますよ。知ってるなら話が早いんです。その犯人は本格的に動き出しました。セドリック様、気を付けてください。」
「…っ気を付けろって、それはリズだろ!」
「私は大丈夫です。もし気になるようでしたら、いつも一緒に行動させて貰えませんか?エミリオがいれば私も助かりますし。」
「…外出しない方が安全だ。」

確かに、皆そう思うよね。

「今日、私宛に手紙が2通届きました。」
「それには何と書いてあったんだ?」
「『僕の愛するエリザベスへ。これは君と僕の勝負だよ。毒を愛する者より。』」
「……もう一通は?」
「文字は何も。ただ花弁が1枚。フリナのね。」
「…っ触ったりしてないか!?大丈夫なのか!!」
「落ち着いて下さい。ピンセットでつまんで、ビンにいれてます。」
「はぁ…、怪我がなくてよかった。」
「セドリック様が狙われてるんじゃないかって思ってからは、私も気をつけてますよ。問題はそんな事じゃないんです…。」
「では何だ?」
「手紙が2通と言いましたが、1通は置き手紙です。正しくは、をわざわざ机に置いて、その1ページ目に手紙が挟んであったんです。ここに直接置きに来たのか、誰かに頼んだのかは解りません。」
「誰かから預かったとしても、必ずルネを通すし、普通は勝手に部屋に入るような事はしないな。」
「勝手に入った人がいるのよ。誰にも気がつかれないようにね。」

それが1番怖いんだよね。護衛が本当に護衛として動いてるのかわからないもの。

「護衛をつけるにしても、サーシャを中心にしてほしいの。」

ルネが信用している人なら、私も信用できる。逆に、そうじゃない人は信用できない。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】愛人を作るのですか?!

紫崎 藍華
恋愛
マリエルはダスティンと婚約し愛され大切にされた。 それはまるで夢のような日々だった。 しかし夢は唐突に終わりを迎えた。 ダスティンが愛人を作ると宣言したのだ。

結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください

シンさん
ファンタジー
サナス伯爵の娘、ニーナは隣国のアルデーテ王国の王太子との婚約が決まる。 国に行ったはいいけど、王都から程遠い別邸に放置され、1度も会いに来る事はない。 溺愛する女性がいるとの噂も! それって最高!好きでもない男の子供をつくらなくていいかもしれないし。 それに私は、最初から別居して楽しく暮らしたかったんだから! そんな別居願望たっぷりの伯爵令嬢と王子の恋愛ストーリー 最後まで書きあがっていますので、随時更新します。 表紙はエブリスタでBeeさんに描いて頂きました!綺麗なイラストが沢山ございます。リンク貼らせていただきました。

義妹のせいで、婚約した相手に会う前にすっかり嫌われて婚約が白紙になったのになぜか私のことを探し回っていたようです

珠宮さくら
恋愛
サヴァスティンカ・メテリアは、ルーニア国の伯爵家に生まれた。母を亡くし、父は何を思ったのか再婚した。その再婚相手の連れ子は、義母と一緒で酷かった。いや、義母よりうんと酷かったかも知れない。 そんな義母と義妹によって、せっかく伯爵家に婿入りしてくれることになった子息に会う前にサヴァスティンカは嫌われることになり、婚約も白紙になってしまうのだが、義妹はその子息の兄と婚約することになったようで、義母と一緒になって大喜びしていた 。

茶番には付き合っていられません

わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。 婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。 これではまるで私の方が邪魔者だ。 苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。 どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。 彼が何をしたいのかさっぱり分からない。 もうこんな茶番に付き合っていられない。 そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。

英雄になった夫が妻子と帰還するそうです

白野佑奈
恋愛
初夜もなく戦場へ向かった夫。それから5年。 愛する彼の為に必死に留守を守ってきたけれど、戦場で『英雄』になった彼には、すでに妻子がいて、王命により離婚することに。 好きだからこそ王命に従うしかない。大人しく離縁して、実家の領地で暮らすことになったのに。 今、目の前にいる人は誰なのだろう? ヤンデレ激愛系ヒーローと、周囲に翻弄される流され系ヒロインです。 珍しくもちょっとだけ切ない系を目指してみました(恥) ざまぁが少々キツイので、※がついています。苦手な方はご注意下さい。

悪役令嬢より愛を込めて。婚約破棄から始まる物語~貴族学園シリーズ~

しましまにゃんこ
恋愛
貴族学園を舞台にしたコミカルな短編集です。 ちょっぴり笑えてキュンとする異世界恋愛ストーリー。 安定の皆幸せハッピーエンド。 様々な国の貴族学園などを舞台に巻き起こる恋の騒動をお楽しみ下さい♪

新皇帝の後宮に献上された姫は、皇帝の寵愛を望まない

ユユ
恋愛
周辺諸国19国を統べるエテルネル帝国の皇帝が崩御し、若い皇子が即位した2年前から従属国が次々と姫や公女、もしくは美女を献上している。 既に帝国の令嬢数人と従属国から18人が後宮で住んでいる。 未だ献上していなかったプロプル王国では、王女である私が仕方なく献上されることになった。 後宮の余った人気のない部屋に押し込まれ、選択を迫られた。 欲の無い王女と、女達の醜い争いに辟易した新皇帝の噛み合わない新生活が始まった。 * 作り話です * そんなに長くしない予定です

異国で咲く恋の花

ゆうな
恋愛
エリス・ローレン 20歳の貴族令嬢エリス・ローレンは、社交界での華々しい活躍により名声を得ていた。しかし、陰謀によって冤罪を着せられ、彼女の人生は急転直下する。家族や友人たちからも見捨てられたエリスは、無実を主張するも国外追放される。 新たな生活の舞台は、荒廃した小さな村。貴族としての誇りを失ったエリスは、これまでの経験やスキルを生かして生き抜くことを決意する。彼女の持つ医学や薬草学の知識を武器に、エリスは村人たちと交流を深め、次第に信頼を得ていく。

処理中です...