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優先順位

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「リズ、あまり思い詰めるな…。髪だって…、男だとか女だとかは関係ない。」
「そんなの言われなくても解ってるわ。けれど、もしそれで警察を手伝う事が出来る可能性が増えるなら、いくらでも切るわ。」
「どうしてそこまでするんだ?養子に迎えてくれたから、その恩なのか?」
「…そうよ。」

ただの養子であればここまでしない。命の恩人で、そして素晴らしい2人だからよ。侯爵に何かあれば、領土だって治安が悪くなっていくわ。コチの奴らがのさばってしまうかもしれない。

「私は……」

コチ出身だなんて事は、今は軽々しく言えない。そのせいでお父様はコチの奴らに何かを言われてるんだから。その内容も詳しくわからないし、言ってしまえばそれはそれで迷惑をかけてしまう。

「人には大切な物の順位があるんです。私にとっての1番が侯爵夫妻なの。…もう一度警察に行ってくるわ。長官があってくれるまで居座るつもりよ。会えないのであれば、外から署内を見ておくわ。」
「5日という期限は何だ?それだけでもハッキリ言えば、俺から長官に頼み込む。」
「……不幸にしたくないからよ。」
「何故不幸が起こると思うんだ?さっきの男に何か言われたのか?」
「…お父様が脅されるかもしれないからよ。」
「誰に?心配なら侯爵に護衛をつける。」
「…つけても無駄よ。…無駄なの。」
「何故そう思うんだ?」
「…。」

私には護衛でいい。もし捕まれば、迷惑をかける前に死ねばいいだけの話よ。けど、2人は違うの…。私だけの者じゃない。

誘拐犯とたぶん繋がってる。

のか考えての結果よ。後から悔やみたくないの。」
「はぁ…、わかった。」
「……いいの?」
「長官に会うのは手を貸す。説得出来るかはリズ次第だ。」
「…っありがとう!」
「何があっても、1人で危険な事はしない…と約束してくれ。」
「うん、わかった。」



それからすぐにセドリックは私を長官に会わせてくれた。

「私を5日間、ここで働かせてください。」
「…いいだろう。」
「え…いいんですか?」
「君から言い出した事だろう。」
「……」

そんなに簡単に許可が出ると思わなかったわ。そうよ、簡単に許可は出るはずないのよ。うるさいから適当に何かやらせておけ感が溢れかえっているわ。
…与えられた仕事は、倉庫で解決済みの事件の証拠品を記録して片付ける役割。小太りの中年男性と若くて背の高い綺麗な顔立ちの男性、そして私。ここって殆んど人と接触しないじゃない。

「この仕事、重い物もありますので、エリザベス様は記録だけで、運ぶのは俺達にまかせてくださいね。」

白い手袋をつけながら爽やかに言う好青年。

「ありがとう。」

綺麗な顔をしている…本当に男性なのかしら。さっきチラッと見えた手が男の人のものと思えない。
それに、重たい荷物はもう1人が運んで、自分は軽い物ばかり。私でも運べるような…。
この人、絶対女だわ。

もしかして、ここを調べろって事?
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