4 / 25
1.0/露璃恨・過去
露璃恨・過去:4
しおりを挟む
ただそれだけの簡単な動作を、わざわざ当たるように狙ったのに、俺には出来なかった。
ボールを蹴ったと思った次の瞬間、世界は反転する。
世界がそんな急に動くなんて事はもちろん無く、ボールを上手く蹴れず、滑った俺が、頭から後ろ向きに地面へと近づいていってるだけだった。
やっぱりこんなことしなければ良かったと、後悔しかけたその時だった。
「お兄さん、大丈夫?」
と、近くにいた小学生の女の子が俺に手を差し伸べる。
女性に触れると、何か良くない事が起こると身をもって実感していた俺だったが、好意を無下にする訳にもいかないと、おそるおそる掴まらせて貰う。
とはいえ、本当に彼女に全体重を任せてしまうと彼女が俺の方に倒れてしまう為、もう一方の手で地面から体をあげ、補助程度に彼女の好意を受け取る。
「ごめんなさい。わたしから言っておきますね。」
笑いを隠しきれない小学生の男子共に、その子は注意をし始めた。
「元といえば皆が強く飛ばしすぎたせいでしょ?ちゃんと謝りなよ。」
「ごめんなさーい」
小学生達の声が聞こえて来た。
「上手く返してあげられないでごめんね。」
久々に大声を出した為、少し喉が痛かったけれど、その日の俺は気分よく家に帰れた。
そういえば、女子に触れると、何かが起こるという件は、語る程の話でもないのだけけど、掃除の時間にバケツを運んでいた俺に 、後ろを向いていた箒だけ持って他クラスの女子と喋っているクラスメイトの女子がぶつかって来たと言うだけの話だった。それ自体は事故だしそうならないように俺は、「危ない」ときちんと声を出したはずなのだけど、大声で喋っていたその女子達には聞こえなかったようで、逆に理不尽な怒りを買ったと言う話だった。
まず、そこにいた他クラスの女子が、「ぶつかったらまず謝れよ。」「ちゃんと気をつけて歩け。」と、俺に向かって言ってきた。お前らは自分達が言われるべきことを何故俺に言うのかと腹立たしかったが、ここで彼女達に罵声を浴びせても仕方がない。一応謝ることにした。余計なトラブルの元となるくらいなら俺が罪を被ればいい。いつの間にか身に付いた処世術だった。
でも、この事件はそれだけで終わらなかった。
「すみません。」と謝った俺に、「誠意が感じられない。」「悪いと思ってるの?」と友人達が捲し立てる。誠意など無いに決まっているだろう。なんで俺が責められる立場なのだと、内心かなり怒りが湧いていた俺だったが、この時はまだ我慢していた。
ボールを蹴ったと思った次の瞬間、世界は反転する。
世界がそんな急に動くなんて事はもちろん無く、ボールを上手く蹴れず、滑った俺が、頭から後ろ向きに地面へと近づいていってるだけだった。
やっぱりこんなことしなければ良かったと、後悔しかけたその時だった。
「お兄さん、大丈夫?」
と、近くにいた小学生の女の子が俺に手を差し伸べる。
女性に触れると、何か良くない事が起こると身をもって実感していた俺だったが、好意を無下にする訳にもいかないと、おそるおそる掴まらせて貰う。
とはいえ、本当に彼女に全体重を任せてしまうと彼女が俺の方に倒れてしまう為、もう一方の手で地面から体をあげ、補助程度に彼女の好意を受け取る。
「ごめんなさい。わたしから言っておきますね。」
笑いを隠しきれない小学生の男子共に、その子は注意をし始めた。
「元といえば皆が強く飛ばしすぎたせいでしょ?ちゃんと謝りなよ。」
「ごめんなさーい」
小学生達の声が聞こえて来た。
「上手く返してあげられないでごめんね。」
久々に大声を出した為、少し喉が痛かったけれど、その日の俺は気分よく家に帰れた。
そういえば、女子に触れると、何かが起こるという件は、語る程の話でもないのだけけど、掃除の時間にバケツを運んでいた俺に 、後ろを向いていた箒だけ持って他クラスの女子と喋っているクラスメイトの女子がぶつかって来たと言うだけの話だった。それ自体は事故だしそうならないように俺は、「危ない」ときちんと声を出したはずなのだけど、大声で喋っていたその女子達には聞こえなかったようで、逆に理不尽な怒りを買ったと言う話だった。
まず、そこにいた他クラスの女子が、「ぶつかったらまず謝れよ。」「ちゃんと気をつけて歩け。」と、俺に向かって言ってきた。お前らは自分達が言われるべきことを何故俺に言うのかと腹立たしかったが、ここで彼女達に罵声を浴びせても仕方がない。一応謝ることにした。余計なトラブルの元となるくらいなら俺が罪を被ればいい。いつの間にか身に付いた処世術だった。
でも、この事件はそれだけで終わらなかった。
「すみません。」と謝った俺に、「誠意が感じられない。」「悪いと思ってるの?」と友人達が捲し立てる。誠意など無いに決まっているだろう。なんで俺が責められる立場なのだと、内心かなり怒りが湧いていた俺だったが、この時はまだ我慢していた。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
俺のセフレが義妹になった。そのあと毎日めちゃくちゃシた。
ねんごろ
恋愛
主人公のセフレがどういうわけか義妹になって家にやってきた。
その日を境に彼らの関係性はより深く親密になっていって……
毎日にエロがある、そんな時間を二人は過ごしていく。
※他サイトで連載していた作品です
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
My Doctor
west forest
恋愛
#病気#医者#喘息#心臓病#高校生
病気系ですので、苦手な方は引き返してください。
初めて書くので読みにくい部分、誤字脱字等あると思いますが、ささやかな目で見ていただけると嬉しいです!
主人公:篠崎 奈々 (しのざき なな)
妹:篠崎 夏愛(しのざき なつめ)
医者:斎藤 拓海 (さいとう たくみ)
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる