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衝☆撃そして撃沈
しおりを挟むヒールが使えたからとりあえずガルディさんに習って火の玉だしておこうかなって思って炎のイメージしてたんだけど、想像しちゃったのが全体魔法とかでよくみるあれで、結果的に彗星が落ちてきたみたいな感じになった。お花畑が荒れ果てた大地へと様変わり。と、思ったけど元々こうだった。
イメージが大切ってこういうことか。
じゃあ、今度は水かな。これはもうジョウロでいいよ。
花に水をあげるイメージで力を解放してみれば小雨レベルの水が降って、虹を作って消えた。これはいいな! 侍女さんたちに見せてあげたい!
魔法は問題なくだせるみたい。ガルディさんがオレの魔力量をちゃんと測りたいから後日ちゃんとしたのを用意しておきますだって。きっとガルディさんが気になるんだろう。
気に入ったジョウロを連発してたら「お昼の時間になりますし、そろそろ引き上げましょう」ってガルディさんが結界を張った魔石を解除してた。もうそんな時間か。たしかにお腹空いた気もする。
オレは後ろに控えてたクロウのところまで歩いて両手をあげた。
「ん」
ご飯食べたい。
騎士団の食堂がどこにあるか判らないからクロウが連れてってくれるんだよね。
手をあげたのは無意識だった。
それをみたクロウは膝から崩れ落ちた。え、なに?
オレ、まさか魔法発動してた?
ビックリしてガルディさんを見たらこっちも地面に四つん這いになって震えてた。
小さくなにか言ってんだけど、聞こえない。
焦ってヒールを連発したけど花畑が増えるだけだった。花畑で身悶える若い男二人。なんだこれ。
もしかしてオレの使うヒールはハゲにしか効かないんじゃないかと思ってたら、すごい勢いでクロウに抱きつかれた。
「コガネ様は食べてしまいたいくらいかわいいですね!!」
「ぐっ!!」
内臓圧迫系ぼでぃーぷれす。はさまれた者は死ぬ。
相当な手加減をしてくれているはずなんだけど、苦しいものは苦しい。これで昨日の鎧付きクロウだった場合、やっぱり死ぬ。
見た目は大人っぽいんだけど、こういう時やっぱりこいつオレと同じくらいだって納得する。
ガルディさんが我に返ってたらしく、危ういところを助けられた。
半泣きになったオレをクロウがあやしてくるけど、お前が原因だからな!
なにが原因でああなったか判らないけど、ちょっと離れたところから突進&抱きつかれるとああなるってことだけは覚えておこう。離れたら近づく。命、大事に。
庭園でガルディさんと別れて、バイバイしたらまた四つん這いになってた。クロウは頬をぐりぐりしてきたから殴っておいた。
さっき来た道とは違う方向に行くから騎士団の食堂ってのは城の中にないことが判った。
「クロウは騎士団っていうところの人なの?」
「ええ、騎士団に所属していて、近衛として勤務しています。他は城の警備だったり城下町の警備だったり。聖なる泉をもっと奥に行った場所に魔獣が住んでたりするんですが、人と魔獣がぶつからないよう見張るのも騎士団の役割だったりします」
「魔獣…あぶないの?」
「人が魔獣の暮らしに干渉しなければ問題はありません。しかし、今は聖なる泉の力が弱まってバランスを崩した魔獣がたまに暴走して人里に下りてきたりします。王都までは滅多にないんですが、防波堤となっている聖なる泉にコガネ様を連れて行くには矢張り危険が伴います」
「だから魔法を使えるように教えてくれたのか」
「そうです。コガネ様に危険がないようこの身を尽くしてお守りしますが、万が一にも…貴方になにかあったら冷静ではいられない。騎士として冷静であらなければならないのですが、先ほどもああでしたし」
ああ、あれね。
たしかに冷静とは言えないよな。
それだけクロウがオレを大切にしてくれてるってことだからうれしかな。
「じゃあ、オレはクロウから離れないようにするからちゃんと守ってね?」
「! もちろんです!」
クロウが嬉しそうに笑うからオレも笑ってたらまた強く抱きしめられた。ちょっと苦しいくらい。これくらいなら我慢はできる。
視界の端に黄色い花びらが舞っていた。
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