14 / 18
【2】
1 テト/「二つ目は、お前を殺すことじゃ」
しおりを挟む
目的地は、テト、ソラ、ミューの三人の内誰も想像していなかった場所――林への入り口だった。
どこからどこまでかが高い塀で囲まれており、ちょうど車が門の前にたどり着いたことによりナビの案内が終了したので、ミューはそこで停車する。
「ついたみたいだけど。どこ、ここ」
ミューが、垂れ気味の目を細めてそう言った。
三人共車から降りて、白く大きな門の前に立つ。
三人の鼻腔を突いたのは、たくさんの木々、草、そして土の、自然でどこか湿っぽい匂いだった。
『運転手は入るな』
門のどこかにスピーカーでも設置されているのか、正面から男の声がした。
『ここから先、行けるのは二人のみだ』
「ぼく?」ミューは自分を指差す。「じゃ、こっからはテトとソラだけか」
「ミュー、ありがとう」
テトは、自らの手をミューに差し出してそう言う。
ミューも、白い手を差し出し、テトの手を握った。
「うん……気をつけて。何かあったら、連絡してくれてもいいよ」
「ミューも、帰り気をつけて」
互いに手をぱっと放し、放たれた手を軽く上げ、別れの挨拶をした。
ミューは車に戻ったが、なかなか発車しなかった。一応、二人の姿が見えなくなるまで見送るようだった。
重たそうな門の二枚の扉が横にゆっくりと開き、テトとソラを林の奥へと誘う。
『そのまま真っ直ぐ歩け』
ソラが不安そうに目に力を込め、テトを見る。
「ちょっと寒いかも」
ソラが腕をさすりながら言う。撮影現場での衣装そのままだったのであろう、鎖骨から肩にかけてが大きく開いた黒いワンピース姿のソラは、テトと比べて確かに寒そうに見える。
テトはソラを引き寄せ、その肩をさすった。
「どこまで歩かされるんだろう、僕たち」
自分たちをここまで連れてきた車が眠っていたあの駐車場ほどではないが、それでもどことなく鬱蒼とした雰囲気の林を目の前にして、思わずテトはぼやく。
本当は一刻でも早く目的地についてしまいたかったが、距離が長かった場合のことを考え、早足ではなくなるべく普通の速度で歩いていく。
普段ならばこんな道――もはや道ですらないが――を歩く時は靴の心配をしていたに違いないが、血だまりでさえも踏んできたテトの衣装のスニーカーのソールはすでに汚れきっているので、もう気にすら留めない。
今後自分たちに何が待ち受けているのかはわからないし、楽しいことが待っているわけではないのはわかりきっていたので、テトとソラはたいして会話をすることもなく、手を繋いで黙々と林の中を進んでいくだけだった。
体感では、二十分後。
目の前に家が見えた。
ただの長方形ではなく、元々そこに生えていた大きな木々を伐採せずその存在を尊重したかのように、その家は木々の間に無理やり建っているようで、複雑な形をしていた。
広い、三階建ての家だ。
外側はほぼ窓ガラスになっていて、木々の間から差し込む少ない光を取り入れようとしている。窓が大きいので、当然中の様子も確認できるが、誰かがいる気配はなく、白を基調とした家具が点在していて、広々とした部屋があるだけだった。
入り口前では、軍服のようなものを着た男二人が地面に伏し、倒れている。
一人の首から上は無く、血がコンクリートの地面に広がっており、もうすでに事切れていることがわかる。頭はどこにも転がっていない。
ソラが口に手をやり、悲惨な光景から目を逸らす。
「なんだ……?」
テトが呟くと、首から上が残っている方の男が、まだ生きていたのか、満身創痍の状態でありながらも、手を震わせながら前に伸ばす。
と、男の頭上に、薄く、そしてひたすらに黒い、まるでA4サイズのフィルムのような闇が現れる。
その闇から同じく黒い女の腕のようなものが伸びてきて、ぼきり、と太い枝を折るような音をたてて男の首を捻じ曲げ、最後まで生きようとした男にとどめを刺した。
用を済ますと、腕はすっと戻っていき、闇と共にそっと消えていく。
テトとソラが思わず構える。
と、背後から、まるで歌うかのような呑気な女の声が聞こえた。
「久しぶりじゃのう、テト」
反射的に振り返ると、そこには一人の若い女がいた。
榛色の長い髪に、同じ榛色のつり気味の瞳。不敵に上がる口角。赤い唇。黒のキャミソールからは長い腕が、そして黒のショートパンツからは長い脚が伸びる。背は、ソラよりも高く、テトと同じくらいだった。
どことなく、化け狐でもみているような気分だった。
この女が、あそこにいた男たちを?
それに、「久しぶり」って? この女のことは、知らない。
テトがあれこれ考え、口をわずかに開けて女のことを凝視していると、女がソラの首を正面から掴む。
「ソラ」
すぐにテトがソラと女を離そうと手を伸ばすも、頭を打ったような感覚に襲われる。
◾︎
鼻腔をつく匂いが、林の湿っぽい匂いからどこか懐かしい匂いへと変わった。
気がつくとそこは、さっきまでテトがいた所ではなかった。
足元を見ると、汚れたスニーカーが踏んでいるのは、汚れ一つない水色の綺麗な床で、そして自分を囲むのは同じく水色の壁だ。
有能学園の、小等部のどこかの教室。
そこにテトは立っていて、それからテトの目の前には、ワイシャツに鳶色のリボンタイをつけた五歳ほどの幼い少年少女が一列に並んで立っている。
その列に立っている端の落ち着きのない様子の少年は、どう見ても昔のテトの姿だった。
どうやら、記憶の中にいるようだ。
「パク・ジョンイン」
「はい」
一名ずつ、点呼がとられている最中だった。
拡張視界で子供たちのプロフィールが細かに記載されたデータを確認しながら点呼をとっているスーツ姿の長身の男は、ドウォンだ。今よりも皺がなく、かなり若く見える。二十代後半か、三十代前半だろう。
「チョウ・シャオジュン」
「ハイ」
「ホンダ・テトラ」
「はーい」
幼き日のテトが堂々と返事をした後、周りの子供たちは表情こそ変えなかったものの、キョロキョロとお互いの目を見合わせる。
少年のテトは、ポケットに入っていたフィルムシートを丸めたゴミを隣の少年に投げつけた。
「なにがおかしいんだよ」
「だって、えーっと、そのー」
テトが掴みかかろうとするも、ドウォンがテトのシャツを掴んでそれを制止する。
ドウォンの後ろに立つスーツ姿の若い女教師、ミンソは大げさに一度咳払いをして、
「あなたたちは、見事選ばれた優秀な六名です。そして、本日より、ドウォン氏がみんなのお父さんになります。ちゃんと敬い、期待に応えるように」
「うやまう、って」テトが首を傾げ、「なに?」
「自分よりもえらい人のことを、尊んで、礼を尽くすことですよ」
テトの質問に答えた後は、点呼と確認という目的も終えたからか、教師とドウォンは教室を出る。
特に指示もないので他の子供たちはそこに居続けたが、テトは二人を追って教室を飛び出した。
少年のテトが出て行ったので、現在のテトもそれについていく。
「先生」
テトが二人に駆け寄ると、ミンソとドウォンが振り返る。
ドウォンの決して温かとは言えない鋭い視線にテトは萎縮しかけるが、口を開く。
「先生、あの、ぼく、本当のパパ、いるんだけど」
「じゃあ、どこにいるんだ?」ドウォンが低い声で小さなテトに聞き返す。
「それは……わかんない。ママも教えてくれなかったし。でもいるんだよ。ママはこの間死んじゃったけど、パパはどこかにいるって、ママが言ってたもん」
これに対して、何も言ってこないドウォンに向かってテトは早口で付け加える。
「ぼく、パパのこと探しにいきたい」
「駄目だ」
「なんで?」
「お前の本当の父親は、お前のことを捨てたからだ」
非情にもあっさりとそう言い放たれ、数秒、テトは堪えたが、すぐに瞳から涙をこぼした。
テトにとって「自分を捨てた」という父親の事実は、そのとき初めて知ったことだった。
「なんで? なんでぼくのことを捨てたの?」
「思っていたのと違ったからだ」
「ぼくが……?」
ドウォンは、何も言わない。
現在のテトも、何もできずにその記憶の流れを目で追うだけだった。ここで自分自身に声をかけ、その言葉が届いたとしても、現実がどうにかなるわけではない。
ミンソが辛そうな表情を見せ、しゃがみこんでテトの頭を撫で、そして立ち上がって手を引く。
「テト。部屋に戻って」
「……ぼくのパパ、そんなにひどいひとなの……?」
止まらない涙をシャツの袖で拭きながらテトが聞いたが、ミンソも、そしてドウォンは勿論、何も言い返さなかった。
◾︎
そこでまた、無理矢理景色を変更させられる。
今度の記憶は、小等部のどこかの教室ではなく、見慣れたドウォンの仕事部屋だった。
ドウォンのデスクの前には本人が座り、そして彼に向かい合うようにして、ドウォンのものとは異なる回転式の丸椅子にテトが座っている。
暗い緑色のブレザーを着ている、ということは中等部の頃の自分だった。
この記憶もテトははっきりと覚えている。特別進路相談、という名目で高等部の学科の進路をドウォンと話し合っている時だった。
「で、志望の学部は」
ドウォンが、肘掛けに両手を置いて、テトに聞いた。
顔にはまだあどけなさが残り、そして黒髪のままのテトは躊躇わずに口を開く。
「僕、高等部では芸能芸術科に行きます」
「だろうな」ドウォンが、デスクの上に置かれたフィルムの「芸能芸術科」に丸印をつける。「お前は頭はいいが、落ち着きが無いからその方がいいだろう。志望理由は?」
「有名になりたいからです」椅子と一緒に体を左右に回しながら、「有名になったら、父親が気づくかも」
「……どうだろうな」
まだフィルムに何かを書き記しているドウォンの視線は、テトではなくフィルムに落ちている。
「有名になって、父親と会って、見返して、復讐がしたい。僕を捨てたことを後悔させたいんです」
ああ、そうか。
真剣な眼差しでドウォンに自分の目標を話す過去の自分を見つめて、現在のテトは思う。
そもそもの僕の目的って、実の父親のためだっけ。
無事デビューできて熱心に仕事をしているうちに忘れかけていたが、テトの目的として底にあったのは、人々からただ人気や愛や注目や憧れを得ることではなく、実の父親に存在を知らしめ、会い、裁きたいからだった。
「無理だ、お前には」フィルムから顔を上げ、ドウォンが告げる。「お前がかなう相手ではない」
テトが言い返そうとするも、ドウォンは続けた。
「だからこそ、彼はまだ生きている」
◾︎
目まぐるしく、また素早く記憶の光景が変更させられる。
そこは、楽屋の中だった。
制服風の衣装を着ている過去の自分を見て、テトは気づく。デビューしてから二回目の番組収録の日だ。
「僕にも来てた!」
椅子の上に立ち、顔を綻ばせて手紙を掲げるテトはご機嫌で、落ちそうになるのもお構い無しに飛び跳ねる。
「おお、テトにもファンレター届いたのか」年上の他メンバーが、腕を組んで嬉しそうに言う。
「僕の初のファンレターということで、記念に兄さんたちに音読します」
電子フィルムと違って脆い紙はすぐに破けてしまうので、注意しながらゆっくりとテトは封を開ける。
手触りの良い紙には、テトがよく見知った、まるで子供な書いたような独特で下手な字が散らばっていた。
その字を見て、テトはハッとする。
音読するつもりだったのに。思わず、口を震わせ、涙をこぼす。
『テトへ
わらってるテトがだいすきだよ
おうえんしてるね
ごはんたくさん食べて
あいしてる』
差出人の名前がどこにも書かれていなかったものの、テトにはすぐ、手紙を書いたのが誰なのかわかった。
◾︎
冷たい感触が頰に広がる。
目を開くと、さっきソラに掴みかかった榛色の髪の女がしゃがみ、微笑みながら――ニヤつきながら、フローリングの床に伏した自分の顔を覗き込んでいて、記憶の旅が終わり現実に戻されたことをテトは悟る。
テトは、上体を起こす。
黒く、艶の無い手枷・足枷がはめられている。まるで誰かの別荘のような、スタイリッシュなこの家の中でこの状況なのは違和感があった。
何をされたのか。全身が火照るように熱く、動悸がし、口での呼吸になる。
「なるほどの」女が、テトの頰を両手で包み、うっとりしたように言う。「ちょっとばかし記憶を見させてもらったが、やはり『父親』への意識が強いようじゃな。お前がアイドルとやらになったのは、自分を捨てた実の父親に存在を知らしめて、復讐がしたかったから。そんでもって、相思相愛の女がいる。熱いのう!」
頰をこねられる。手を放してほしかったが、背中で手枷をされているため、手での抵抗はできない。
一人で盛り上がる女の話は無視し、顔を振って手から解放する。
息を切らし、変わった話し方をする女を睨み、テトは口を開く。「……ソラは?」
「ん? ああ、一緒にいた女か? 別の部屋でおねんねじゃ。安心しろ。寝かせただけで、手は出してないからの」
それにしてもじゃ、と、女は指先でテトの顎を上げる。
「本当、久しぶりじゃのう、テト。ワシの期待通り、すっかり美男になったわい」
「……僕はきみのことなんか知らない」
「無理もないの」どこか得意げに、女は腕を組む。「ワシがお前に最後に会ったのは、お前がユリに抱かれて腕の中ですやすや寝とった赤ん坊の時じゃからの。あの時はどっち似なのかわからんかったが、今じゃ若いときの父親似じゃの」
ユリ、とは、紛れもなく、テトの母の名前だ。
他の子供たちと同様テトにも開発小板が埋められ、少し経った頃、有能学園――ドウォンへテトを養子に出し、そして首を吊り、自殺した母。
「母さんを知ってるの……?」テトは眉をひそめ、「それに、父親のことも」
「そうじゃ。ユリは、ワシの数少ない何番目かの友達じゃからの。お前の実の父親のことも、よくよく知っておる」
「まって、きみって一体いくつなんだ?」
「いくつに見えるぅ?」
「めんどくさ。……見た目だけで言うなら、二十七とか?」
「ま、今の体は確かにそんくらいじゃの。じゃが、実際に生きているのは二千年をゆうに越えておるわ!」
「はあ? 二千歳を超えてるんだったら、旧世の
時から生きてることに……」
「そうじゃな」豊かな胸を張り、女は言う。「お前は一人の男を思い浮かべたじゃろうな。愛してやまない実の妹の血を飲んで、不老不死に近づいている変態を。じゃがワシはそれとはまた違う方法で生き長らえておる。ワシのほうが、ある意味現実的な方法じゃ」
「……ジュノさんのことまで知ってるのか。きみは一体何者なの?」
「ワシか? ワシは、ハニという」
自らをハニと名乗る女は、目を細めて愛おしそうにテトを見つめ、テトの前髪を指先でそっと撫でた。
「テト、お前がここに来させられることを知っていて、ワシもすぐにここに来た。ここはジュノの別荘か何かじゃの。お前たちを待っていたジュノの手先は邪魔だったから、殺した。ジュノはお前たちをここで監禁するつもりだったらしいのう」
「……なるほどね」
ジュノはこの事態に気がついているだろうか。
「目的はなんだ? 僕とソラを解放しろ」
「よくぞきいてくれた。ワシの目的は二つ」
ハニは指を二本立て、テトの目の前に出す。
「一つ目は、お前と性行為をすること!」
「はあ?」
冗談はやめてほしい。テトは肩を落として溜息をつく。
そんなテトを見てくつくつと楽しそうに笑い、ハニはテトの肩を軽く叩き、
「いや、冗談じゃないわい。いい女の姿で美男とするのがワシの生きがいなんじゃ」
「……それ、本気で言ってる?」
「だーかーらー、本気じゃて。初めてお前を見てから、成長が待ち遠しくて仕方なかったんじゃ」
「まあいいや。よくないけど。で、あと一つは?」
「ほう、聞きたいか?」
ハニが、いや、妖狐が、テトの唇にそっと触れ、微笑みながら言う。
「二つ目は、お前を殺すことじゃ」
どこからどこまでかが高い塀で囲まれており、ちょうど車が門の前にたどり着いたことによりナビの案内が終了したので、ミューはそこで停車する。
「ついたみたいだけど。どこ、ここ」
ミューが、垂れ気味の目を細めてそう言った。
三人共車から降りて、白く大きな門の前に立つ。
三人の鼻腔を突いたのは、たくさんの木々、草、そして土の、自然でどこか湿っぽい匂いだった。
『運転手は入るな』
門のどこかにスピーカーでも設置されているのか、正面から男の声がした。
『ここから先、行けるのは二人のみだ』
「ぼく?」ミューは自分を指差す。「じゃ、こっからはテトとソラだけか」
「ミュー、ありがとう」
テトは、自らの手をミューに差し出してそう言う。
ミューも、白い手を差し出し、テトの手を握った。
「うん……気をつけて。何かあったら、連絡してくれてもいいよ」
「ミューも、帰り気をつけて」
互いに手をぱっと放し、放たれた手を軽く上げ、別れの挨拶をした。
ミューは車に戻ったが、なかなか発車しなかった。一応、二人の姿が見えなくなるまで見送るようだった。
重たそうな門の二枚の扉が横にゆっくりと開き、テトとソラを林の奥へと誘う。
『そのまま真っ直ぐ歩け』
ソラが不安そうに目に力を込め、テトを見る。
「ちょっと寒いかも」
ソラが腕をさすりながら言う。撮影現場での衣装そのままだったのであろう、鎖骨から肩にかけてが大きく開いた黒いワンピース姿のソラは、テトと比べて確かに寒そうに見える。
テトはソラを引き寄せ、その肩をさすった。
「どこまで歩かされるんだろう、僕たち」
自分たちをここまで連れてきた車が眠っていたあの駐車場ほどではないが、それでもどことなく鬱蒼とした雰囲気の林を目の前にして、思わずテトはぼやく。
本当は一刻でも早く目的地についてしまいたかったが、距離が長かった場合のことを考え、早足ではなくなるべく普通の速度で歩いていく。
普段ならばこんな道――もはや道ですらないが――を歩く時は靴の心配をしていたに違いないが、血だまりでさえも踏んできたテトの衣装のスニーカーのソールはすでに汚れきっているので、もう気にすら留めない。
今後自分たちに何が待ち受けているのかはわからないし、楽しいことが待っているわけではないのはわかりきっていたので、テトとソラはたいして会話をすることもなく、手を繋いで黙々と林の中を進んでいくだけだった。
体感では、二十分後。
目の前に家が見えた。
ただの長方形ではなく、元々そこに生えていた大きな木々を伐採せずその存在を尊重したかのように、その家は木々の間に無理やり建っているようで、複雑な形をしていた。
広い、三階建ての家だ。
外側はほぼ窓ガラスになっていて、木々の間から差し込む少ない光を取り入れようとしている。窓が大きいので、当然中の様子も確認できるが、誰かがいる気配はなく、白を基調とした家具が点在していて、広々とした部屋があるだけだった。
入り口前では、軍服のようなものを着た男二人が地面に伏し、倒れている。
一人の首から上は無く、血がコンクリートの地面に広がっており、もうすでに事切れていることがわかる。頭はどこにも転がっていない。
ソラが口に手をやり、悲惨な光景から目を逸らす。
「なんだ……?」
テトが呟くと、首から上が残っている方の男が、まだ生きていたのか、満身創痍の状態でありながらも、手を震わせながら前に伸ばす。
と、男の頭上に、薄く、そしてひたすらに黒い、まるでA4サイズのフィルムのような闇が現れる。
その闇から同じく黒い女の腕のようなものが伸びてきて、ぼきり、と太い枝を折るような音をたてて男の首を捻じ曲げ、最後まで生きようとした男にとどめを刺した。
用を済ますと、腕はすっと戻っていき、闇と共にそっと消えていく。
テトとソラが思わず構える。
と、背後から、まるで歌うかのような呑気な女の声が聞こえた。
「久しぶりじゃのう、テト」
反射的に振り返ると、そこには一人の若い女がいた。
榛色の長い髪に、同じ榛色のつり気味の瞳。不敵に上がる口角。赤い唇。黒のキャミソールからは長い腕が、そして黒のショートパンツからは長い脚が伸びる。背は、ソラよりも高く、テトと同じくらいだった。
どことなく、化け狐でもみているような気分だった。
この女が、あそこにいた男たちを?
それに、「久しぶり」って? この女のことは、知らない。
テトがあれこれ考え、口をわずかに開けて女のことを凝視していると、女がソラの首を正面から掴む。
「ソラ」
すぐにテトがソラと女を離そうと手を伸ばすも、頭を打ったような感覚に襲われる。
◾︎
鼻腔をつく匂いが、林の湿っぽい匂いからどこか懐かしい匂いへと変わった。
気がつくとそこは、さっきまでテトがいた所ではなかった。
足元を見ると、汚れたスニーカーが踏んでいるのは、汚れ一つない水色の綺麗な床で、そして自分を囲むのは同じく水色の壁だ。
有能学園の、小等部のどこかの教室。
そこにテトは立っていて、それからテトの目の前には、ワイシャツに鳶色のリボンタイをつけた五歳ほどの幼い少年少女が一列に並んで立っている。
その列に立っている端の落ち着きのない様子の少年は、どう見ても昔のテトの姿だった。
どうやら、記憶の中にいるようだ。
「パク・ジョンイン」
「はい」
一名ずつ、点呼がとられている最中だった。
拡張視界で子供たちのプロフィールが細かに記載されたデータを確認しながら点呼をとっているスーツ姿の長身の男は、ドウォンだ。今よりも皺がなく、かなり若く見える。二十代後半か、三十代前半だろう。
「チョウ・シャオジュン」
「ハイ」
「ホンダ・テトラ」
「はーい」
幼き日のテトが堂々と返事をした後、周りの子供たちは表情こそ変えなかったものの、キョロキョロとお互いの目を見合わせる。
少年のテトは、ポケットに入っていたフィルムシートを丸めたゴミを隣の少年に投げつけた。
「なにがおかしいんだよ」
「だって、えーっと、そのー」
テトが掴みかかろうとするも、ドウォンがテトのシャツを掴んでそれを制止する。
ドウォンの後ろに立つスーツ姿の若い女教師、ミンソは大げさに一度咳払いをして、
「あなたたちは、見事選ばれた優秀な六名です。そして、本日より、ドウォン氏がみんなのお父さんになります。ちゃんと敬い、期待に応えるように」
「うやまう、って」テトが首を傾げ、「なに?」
「自分よりもえらい人のことを、尊んで、礼を尽くすことですよ」
テトの質問に答えた後は、点呼と確認という目的も終えたからか、教師とドウォンは教室を出る。
特に指示もないので他の子供たちはそこに居続けたが、テトは二人を追って教室を飛び出した。
少年のテトが出て行ったので、現在のテトもそれについていく。
「先生」
テトが二人に駆け寄ると、ミンソとドウォンが振り返る。
ドウォンの決して温かとは言えない鋭い視線にテトは萎縮しかけるが、口を開く。
「先生、あの、ぼく、本当のパパ、いるんだけど」
「じゃあ、どこにいるんだ?」ドウォンが低い声で小さなテトに聞き返す。
「それは……わかんない。ママも教えてくれなかったし。でもいるんだよ。ママはこの間死んじゃったけど、パパはどこかにいるって、ママが言ってたもん」
これに対して、何も言ってこないドウォンに向かってテトは早口で付け加える。
「ぼく、パパのこと探しにいきたい」
「駄目だ」
「なんで?」
「お前の本当の父親は、お前のことを捨てたからだ」
非情にもあっさりとそう言い放たれ、数秒、テトは堪えたが、すぐに瞳から涙をこぼした。
テトにとって「自分を捨てた」という父親の事実は、そのとき初めて知ったことだった。
「なんで? なんでぼくのことを捨てたの?」
「思っていたのと違ったからだ」
「ぼくが……?」
ドウォンは、何も言わない。
現在のテトも、何もできずにその記憶の流れを目で追うだけだった。ここで自分自身に声をかけ、その言葉が届いたとしても、現実がどうにかなるわけではない。
ミンソが辛そうな表情を見せ、しゃがみこんでテトの頭を撫で、そして立ち上がって手を引く。
「テト。部屋に戻って」
「……ぼくのパパ、そんなにひどいひとなの……?」
止まらない涙をシャツの袖で拭きながらテトが聞いたが、ミンソも、そしてドウォンは勿論、何も言い返さなかった。
◾︎
そこでまた、無理矢理景色を変更させられる。
今度の記憶は、小等部のどこかの教室ではなく、見慣れたドウォンの仕事部屋だった。
ドウォンのデスクの前には本人が座り、そして彼に向かい合うようにして、ドウォンのものとは異なる回転式の丸椅子にテトが座っている。
暗い緑色のブレザーを着ている、ということは中等部の頃の自分だった。
この記憶もテトははっきりと覚えている。特別進路相談、という名目で高等部の学科の進路をドウォンと話し合っている時だった。
「で、志望の学部は」
ドウォンが、肘掛けに両手を置いて、テトに聞いた。
顔にはまだあどけなさが残り、そして黒髪のままのテトは躊躇わずに口を開く。
「僕、高等部では芸能芸術科に行きます」
「だろうな」ドウォンが、デスクの上に置かれたフィルムの「芸能芸術科」に丸印をつける。「お前は頭はいいが、落ち着きが無いからその方がいいだろう。志望理由は?」
「有名になりたいからです」椅子と一緒に体を左右に回しながら、「有名になったら、父親が気づくかも」
「……どうだろうな」
まだフィルムに何かを書き記しているドウォンの視線は、テトではなくフィルムに落ちている。
「有名になって、父親と会って、見返して、復讐がしたい。僕を捨てたことを後悔させたいんです」
ああ、そうか。
真剣な眼差しでドウォンに自分の目標を話す過去の自分を見つめて、現在のテトは思う。
そもそもの僕の目的って、実の父親のためだっけ。
無事デビューできて熱心に仕事をしているうちに忘れかけていたが、テトの目的として底にあったのは、人々からただ人気や愛や注目や憧れを得ることではなく、実の父親に存在を知らしめ、会い、裁きたいからだった。
「無理だ、お前には」フィルムから顔を上げ、ドウォンが告げる。「お前がかなう相手ではない」
テトが言い返そうとするも、ドウォンは続けた。
「だからこそ、彼はまだ生きている」
◾︎
目まぐるしく、また素早く記憶の光景が変更させられる。
そこは、楽屋の中だった。
制服風の衣装を着ている過去の自分を見て、テトは気づく。デビューしてから二回目の番組収録の日だ。
「僕にも来てた!」
椅子の上に立ち、顔を綻ばせて手紙を掲げるテトはご機嫌で、落ちそうになるのもお構い無しに飛び跳ねる。
「おお、テトにもファンレター届いたのか」年上の他メンバーが、腕を組んで嬉しそうに言う。
「僕の初のファンレターということで、記念に兄さんたちに音読します」
電子フィルムと違って脆い紙はすぐに破けてしまうので、注意しながらゆっくりとテトは封を開ける。
手触りの良い紙には、テトがよく見知った、まるで子供な書いたような独特で下手な字が散らばっていた。
その字を見て、テトはハッとする。
音読するつもりだったのに。思わず、口を震わせ、涙をこぼす。
『テトへ
わらってるテトがだいすきだよ
おうえんしてるね
ごはんたくさん食べて
あいしてる』
差出人の名前がどこにも書かれていなかったものの、テトにはすぐ、手紙を書いたのが誰なのかわかった。
◾︎
冷たい感触が頰に広がる。
目を開くと、さっきソラに掴みかかった榛色の髪の女がしゃがみ、微笑みながら――ニヤつきながら、フローリングの床に伏した自分の顔を覗き込んでいて、記憶の旅が終わり現実に戻されたことをテトは悟る。
テトは、上体を起こす。
黒く、艶の無い手枷・足枷がはめられている。まるで誰かの別荘のような、スタイリッシュなこの家の中でこの状況なのは違和感があった。
何をされたのか。全身が火照るように熱く、動悸がし、口での呼吸になる。
「なるほどの」女が、テトの頰を両手で包み、うっとりしたように言う。「ちょっとばかし記憶を見させてもらったが、やはり『父親』への意識が強いようじゃな。お前がアイドルとやらになったのは、自分を捨てた実の父親に存在を知らしめて、復讐がしたかったから。そんでもって、相思相愛の女がいる。熱いのう!」
頰をこねられる。手を放してほしかったが、背中で手枷をされているため、手での抵抗はできない。
一人で盛り上がる女の話は無視し、顔を振って手から解放する。
息を切らし、変わった話し方をする女を睨み、テトは口を開く。「……ソラは?」
「ん? ああ、一緒にいた女か? 別の部屋でおねんねじゃ。安心しろ。寝かせただけで、手は出してないからの」
それにしてもじゃ、と、女は指先でテトの顎を上げる。
「本当、久しぶりじゃのう、テト。ワシの期待通り、すっかり美男になったわい」
「……僕はきみのことなんか知らない」
「無理もないの」どこか得意げに、女は腕を組む。「ワシがお前に最後に会ったのは、お前がユリに抱かれて腕の中ですやすや寝とった赤ん坊の時じゃからの。あの時はどっち似なのかわからんかったが、今じゃ若いときの父親似じゃの」
ユリ、とは、紛れもなく、テトの母の名前だ。
他の子供たちと同様テトにも開発小板が埋められ、少し経った頃、有能学園――ドウォンへテトを養子に出し、そして首を吊り、自殺した母。
「母さんを知ってるの……?」テトは眉をひそめ、「それに、父親のことも」
「そうじゃ。ユリは、ワシの数少ない何番目かの友達じゃからの。お前の実の父親のことも、よくよく知っておる」
「まって、きみって一体いくつなんだ?」
「いくつに見えるぅ?」
「めんどくさ。……見た目だけで言うなら、二十七とか?」
「ま、今の体は確かにそんくらいじゃの。じゃが、実際に生きているのは二千年をゆうに越えておるわ!」
「はあ? 二千歳を超えてるんだったら、旧世の
時から生きてることに……」
「そうじゃな」豊かな胸を張り、女は言う。「お前は一人の男を思い浮かべたじゃろうな。愛してやまない実の妹の血を飲んで、不老不死に近づいている変態を。じゃがワシはそれとはまた違う方法で生き長らえておる。ワシのほうが、ある意味現実的な方法じゃ」
「……ジュノさんのことまで知ってるのか。きみは一体何者なの?」
「ワシか? ワシは、ハニという」
自らをハニと名乗る女は、目を細めて愛おしそうにテトを見つめ、テトの前髪を指先でそっと撫でた。
「テト、お前がここに来させられることを知っていて、ワシもすぐにここに来た。ここはジュノの別荘か何かじゃの。お前たちを待っていたジュノの手先は邪魔だったから、殺した。ジュノはお前たちをここで監禁するつもりだったらしいのう」
「……なるほどね」
ジュノはこの事態に気がついているだろうか。
「目的はなんだ? 僕とソラを解放しろ」
「よくぞきいてくれた。ワシの目的は二つ」
ハニは指を二本立て、テトの目の前に出す。
「一つ目は、お前と性行為をすること!」
「はあ?」
冗談はやめてほしい。テトは肩を落として溜息をつく。
そんなテトを見てくつくつと楽しそうに笑い、ハニはテトの肩を軽く叩き、
「いや、冗談じゃないわい。いい女の姿で美男とするのがワシの生きがいなんじゃ」
「……それ、本気で言ってる?」
「だーかーらー、本気じゃて。初めてお前を見てから、成長が待ち遠しくて仕方なかったんじゃ」
「まあいいや。よくないけど。で、あと一つは?」
「ほう、聞きたいか?」
ハニが、いや、妖狐が、テトの唇にそっと触れ、微笑みながら言う。
「二つ目は、お前を殺すことじゃ」
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
婚約者の浮気相手が子を授かったので
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。
ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。
アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。
ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。
自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。
しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。
彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。
ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。
まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。
※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。
※完結しました
機械化童話
藤堂Máquina
SF
今の時代、きっと魔法を使えるのは作家だけだ。
彼らの作り出す世界は現実離れしたものだがそこには夢と希望があった。
残念ながら私が使える魔法というのはそう優れたものではない。
だから過去の遺物を少し先の未来の預言書として表すことにしよう。
残酷な機械による改変として。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
No One's Glory -もうひとりの物語-
はっくまん2XL
SF
異世界転生も転移もしない異世界物語……(. . `)
よろしくお願い申し上げます
男は過眠症で日々の生活に空白を持っていた。
医師の診断では、睡眠無呼吸から来る睡眠障害とのことであったが、男には疑いがあった。
男は常に、同じ世界、同じ人物の夢を見ていたのだ。それも、非常に生々しく……
手触り感すらあるその世界で、男は別人格として、「採掘師」という仕事を生業としていた。
採掘師とは、遺跡に眠るストレージから、マップや暗号鍵、設計図などの有用な情報を発掘し、マーケットに流す仕事である。
各地に点在する遺跡を巡り、時折マーケットのある都市、集落に訪れる生活の中で、時折感じる自身の中の他者の魂が幻でないと気づいた時、彼らの旅は混迷を増した……
申し訳ございませんm(_ _)m
不定期投稿になります。
本業多忙のため、しばらく連載休止します。
【完結】では、なぜ貴方も生きているのですか?
月白ヤトヒコ
恋愛
父から呼び出された。
ああ、いや。父、と呼ぶと憎しみの籠る眼差しで、「彼女の命を奪ったお前に父などと呼ばれる謂われは無い。穢らわしい」と言われるので、わたしは彼のことを『侯爵様』と呼ぶべき相手か。
「……貴様の婚約が決まった。彼女の命を奪ったお前が幸せになることなど絶対に赦されることではないが、家の為だ。憎いお前が幸せになることは赦せんが、結婚して後継ぎを作れ」
単刀直入な言葉と共に、釣り書きが放り投げられた。
「婚約はお断り致します。というか、婚約はできません。わたしは、母の命を奪って生を受けた罪深い存在ですので。教会へ入り、祈りを捧げようと思います。わたしはこの家を継ぐつもりはありませんので、養子を迎え、その子へこの家を継がせてください」
「貴様、自分がなにを言っているのか判っているのかっ!? このわたしが、罪深い貴様にこの家を継がせてやると言っているんだぞっ!? 有難く思えっ!!」
「いえ、わたしは自分の罪深さを自覚しておりますので。このようなわたしが、家を継ぐなど赦されないことです。常々侯爵様が仰っているではありませんか。『生かしておいているだけで有難いと思え。この罪人め』と。なので、罪人であるわたしは自分の罪を償い、母の冥福を祈る為、教会に参ります」
という感じの重めでダークな話。
設定はふわっと。
人によっては胸くそ。
嫌われ者の悪役令息に転生したのに、なぜか周りが放っておいてくれない
AteRa
ファンタジー
エロゲの太ったかませ役に転生した。
かませ役――クラウスには処刑される未来が待っている。
俺は死にたくないので、痩せて死亡フラグを回避する。
*書籍化に際してタイトルを変更いたしました!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる