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人と妖精
第37話「どんな時にも雨は降ってくる」
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「ああ、あと嬢ちゃん」
だらけた顔をしていたカノンが急に真面目な顔になる
思わず少し身構えてしまう
「な、なに?」
「お前、戦うの出来るだけ避けろ」
何故…とも言えないのかな
なんとなく理由はわかるよ
戦う度に私の中で何かが変わっていく感じがしてる
「その様子じゃ薄々気づいたか、お前が今のままなら別に何もないが。もし魔物になるようなら俺も動かなきゃならん」
つまり、私を殺すって事だよね
「そんな顔すんなよ、あくまでも最悪の場合だ。嬢ちゃんがその前に何かしらの方法でなんとかできるならそれでいい」
…私が魔物か…
そもそも私は吸血鬼なんだよね、前の感覚しかないから自覚もないし人間のつもりだったけど。
いや人間とはなんだろう?
人が人と言えるものはなんだろう?
それって凄くあやふやで不安定なものなんじゃないか
自分を間違いなく自分といえる何かを私にあるのか?
根底にあるはずの記憶すらなく、私が人間であるなんて言えるのか?
「人間って…なんだろう?」
私の口から無意識のうちに出たその言葉は酷く私の心に残った
重く圧し掛かるように
「嬢ちゃん…まあそれは誰にもわかるものではないと思うぜ。だが、自分の存在に疑問を持てる生き物は人間しかいない。ある意味自分が人間である事の証明にはなり得るかもな」
「……」
「…それでも答えが欲しいなら、俺に言えることは…どんな時にも雨は降るんだ。土砂降りの雨だろうと雷が鳴る風吹く雨でも…それでも進むしかないのが人間なんじゃないかね?」
「…そうなのかな」
答えは出ない
それでも進む
前にしか道がないから
その先に答えがあると信じて
それが人間?
それで正しいのかな
間違ってはいないのか
いや私の出す答えに正解なんてない
きっとそうだ
カノンの言っている事の方が正しい筈だ
少なくとも私より生きている筈だから
「ま、ゆっくり考える事だ。急いで出す答えに意味はないからな」
そう言ってカノンは部屋から出て行った
なにやらリサと何か話していたようだが、私の耳には入ってこなかった
私は何なんだろう…?
だらけた顔をしていたカノンが急に真面目な顔になる
思わず少し身構えてしまう
「な、なに?」
「お前、戦うの出来るだけ避けろ」
何故…とも言えないのかな
なんとなく理由はわかるよ
戦う度に私の中で何かが変わっていく感じがしてる
「その様子じゃ薄々気づいたか、お前が今のままなら別に何もないが。もし魔物になるようなら俺も動かなきゃならん」
つまり、私を殺すって事だよね
「そんな顔すんなよ、あくまでも最悪の場合だ。嬢ちゃんがその前に何かしらの方法でなんとかできるならそれでいい」
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根底にあるはずの記憶すらなく、私が人間であるなんて言えるのか?
「人間って…なんだろう?」
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重く圧し掛かるように
「嬢ちゃん…まあそれは誰にもわかるものではないと思うぜ。だが、自分の存在に疑問を持てる生き物は人間しかいない。ある意味自分が人間である事の証明にはなり得るかもな」
「……」
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間違ってはいないのか
いや私の出す答えに正解なんてない
きっとそうだ
カノンの言っている事の方が正しい筈だ
少なくとも私より生きている筈だから
「ま、ゆっくり考える事だ。急いで出す答えに意味はないからな」
そう言ってカノンは部屋から出て行った
なにやらリサと何か話していたようだが、私の耳には入ってこなかった
私は何なんだろう…?
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