異世界転生したので自由に生きたいのですが周りが許してくれないようです

吸血鬼

第15話「あれ？私いらない子？」

カノンは凄い有能だった
いや一言で済ましてるけどほんと有能
私いらないよね？

あれから数日が経過したが
初日の警戒はどこへやら、今じゃカノンが三つの班分けされたチームの総括的ポジションだ

色々指示を飛ばし、時々長老と話し合いだ
村人達もカノンに色々聞いていることが多いし私も知らない事をよく知っていた

何水路の引き方って
家の作り方から何まで知りすぎだろ
今なんか村の少年少女達に縄の結び方なんて教えてるし

あっ、なんかウルフがカノンに突っ込んでいったぞ
あぁ…掴まれてぶん投げられてる…
んで少年少女達よ、囃し立てる前に何かあるでしょう？

どうやらウルフはカノンと相性が悪いらしく時々ああして喧嘩している
数日の間にもはや定番となり、今では子供達が囃し立てることもある
いや止めろよ誰か
私？嫌だよカノン強いもん
私も初日に止めようとしたよ？
そうしたら何故か私も巻き添え食らってジャーマンスープレックスされて地面に突き刺さったよ？
本人曰く、「お前力ない」とのこと
吸血鬼より力のある人間の方がやべぇってどう見ても

そんなこんなで今日も平和です
そろそろ落ち着いてきた頃だし、私もカノンに聞きたいことが沢山ある

「おーいカノン、少し聞きたいことが」

手をはたき立ち上がったカノンがこちらに気づき歩いてくる
残念そうな声が少年少女から聞こえるが無視だ無視

「何か用かね嬢ちゃん」

相変わらず私の事は嬢ちゃんと呼ぶのね
名前も教えたはずなんだけど
それを伝えたら
「嬢ちゃんで十分だ、まだまだだからな」
だってさ
くっそー、見返してやりたいんだけどいつも返り討ちよ

「私、この世界にきてまだ間もないんだ、色々聞きたくてさ」

そういうとカノンは納得したようで私の隣に座る

「私、能力があったんだけど。カノンもそうなの？」

「俺もあるな、能力。大したものじゃないけどな」

曰く『悪意を感じ取る』能力らしい
初めて会った時私の攻撃を避けたのもコレのおかげとのこと

対して私の能力と疑問に思うことを伝えるとカノンは少し考え答える

「面白い能力だな、多分それ消える理由分かるぞ」

「どんな理由なの？」

「仮説だけどな、お前魔力のコントロールが下手くそなんだよ」

まじすか
つーか魔力のコントロールとかあったのね…

「コントロールが下手だから能力で作ったものを維持できず手を離れると消える、と俺は思うんだが……その顔じゃ基本的なことすら知らないっぽいな」

コツン、とぽかんとした顔をしていた私の頭を叩いてカノンは言う

「暇があったら教えてやるよ、今は忙しいしなぁ…」

そう言って立ち上がると背を伸ばしカノンは村人の中へと入っていった

しかし魔力のコントロール…？
そもそも魔力とはなんぞや、と言ったところから説明を受けないと理解できなさそうなんだけど