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学園一斉清掃大会編
8話 モヤモヤとチクチクと
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時は遡る事、数十分前。具体的に言うなれば、教師である佐藤が終夜と和嶺を連れて行った時。
「行っちゃいましたね」
「そうね」
二人ポツンと残された、星叶美弥と愛川美里である。クラスも違う二人の接点は、どちらも春日原和嶺と田中終夜と面識がある事のみ。その二人が欠けた今、ほぼ初対面の相手に美里は表情を変えずに心の奥底で緊張していた。
(どうしようどうしようどうしよう。星叶さんと話すの今日が初めてだから、何を話していいのか全然思いつかない。て言うか、こんな事態になるだなんて予想もしてなかったんだけど。何で春日原も田中終夜もどっかに行っちゃうのよ。せめて田中終夜くらいは残るべきでしょ)
佐藤が連れて行きたかったのは終夜のみであって、和嶺はそれに同行しただけに過ぎないのだが、その事をすっかりと忘れている美里であった。
「愛川さん」
「ふぁい?」
美里は唐突に名前を呼ばれて、おかしな返事をしてしまう。そして猛烈に後悔した。
(あああああああああああ!!何よふぁいって!流石にふぁいはないでしょ、ふぁいは!)
思わず頭を抱えてしまいそうな程だったが、鋼の精神力によりどうにか堪えた。しかし、美弥はそれを気にした様子はなく話を続けた。
「愛川さんって、春日原さんの事が気になっているんですか?」
「は?何それ。どこをどう見たらそんな結論に至った訳?」
「おおう……まさかそんな冷たい反応をされるだなんて想像もしていませんでした………。じゃあ田中さんが気になっているんですか?」
鋼の精神力崩壊。
「な、なななななななにいってんだい!ちゃうわいちゃうわい。そんな訳あるかい!」
(わっかりやす!)
あからさま過ぎる反応に美弥は驚きを隠せなかった。何なのだこの少女は。小動物なのか。可愛いすぎる。
和嶺の名前を出した時の反応と、終夜の名前を出した時の反応の差が激し過ぎる。まるでアニメかマンガによく出てくる美少女キャラの様だと美弥は思った。
金髪寄りの明るい茶髪を後ろで一つにまとめ、快活そうな印象の愛川美里。身長は美弥より少し大きいくらい。美弥に負けない程、ぱっちりと開かれた目はあちこち視線を移動させており忙しない。軽く頬も朱に染まっている。
「な、ななんで私が、田中終夜の事を気になっているなんて思ったの?」
その動揺ぶりが何よりの証拠では?と美弥は思ったが、それは言わないでおいた。本人は隠している、隠せているつもりなのだから。
「いやぁ、ただ不思議に思っただけですよ。愛川さんはB組で私達はA組じゃないですか。こういう行事なら、同じクラスでやっていく人が多いはずです。それなのに愛川さんは迷う事なく私達に近づいてきたので、そうなのかな?と思ったんですよ」
「なるほどね………少しばかり浅はかだったわ……」
「じゃあ田中さんが気になっているって事でいいですか?」
「ち、ちちちちちちゃ!」
「ちゃ?」
「…………ちゃわない」
ブシューと頭から湯気が出そうな程、美里は赤面していた。だが、それでも気持ちを偽る事なく打ち明けられた事は、素直に賞賛すべきである。それが言えたのは、美弥が同性であったからなのか。それとも、美弥は終夜に気がないと思っての事なのか。それは美里本人にしかわからない。
赤面し、俯く美里の肩にポンと手を置いた。
「そういう事なら任せてください!私、愛川さんのお手伝いをさせて頂きますよ!」
「お手伝い………?」
「はい!別クラスで話すキッカケに悩んでいるであろう愛川さんに変わり、私が田中さんの情報をガンガン引き出してみせます!!」
「え……?ほんと?」
「はい!」
俯かせた顔を上げて視線を合わせてくる美里に、グッとサムズアップをしてみせる。美里はえとえと、と声を漏らして何かを考えているようだった。
「じ、じゃあ……田中終夜の誕生日とか…、わかる?」
「そんな事も知らなかったんですか………?」
美里の引き出して欲しい情報のレベルが低すぎて驚いた。美弥にしてみれば、多分転入2日目くらいに手にしていた情報だ。だが、美里は2年前に一度学年戦で終夜と試合したきりでその後、先日の学年戦に至るまでロクな会話をしていなかったのだ。このくらい知らなくても無理はない。
そしてこんなにもわかりやすいのに、一切わかっていない和嶺はどうかしていると思う。以前に美里の事を話した時、検討違いの事を考えていたに違いない。同じ生徒会で過ごして、終夜の事を語った上で、彼女の気持ちに気がつかないのであれば、それは一種の才能だ。
やれやれ、とは言いつつ楽しそうな表情で美弥はその情報を美里へと伝える。
「田中さんの誕生日はですね……」
「そうなんだ……じゃあ血液型とかは……」
そこには、数分前まで何を話せば良いのか迷っていた少女達の姿はなかった。お互い笑顔のまま、話は弾む。だが、この時の美弥は少しばかりの違和感を感じていた。
(なんなんですかね?モヤモヤしたような、チクチクするようなこの感じは)
しかし美弥はそれを口に出すことなく、表情に表すことなく、胸の奥にしまっておいた。
◆◆◆
会長についての話をカズミネとしながら歩いていたら、いつの間にか公園エリアにまで辿り着いていた。本部を覗くと、集められた大量のゴミが目に飛び込んできた。クラス事に分けられているゴミ山は、今の所C組がトップだ。C組は確か記憶操作系の能力者がいるって話だったな。野郎……………汚い手を使いやがって。
ゴミ拾いに記憶操作が何の役に立つかわからないし、そもそも生徒会や例外達じゃない限り、能力は使えないが恨み言だけは呟いておく。なんてったって我等がA組が最下位だからね!そりゃ2人抜けたらその分他のクラスに劣るよね!クラス屈指の真面目とポイント目当てで全力を出す俺達が抜けていたのだ。その穴は大きかろう。
本部に設置されている時計をチラッと見やる。時刻は10時前を指していた。清掃開始から1時間と少し経っていた。俺達の場合、1時間近くは清掃していなかったけど。
「早く戻ろっか。今更になって星叶さんと愛川さんを残してきた事が心配になってきた」
「そういやあの二人、今日が初対面みたいなもんだったな。でも星叶なら大丈夫だろ。コミュ力モンスターだぞ」
俺なら初対面の人と話すのは緊張しすぎてしまう。向こうから話題が提供されるのを待つばかり。相手が目上や子供とかなら幾分か気は楽なのだが、同級生となると超緊張する。
急ごうとは言ったものの、割りとゆっくり俺達は星叶達と別れた高等部公園目指して歩き出した。
公園エリアの奥にある高等部公園におよそ5分程で到着。1時間程前に別れた場所まで戻ってきたが、流石に移動したのか姿が見えなかった。むしろそのまま留まっていたら、仕事をしろよと説教していた。俺の口からとても言える言葉ではないが。
カズミネとキョロキョロと視線を公園内に巡らせていると、いた。花壇付近に肩を並べてしゃがんでいる女子生徒二人組。後ろを姿からして、星叶と愛川だ。俺達から少しばかり距離が離れてはいたが、談笑しているのが遠目でも判る。コミュ力モンスター凄いな。あんなに仲良くなれるもんなのか。
すっかりと仲良くなった二人を見て、俺達は安心したように息を吐いた。そんな事態に発展するとは思わないが、知り合いどうしの喧嘩なんて見たくないからな。
俺達は二人に近づいて声をかけた。そしたら愛川から仕事しろよ、と怒られた。
ごもっともです!
「行っちゃいましたね」
「そうね」
二人ポツンと残された、星叶美弥と愛川美里である。クラスも違う二人の接点は、どちらも春日原和嶺と田中終夜と面識がある事のみ。その二人が欠けた今、ほぼ初対面の相手に美里は表情を変えずに心の奥底で緊張していた。
(どうしようどうしようどうしよう。星叶さんと話すの今日が初めてだから、何を話していいのか全然思いつかない。て言うか、こんな事態になるだなんて予想もしてなかったんだけど。何で春日原も田中終夜もどっかに行っちゃうのよ。せめて田中終夜くらいは残るべきでしょ)
佐藤が連れて行きたかったのは終夜のみであって、和嶺はそれに同行しただけに過ぎないのだが、その事をすっかりと忘れている美里であった。
「愛川さん」
「ふぁい?」
美里は唐突に名前を呼ばれて、おかしな返事をしてしまう。そして猛烈に後悔した。
(あああああああああああ!!何よふぁいって!流石にふぁいはないでしょ、ふぁいは!)
思わず頭を抱えてしまいそうな程だったが、鋼の精神力によりどうにか堪えた。しかし、美弥はそれを気にした様子はなく話を続けた。
「愛川さんって、春日原さんの事が気になっているんですか?」
「は?何それ。どこをどう見たらそんな結論に至った訳?」
「おおう……まさかそんな冷たい反応をされるだなんて想像もしていませんでした………。じゃあ田中さんが気になっているんですか?」
鋼の精神力崩壊。
「な、なななななななにいってんだい!ちゃうわいちゃうわい。そんな訳あるかい!」
(わっかりやす!)
あからさま過ぎる反応に美弥は驚きを隠せなかった。何なのだこの少女は。小動物なのか。可愛いすぎる。
和嶺の名前を出した時の反応と、終夜の名前を出した時の反応の差が激し過ぎる。まるでアニメかマンガによく出てくる美少女キャラの様だと美弥は思った。
金髪寄りの明るい茶髪を後ろで一つにまとめ、快活そうな印象の愛川美里。身長は美弥より少し大きいくらい。美弥に負けない程、ぱっちりと開かれた目はあちこち視線を移動させており忙しない。軽く頬も朱に染まっている。
「な、ななんで私が、田中終夜の事を気になっているなんて思ったの?」
その動揺ぶりが何よりの証拠では?と美弥は思ったが、それは言わないでおいた。本人は隠している、隠せているつもりなのだから。
「いやぁ、ただ不思議に思っただけですよ。愛川さんはB組で私達はA組じゃないですか。こういう行事なら、同じクラスでやっていく人が多いはずです。それなのに愛川さんは迷う事なく私達に近づいてきたので、そうなのかな?と思ったんですよ」
「なるほどね………少しばかり浅はかだったわ……」
「じゃあ田中さんが気になっているって事でいいですか?」
「ち、ちちちちちちゃ!」
「ちゃ?」
「…………ちゃわない」
ブシューと頭から湯気が出そうな程、美里は赤面していた。だが、それでも気持ちを偽る事なく打ち明けられた事は、素直に賞賛すべきである。それが言えたのは、美弥が同性であったからなのか。それとも、美弥は終夜に気がないと思っての事なのか。それは美里本人にしかわからない。
赤面し、俯く美里の肩にポンと手を置いた。
「そういう事なら任せてください!私、愛川さんのお手伝いをさせて頂きますよ!」
「お手伝い………?」
「はい!別クラスで話すキッカケに悩んでいるであろう愛川さんに変わり、私が田中さんの情報をガンガン引き出してみせます!!」
「え……?ほんと?」
「はい!」
俯かせた顔を上げて視線を合わせてくる美里に、グッとサムズアップをしてみせる。美里はえとえと、と声を漏らして何かを考えているようだった。
「じ、じゃあ……田中終夜の誕生日とか…、わかる?」
「そんな事も知らなかったんですか………?」
美里の引き出して欲しい情報のレベルが低すぎて驚いた。美弥にしてみれば、多分転入2日目くらいに手にしていた情報だ。だが、美里は2年前に一度学年戦で終夜と試合したきりでその後、先日の学年戦に至るまでロクな会話をしていなかったのだ。このくらい知らなくても無理はない。
そしてこんなにもわかりやすいのに、一切わかっていない和嶺はどうかしていると思う。以前に美里の事を話した時、検討違いの事を考えていたに違いない。同じ生徒会で過ごして、終夜の事を語った上で、彼女の気持ちに気がつかないのであれば、それは一種の才能だ。
やれやれ、とは言いつつ楽しそうな表情で美弥はその情報を美里へと伝える。
「田中さんの誕生日はですね……」
「そうなんだ……じゃあ血液型とかは……」
そこには、数分前まで何を話せば良いのか迷っていた少女達の姿はなかった。お互い笑顔のまま、話は弾む。だが、この時の美弥は少しばかりの違和感を感じていた。
(なんなんですかね?モヤモヤしたような、チクチクするようなこの感じは)
しかし美弥はそれを口に出すことなく、表情に表すことなく、胸の奥にしまっておいた。
◆◆◆
会長についての話をカズミネとしながら歩いていたら、いつの間にか公園エリアにまで辿り着いていた。本部を覗くと、集められた大量のゴミが目に飛び込んできた。クラス事に分けられているゴミ山は、今の所C組がトップだ。C組は確か記憶操作系の能力者がいるって話だったな。野郎……………汚い手を使いやがって。
ゴミ拾いに記憶操作が何の役に立つかわからないし、そもそも生徒会や例外達じゃない限り、能力は使えないが恨み言だけは呟いておく。なんてったって我等がA組が最下位だからね!そりゃ2人抜けたらその分他のクラスに劣るよね!クラス屈指の真面目とポイント目当てで全力を出す俺達が抜けていたのだ。その穴は大きかろう。
本部に設置されている時計をチラッと見やる。時刻は10時前を指していた。清掃開始から1時間と少し経っていた。俺達の場合、1時間近くは清掃していなかったけど。
「早く戻ろっか。今更になって星叶さんと愛川さんを残してきた事が心配になってきた」
「そういやあの二人、今日が初対面みたいなもんだったな。でも星叶なら大丈夫だろ。コミュ力モンスターだぞ」
俺なら初対面の人と話すのは緊張しすぎてしまう。向こうから話題が提供されるのを待つばかり。相手が目上や子供とかなら幾分か気は楽なのだが、同級生となると超緊張する。
急ごうとは言ったものの、割りとゆっくり俺達は星叶達と別れた高等部公園目指して歩き出した。
公園エリアの奥にある高等部公園におよそ5分程で到着。1時間程前に別れた場所まで戻ってきたが、流石に移動したのか姿が見えなかった。むしろそのまま留まっていたら、仕事をしろよと説教していた。俺の口からとても言える言葉ではないが。
カズミネとキョロキョロと視線を公園内に巡らせていると、いた。花壇付近に肩を並べてしゃがんでいる女子生徒二人組。後ろを姿からして、星叶と愛川だ。俺達から少しばかり距離が離れてはいたが、談笑しているのが遠目でも判る。コミュ力モンスター凄いな。あんなに仲良くなれるもんなのか。
すっかりと仲良くなった二人を見て、俺達は安心したように息を吐いた。そんな事態に発展するとは思わないが、知り合いどうしの喧嘩なんて見たくないからな。
俺達は二人に近づいて声をかけた。そしたら愛川から仕事しろよ、と怒られた。
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