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条件も無事決まりましたし、何とかなりましたわね。

卒業式がやってきましたわ、ちらっとハリオット様を見ましたが、まぁ美丈夫な感じですが細いですわね……。
中性的で儚げに見えるお父様やお母様よりも細いですわね。

紳士淑女学科らしいですけど、少しは鍛えなかったのでしょうか?
ハーヴィー伯爵領でも小さい魔獣や魔物が出ますのにね……知らないのでしょうか?
辺境伯領からも近いですからね、四方を森に囲まれている辺境伯領よりはまだマシですけども。

考えごとしてたら、いつの間にか卒業式が終わる頃でしたわ。
後輩から花束をもらって退場しましたわ。
帰ってから玄関にでも飾りましょうか。

私が帰る頃にはお兄様夫婦が来てるはずですわ。
私が学園に入学してすぐの前期休みの時に結婚式を挙げましたわ。
私が婚約を結ぶまでは一緒に暮らせますが、婚約してからは、両親と私は領地に帰りますわ。

別邸の用意などありますしね……辺境伯家でも養女などの手続きがありますしね……まぁ日付は書けないから正式にではありませんけど、すぐに出せるようにするそうですわ。
次は横槍を入れたくないですわね。
ランドール様とも魔獣退治や訓練しながら、愛を深めていきますわ。

卒業式も終わり辺境伯領にも行ったりしてたら、婚約を結ぶ日がやってきましたわ。
お兄様夫婦には悪いですけど、出かけて頂きましたわ。

昼過ぎにエドリアン侯爵夫妻とハリオット様がやってきましたわ。
侯爵夫人は我が家に入る時から、家の中をキョロキョロと見回してましたし、ハリオット様は嫌悪感丸出しでしたわ。

応接室に通すと挨拶はしてくれましたが、夫人もハリオット様2人は嫌悪感丸出しでしたわ。
そんな2人を放置なのか、侯爵様が話し出しましたわ。

「この度は次男ハリオットと婚約を結ぶということで、ありがとうございます。不躾で申し訳ないんですが、ハリオットと婚約、結婚にあたり、我が侯爵家にも支援頂きたいのですがよろしいでしょうか?」

「はぁ……それなら婚約結婚するにあたって、条件をつけさせてもよろしいですかね?」

「条件にもよりますが、支援して頂けるならば構いませんし、ハリオットにも守らせますので。」

「分かりました、書類を用意致しますのでね。」

お父様はそう言うと懐から出しましたわ。絵巻みたいに巻いてましたわ。

一、婚姻は20歳になってからとする、結婚式はハーヴィー伯爵領の教会で行う。

一、不貞等はしない、もし発覚なりした場合は即離婚。

一、持参金または結納金はないと思われるので、婚姻後ハリオット様には毎月金貨1枚お渡しするので、その中から私用でいる分はお出しください、生活用品はエリーナが支払います。

一、エリーナが領地や商会の経営補佐をするので、ハリオット様はエリーナの補佐をお願いします。

一、メイドや料理人に侍従、側近はハーヴィー伯爵家で用意しますし、別邸はエリーナが用意するのでハリオット様は着替え等を持参してください。

一、支援金は毎月金貨30枚とさせて頂き、使用用途をお知らせください。

「以上ですが、何か質問等はありますでしょうか?」

侯爵様と侯爵夫人は紙を見てましたが、首を振ってましたので質問はないのでしょうね。

「質問等なければ署名をお願いします、侯爵家と伯爵家で1部ずつ保管しておきましょうか。」
「ハリオット様には婚姻後からとなりますが、侯爵家の支援は今日からということで金貨30枚用意してますのでお待ちください。」

そう言うとお父様がソファの裏から、金貨を出しましたわ。
そんなとこに用意してましたの?驚きですわ。

「これが今月分の支援金の金貨30枚ですので、数えて頂いていいですよ。」

侯爵様が慌てて数え始めましたわ、夫人とハリオット様の目の色が変わり、凝視してましたわ。

「ちょうど30枚ありました。伯爵様ありがとうございます。毎月使用用途の明細書等をお見せします。」
「伯爵夫人もエリーナ嬢もありがとうございます。これからも末永くよろしくお願いします。」
「今日はこれで失礼させていただきます。」

私とお母様が馬車までお見送りしましたわ。
挨拶以降、私もですがお母様も何も話しませんでしたね。
まぁ、我が家に着いてからの態度も表情も微妙でしたしね。
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